早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

明るく楽しい勉強会

まとめのまとめ(kyakkyauhuhuhuさん)
・放射能汚染地図を購入する

2014年予定
・5月2-5日、草津温泉
・5月16-18日、草津温泉
・5月30日-6月1日、草津温泉
・8月12-16日 コーラ噴火と弁当パック、北軽井沢スウィートグラス・キャンプ場
・8月20-22日 教員免許更新講習@草津温泉、24人。(参加申し込みは、4月に群馬大学ページから)
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放射能リスクの評価

紀要論文「福島第一原発2011年3月事故による放射能汚染と健康リスク評価」2014年3月

・100ミリシーベルトで0.5%ががん死。「致死量」は20シーベルト。
・1ミリシーベルトで寿命1日短縮。1シーベルトで3年短縮。
・1ベクレルで寿命1秒短縮。10万ベクレルで1日短縮。
・15億ベクレルでひとり死亡。

比較
・交通事故のリスクは1年あたり寿命1日短縮。80年なら80日短縮。
・ひとの一生は3万日。
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さまざまな放射線量率

放射線の強さを示すシーベルトという単位は、測り方によってずいぶん変わります。上空から航空機で測ったとき、地上に恒久設置した線量計で測ったとき、人体が実際に受ける放射線量(実効線量)、遮へいを考慮した日平均など、さまざまなシーベルトがあります。それらは比例関係にあります。ここでは、その比がいくつなのかをわかりやすく説明します。

航空機計測

航空機計測は上空300メートルから行いますから、そうして作った地図は直径300メートルほどの地域の平均的な汚染度合いを示しています。3年前、森林の上に降り注いだセシウム粒は、林床に落ちたあとほとんど動いていません。放射性物質の半減期に支配されて汚染程度がゆっくり減少する様子が3年後のいま航空機地図によく表現されています。3年たったいま、おおむね半減してます。

一方、都市空間では事故後3年間の風雨によってセシウム粒があらかた移動しました。建物の屋根やアスファルト道路でそれが顕著です。裸の土が露出した地表にあったセシウム粒もほとんど失われました。さらに人為による除染もなされました。航空機地図による都市の汚染が何を示しているか、その科学的な意味は、もはやはっきりしません。

私の放射能汚染地図

私がつくった放射能汚染地図は、2011年3月に地表に落ちたセシウム粒がそのままの状態で保存されている場所の放射線量を示しています。2011年9月の値で表現しました。森林は航空機地図とよく合います。都市は、航空機地図より高い汚染を示します。

私の地図も文科省の航空機地図も、地上1メートルで測ったときの値で表現してあります。航空機計測は高さ300メートルで測った数値を高さ1メートルに換算しています。

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関東ロームと富士山

「関東ロームの堆積は東京では一万年当たり一メートルの速さでおこり、一万年に一〇〇回ほどの(富士山の)大噴火が一回に一センチほどの火山灰を堆積させた累積効果だとみられている」と貝塚爽平は書いた(貝塚、1990、35ページ)。富士山の噴火頻度を100年に1度とみるのは火山学的に妥当だが、1回の噴火で100キロ離れた東京さらには関東平野全域を厚さ1センチの火山灰で覆うとみるのは、富士山の噴火能力を何桁も過大評価している。

厚さ1センチの火山灰は、1平米あたり10キログラムにもなってしまう。そんなにたくさんの火山灰が東京に降り積もったらたいへんだ。富士山が噴火しても、東京にそのような脅威は生じない。ただし今まで一度だけ、東京に1センチを超える火山灰が富士山から降ったことがある。前回1707年12月の噴火だ。この噴火は富士山誕生以来最大の爆発的噴火だった。例外だった。

近年の浅間山噴火と比較してみよう。1982年4月26日噴火のとき10キロ離れた軽井沢に降り積もった火山灰は1平米あたり150グラムだった。2004年9月16日噴火のときは50グラムだった。厚さにすると0.1ミリ程度である。このとき100キロ離れた東京に降った火山灰の厚さは0.01ミリ程度だった。貝塚が想定した1センチの1000分の1にしかすぎない。さらには、浅間山の火山灰が降った範囲は幅20キロ程度の狭い範囲に限られた。関東平野全域を一様に覆ったわけではない。100年に一度の富士山噴火で東京を含む関東平野全域が厚さ1センチの火山灰で毎回覆われたとした貝塚説を火山学は支持しない。関東ロームは富士山が噴火して「直接」堆積してできた地層ではない。

関東ロームは、草が枯れて土が露出した斜面に強風が吹きつけたときに巻き上がった埃が近隣の林床や草むらに堆積したものである(早川、1995)。レスと呼んでよい。このような気象条件は、毎春に数日だけ実現する。こうしてロームは毎年0.1ミリずつ堆積する。100年で1センチ、1万年で1メートルだ。草つきの平坦面にだけ堆積する。裸地には堆積しない。

ロームは、火山が噴火しなかったときの堆積物である。ロームの間に挟まっている火山灰が、その年に近隣で大きな火山噴火があったことの証拠である。火山はめったに噴火しない。ふだんは静かな時を過ごす。

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大雪から7日目朝の前橋市内

2014年2月20日9時撮影。この雪は14日から15日かけて降った。

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関越道を駒寄PAから出て上毛大橋を渡る。道路中央には雪がまだたくさん残っている。ここまで吉岡町。


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積雪深(cm)の時間変化

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2月14日バレンタインの夜に積もった雪は、平野にある都市では迅速に融けたが、気温が低い高地では融けずに居座っている。雪の被害が1日で終わったのは東京だけだ。草津・軽井沢・河口湖などの高地では春まで被害が続く。

▼観測点の標高(m)
 草津  1223
 河口湖 860
 軽井沢 999
 秩父   232
 甲府   273
 前橋   112
 東京    6
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火山リスクは低頻度大規模災害にある。

死者が100人を超える火山災害のリスト。この日本社会は山体崩壊による土石なだれを経験しているが、カルデラ破局噴火はまだ経験していない。



よく起こる火山災害で人はたいして死なない。長い目で見ると火山で死ぬ人のほとんどは、百年や万年に一回起こる低頻度大規模災害による。すなわち山体崩壊とカルデラ破局噴火である。百年や万年に一度しか起こらない災害に、この現代社会が対応できるとは思えない。平時の備えも無理だろうし、危機時の対応も無理だろう。(だからそのときが来たら、ジタバタせずに潔くあきらめて死ね。火山には勝てない。)

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日本火山のリスク評価(2014年2月改訂)

・表1 火山ごとのリスク一覧

本文

・表2 高リスク火山のリスト
-----------------
雲仙岳(986)→496
十和田湖(272)
富士山(250)
榛名山(242)→80
姶良(234)
阿蘇(210)
支笏湖(112)
浅間山(101)
箱根山(77)
-----------------

2013年の交通事故死者は、日本全体で4373人だった。日本火山全体のリスクは2203(人/年)だから、交通事故リスクの1/2である。ただし都道府県単位で比較すると、鹿児島県・長崎県・群馬県・秋田県・青森県で、火山リスクが交通事故リスクを上回る。

インドネシア・シナブン火砕流災害 2014年2月


より大きな地図で インドネシア・シナブン火山災害2014年 を表示

・シナブン火山は、世界最大のカルデラ湖であるスマトラ湖の北西にある。
・2014年2月1日11時の火砕流で、山頂か3キロ離れたSuka Meriah村にいたひとのうち14人が死亡した。
・その火砕流は、4.5キロ流れ下った。
・2010年8月27日から9月にかけて歴史時代初めての噴火をして、噴煙を火口から5キロの高さまで上げた。
・2013年9月15日から再び噴火を始め、火砕流を出していたので、住民避難が実施されていた。
・インドネシアでは、2010年10-11月、ムラピ火山の火砕流で322人が死んだ。

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原子力発電所の火砕流リスク

ツイッターまとめ

リスク評価(科学)

原発が火砕流で埋まったらどうなるか

カルデラ破局噴火のタイミングと予知可能性

六ヶ所村の再処理工場と十和田湖からの火砕流 (2014年1月19日)
施設に火砕流が到達すると同程度の深刻な結果をもたらすと仮定すると、火砕流の発生頻度がリスクを決める。1万5000年前の八戸火砕流のリスクを1とすると、2万8000年前の入戸火砕流のリスクは0.54、10万5000年前の洞爺火砕流のリスクは0.14だ。

地質学者の白昼夢 (2014年1月22日)
南九州で次に起こる火砕流が川内原発を飲み込んだらどうなるか、想像してみた。

リスク管理(政治)

本気で1回議論する? カルデラ破局噴火のリスク管理

火砕流みたいなものに対して、どうせ来たら全滅するようなところで原子力発電所が事故を起こしても、これは諦めるしかない
原子力規制委員会の平成 25 年 3 月 28 日会合で出た意見。

川内原発とシラス噴火 井村先生、参議院内集会でお話

原発の再稼働を決めるのは誰か
あるべきプロセスと責任の所在は、
1)専門家がリスク評価をする。
2)そのリスク評価を加味して、政治家がリスク管理する。再稼働するかどうかを決断する。
3)すべての責任は政治家にある。
4)専門家に責任はない。あるのは、説明責任のみ。

カルデラ破局噴火を直前に察知して避難できるか
個人としてでなく、日本社会としてどうかを検討した。原発との関係も議論した。

原発とカルデラ破局噴火

低頻度大規模事象の扱いは、単純なリスク比較だけでは不十分。(2013年12月22日)
リスクが大きくても極低頻度なら、無視したほうがよいような気がする。もし対策すると莫大なカネがかかる。その費用負担に社会が耐えられないのではないか。社会を崩壊させてまでリスク管理するのは本末転倒だ。

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