
栃木市の星野遺跡地層たんけん館は、深さ10メートルの穴を掘って、そこに露出した軽石・火山灰・ロームをそのまま展示した施設です。1998年にできた施設ですが、11年たったいまでも地層の観察は十分できます(ただ、ちょっとだけ表面を削り直してほしい感じはする)。ローム層の断面が、それも10メートルもの高さで恒久展示が可能だとは驚きました。ぜひ足を運ぶことを勧めます。うれしいことに無料です。上部にある厚い軽石は、赤城山が4万4000年前に噴出した鹿沼軽石です。

星野遺跡には、縄文時代の住居が復原されています。小さく切り取った出入り口から中をのぞくと、竪穴式住居の竪穴がどういうことをいうのか容易に理解することができます。

帰り際に道路端の採石場で見た砂利の円錐。ストロンボリ式噴火によるスコリア丘の形成メカニズムを理解するための好材料だ。
12万年前の石器発見ニュースについて、各社報道を読んでわかることは以下の通り:
島根県出雲市多伎町の砂原(すなばら)遺跡で今年(2009年)8月8日、一点の石器がみつかった。みつけたのは成瀬敏郎・兵庫教育大名誉教授。その後、石器19点がさらにみつかり、きのう(9月29日)現地案内と記者会見があったとみられる。同遺跡発掘調査団長は松藤和人・同志社大教授。
出土したのは、三瓶火山から10万3000年前に噴出した
木次(きすき)軽石の少し下。この層位から、約12万年前の石器という発表になったとみられる。丘陵地の斜面にあたり、地表の下2メートル。国道9号に接していて日本海が望めるという。現地は松浦政代さん(78)の私有地。調査団が立入り禁止処置をとっている。
一時は40-50万年前と言われた日本石器の年代は、2000年に発覚した旧石器捏造事件で大幅に後退した。その後の再検討で生き残った石器のうち、もっとも古い年代は岩手県遠野市にある金取遺跡の8万年前だという。
中国新聞に地層断面の写真
佐賀新聞に石器の拡大写真
石片が取り出された地層の年代が12万年前であることは、10万3000年前の三瓶木次軽石の下にあることからして間違いない。みつかった石片が12万年前に地中に固定されたのは確かな事実だ。しかし、みつかった石片が本当にひとの手が加わった石器かどうかの判断は、専門家のなかで意見が分かれるところのようだ。
今後の予定
10月4日1030 調査報告会@多伎コミュニティセンター
10月10-25日 調査速報展示@県立古代出雲歴史博物館
10月11日1330 成瀬名誉教授の調査講演会@県立古代出雲歴史博物館

この夏、槍ヶ岳山頂に立ちました。29年ぶり2度目の登頂でした。29年前は燕岳から東銀座コースを経て槍ヶ岳。そして槍沢を下って上高地に出ました。今回は、新穂高温泉から飛騨沢を往復しました。天候に恵まれて楽しい山登りができました。詳しい地学報告は
別ブログをごらんください。
山口県防府市の特別養護老人ホームを、背後から土石流が襲って建物を貫通して玄関から出た。梅雨末期の大量降雨による典型的な土砂災害である。報道によると、死者行方不明者合わせて10人ほどだという。土石流が発生したのはきのう(21日)12時20分のことだが、いま(22日7時)の時点でも、老人ホームから水が大量に流れ出している。民放テレビ2局(JNN, NNN)が現場から映像を伝えた。後者の放送中に、到着した消防車が通れずに立ち往生する場面があった。山口県はきのうのうちに自衛隊に派遣要請したが、防府市がいまもってここを警戒区域に指定していないのはなぜなのだろうか。
より大きな地図で 防府豪雨災害2009年7月 を表示
空中写真や登山スナップ写真で見ると、トムラウシの山頂をつくる溶岩ドームの地形はとても新鮮に見えます。完新世(最近の1万年)に噴火した可能性があると思ったので、1998年8月に現地へ調査に行きました。その結果、溶岩の表面が厚い風化皮膜で覆われていることなどから、完新世ほど新しい溶岩ドームではないと判断しました。
![fogs[1]](http://blog-imgs-26-origin.fc2.com/k/i/p/kipuka/20090717194819ec8s.jpg)
奥深い山です。日帰り登山は困難だったので、ひとり用テントを購入して持参して、山頂で1泊しました。私が登った日はとても暑かったので、北沼で泳ぐことができました。沼の岸に雪渓があったから、あそこで泳げることはめったにないのだろう。
きのう9人が死亡したそうです。強風で体温を奪われたのが死因だったようです。たしかにきのうは、久しぶりに登った日光白根山でも風が強くて寒かった。青空が見えているのに信じられないくらいの冷たい空気だった。
旅行会社によるツアー登山だったので、即席パーティーだったことと日程に余裕がなかったことが命取りになった。どんなに雨風が強くてもスケジュールを消化しなけらばならない強迫観念がパーティー内で支配的だったのだろう。客の命よりも日程消化が優先されてしまった。冷静に判断すれば愚かであることがあきらかなのだが、現場の空気は別のものが支配したのだろう。
トムラウシ山という日本百名山のうちでもっとも難しい山を征服することは、命をかけても惜しくないことなのかもしれない。その評価は本人にしかできない。
スミソニアンの
火山月報に、浅間山2月2日噴火の予知成功が詳しく紹介されています。私は、2月にここで紹介した
とっておきエピソード二つを提供しました。
火山館の神田さんストーリー
In accord with JMA's precursory warnings, representatives of Komoro City decided to close the mountain hut 2 km W of the summit. The afternoon of 1 February, the resident and official observer there, Keisuke Kanda, readied the hut for closure. After that, he went to bed, planning to climb down the mountain the next morning. At the time of the eruption (0151) he neither felt nor heard any disturbance. At 0200 (about 9 minutes after the eruption began), he was awakened by his ringing cell phone.
ボンヴィボンのうめさんが見たもの
During the eruption, Masakatsu Umeda, working in a French restaurant 7 km N of the summit, felt small but continuous shaking and saw a red plume rising from the summit crater. He heard a far softer sound than he did on 1 September 2004 but then he was 4 km NE of the summit at Rokurigahara parking lot.
学校の耐震性、非公表17% 自治体、義務守らず 2009年6月16日14時1分 アサヒコム
文部科学省は16日、今年4月1日時点の全国の公立学校の耐震化状況を発表した。昨年6月の地震防災対策特別措置法改正により、幼稚園と小中学校、特別支援学校については耐震診断と結果公表が設置者に義務づけられたが、未診断の建物がある自治体は676(36.0%)、結果を公表していない自治体は320(17.0%)あり、違法状態が続いていることがわかった。
法改正で耐震化工事の国庫補助率を引き上げるなどした結果、市町村の負担は約3割から約1割に軽減されたが、財政事情を考えるとなお重荷だとする自治体は少なくない。耐震診断の結果公表も「住民の不安をあおる」とためらうところがある。文科省は是正の指導を強める方針だが、罰則がない法律にどう実効性をもたせるか、今後の課題になりそうだ。
(以下略)
自治体が違法状態にある例。住民の不安をあおるという理由で法律が曲げられていいわけがない。しかし罰則がない法律を遵守させるのはむずかしい。
J Network Serviceの経営者と社員が逮捕された(
朝日新聞記事)。日本のテレビ番組をサーバ内に蓄積して海外在住者に有料販売するしくみが著作権法違反だと、警視庁がみなしたのだ。私は半年前、ワシントン滞在中にこのサービスの存在を知った。この会社のページには、違法行為ではないと書いてあったと記憶するが、私の目には日本国著作権法に違反したサービスだと思われた。
海外在住者の中には、むずかしいことは言わないで安くて便利なら、その商品を手に入れたいと考えるひとが少なくないこともそのとき知った。こういう商品を何のためらいもなく購入する。罪悪感もほとんどないのだろう。このサービスを他人に勧めることが、インターネットネットでおおっぴらに行われていた。
違法商品をダウンロードする客の行為は法律に違反するわけではないから、たしかに他人に勧めても違法ではなかった。しかし著作権法が改正される来年2010年1月1日からは、ダウンロードする行為も違法だと認定される。違法商品を利用することも違法になる。
ロケーションフリーという商品があることも、そのとき知った。日本の家族宅にこの装置を置いて、インターネットを介して海外で視聴するしくみだ。このような装置が存在すること自体驚きだが、一流企業ソニーが製造販売していると知って、また驚いた。たしかに著作権法に違反してはいないが、ほめられた使い方ではない。そうまでして、日本とすっかり同じテレビ番組を見たい動機が私には理解できない。アメリカなら、ケーブルテレビに加入すれば、日本のニュースなどをリアルタイムで見ることができる。
なお、今回の著作権法改正は、検索のためのキャッシュ保存をフェアユースとして認める。これでグーグルがキャッシュサーバを日本に置いても違法ではなくなる。
【新型インフル】死者数、鳥インフルに並ぶ 「弱毒性」も侮れず 産経新聞
2009.5.20 08:16
世界保健機関(WHO)の19日現在の集計によると、新型インフルエンザで死亡した人の総数は79人と、高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)で過去最多の被害となった2006年の年間死亡者数に並んだ。
新型インフルエンザウイルス(H1N1型)は、感染者の大半が軽症か無症状ですむ「弱毒性」との見方が有力だが、4月下旬に流行が確認されてから1カ月程度で鳥インフルエンザ1年分の死者を出したことは、重症者の比率が低くても多数の人が感染すれば強毒性ウイルスに匹敵する被害をもたらすことを意味する。
WHOの進藤奈邦子医務官は「弱毒性でも感染力が強いと(患者全体としての)健康被害という意味では、全く侮れない」と警戒の必要性を訴えている。(共同)
進藤奈邦子医務官は、社会リスクと個人リスクの違いを語っている。豚由来インフルエンザは、個人にとってはたいしたリスクでないが社会にとっては侮れないリスクの好例だ。
疫学的にはフェーズ6だが、政治的な力が働いてWHOがフェーズ6を宣言できない状態が発生している。
フェーズ6(パンデミック)は、感染症が汎世界的に流行することをいう。いまの豚由来インフルエンザは、パンデミックの条件をすでに十分満たす。しかし、これをこのままパンデミックだと言えないのは、パンデミックへの対応が強毒性ウイルスについてしか用意されていないからだ。フェーズ6への対応を実施すると、経済に大きな打撃が加わる。しかしこのウイルスは弱毒性だから、経済をそれほど痛めなくても対処できる。したがって、フェーズ5のままに留め置いてほしいという政治的思惑が疫学にいま強く作用している。
各国は、そしてWHOは、パンデミックを起こすウイルスには弱毒性のものもあることをあらかじめ織り込んでおくべきだった。いまからでも遅くない。弱毒性のパンデミックへの対応策を急いでつくってフェーズ6宣言するべきである。
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