早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

明るく楽しい勉強会

まとめのまとめ(kyakkyauhuhuhuさん)
・放射能汚染地図、浅間山のクリアファイル・地質図は、きつねの雑貨屋さんから購入できます。

2017年予定
・3月1-5日 ハワイ・キラウエア火山 溶岩すくいツアー
・3月26日 1500年前の榛名山噴火の痕跡を訪ねる、12人
・5月5-7日 鬼押出しハイキング、鎌原村散歩、草津温泉泊
・5月13-15日 霧島山・高原町
・8月10-13日 鬼押出しハイキング、鎌原村散歩、弁当パック@北軽井沢のキャンプ場スウィートグラス
・8月19-27日 アメリカ皆既日食とクレーターレイク
・9月 セントヘレンズとレーニア
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避難者数の推移


避難者数の推移(2014-2016)。受け入れ地方別。復興省データ。東北地方の避難者数は急減して3年で1/3になっているが、その他の地方の減少は鈍い。

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子供の避難者数の推移。福島県ページ。県外は順調に減っているが、県内はあまり変わらない。

福島県の子供にいまみつかっている甲状腺がんは超音波検査のせい?

福島県の子供全員甲状腺検査では、先行検査(1巡目、2011-2013年)で115人に甲状腺がんがみつかった。また途中だが、本格検査(2巡目、2014-2015年)では68人のがんがみつかっている。

先行検査でみつけた甲状腺がんは、2011年の原発事故前からあったがん、あるいは原発事故とは無関係のがんを、超音波検査によってみつけたと考えられる。本格検査でみつけたがんは、先行検査での見落としか、先行検査のあとの2年間に生じたがんだと思われる。しかし、それにしては数が多い。先行検査の半分以上ある。検査集団の加齢を考慮しても説明がむずかしい。

子供たちののどに超音波を照射した検査行為が甲状腺にがんを発生させたのではなかろうか。本格検査でがんが見つかった子供68人の先行検査結果を福島県が公表しているから、この仮説を検討してみよう。

表 先行検査と本格検査がんの関係


先行検査でA1は31人、A2は31人、Bは5人、受診なしは1人だった。先行検査でB判定(異常あり)だった274人に1人から本格検査でがんがみつかった。A1判定だった4061人から1人、A2判定だった3851人から1人、とくらべると10倍以上の割合だから、この結果はもっともらしい。

いっぽう、受診なしだった2万3784人からはがんが1人しかみつからなかった。この割合は、受診あり24万6647人から67人のわずか6分の1である。超音波検査を受診すると甲状腺がんになりやすいのではないかの疑いがここに生じる。

しかし、先行検査では24万6647人のうち115人にがんがみつかった。2145人に1人の割合である。先行検査を受診せず本格検査で初めて受診したひとの10倍の割合である。なにかがおかしい。先行検査受診なしの大半は、本格検査から対象になった低年齢児なのかもしれない。もしそうであれば、超音波検査のせい仮説は棄却される。

先行検査における対象者(平成 4 年 4 月 2 日から平成 23 年 4 月 1 日までに生まれた福島県民)に加え、本格検査では平成 23 年 4 月 2 日から平成 24 年 4 月 1 日までに生まれた福島県民にまで拡大した。(福島県)


やっぱりそうだ。原発事故時、胎児だった1学年を本格検査で追加してる。1学年だから2万人程度であろう。先行検査受診なしのほとんどは原発事故時、母親の胎内にいた子供であり、まだ幼くて甲状腺がんをり患していることがほとんどないからがん率が異常に小さいのだとわかる。超音波検査が甲状腺がんをつくった証拠は、まだない。
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フクシマとチェルノブイリの放射能汚染は同じ。どちらも健康被害は出ない。

フクシマの放射能汚染はチェルノブイリと同じだとした牧野淳一郎さんの見立ては正しかった。限られた情報しか入手できなかった事故初期に、何が起きたかをみごとに喝破していた(牧野の公開用日誌)。しかし、そのあと健康被害がいっこうに報告されないことを牧野さんは、報告が間違っているあるいは虚偽の報告がなされていると思ったようだ(岩波書店の月刊誌「科学」連載と2著書;牧野本批判黄色本批判)。しかし、そうではない。比較対象としたチェルノブイリの被害認定が間違っていた。

フクシマで放出されたセシウム137は5600兆ベクレル。チェルノブイリでは6京6000兆ベクレルだったから、その12分の1だ。汚染された土地の面積を地図上で測って同じ計算式で算出した。

表1 ヨウ素とセシウムの放出量比較
0115.png
表中の6.2は5.6に読み替えてください。その後、再計算して変更しました。

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健康被害の発生数は汚染された空間に何人が生活しているかによる。半減期が30年と長いセシウム137だけで比較すると、チェルノブイリ 555 kBq/m2 とフクシマ 4 uSv/h がほぼ同じ汚染になる。同じ汚染空間に住む人口を集計するとほぼ同じであることがわかる。チェルノブイリとフクシマの集団被ばく線量はほぼ同じだった。半減期が2年で放射線の強さが2.7倍のセシウム134も含めて比較すると、初めの1年間はフクシマがチェルノブイリよりひどく汚染されていたとさえ言える。

表2 セシウム137の同レベル汚染比較
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フクシマとチェルノブイリの放射能汚染の程度はほぼ同じだった。そして、30年前のチェルノブイリで低線量被ばくによる健康被害はなかった。健康被害が出たとする報告はすべて誤認による。いまフクシマで低線量被ばくによる健康被害は出ていない。今後も出ないだろう。ここで健康被害が出ないとは、その国で健康被害がいっさい生じないことを意味しない。平常時に一定確率で発生する病気や障害を超える数の発生が認められないという意味だ。

私自身は、フクシマの汚染をチェルノブイリと比べることに事故直後から没頭した(たとえば、2011年6月18日に発表した放射能汚染地図(改訂版))。遅延なくそれに成功したと自負しているが、評価基準としたチェルノブイリ被害に、残念ながら重大な事実誤認があった。

チェルノブイリから伝えられた健康被害はじつは深刻な過大評価だったと私が確信するに至った最大の根拠は、福島県の子供全員検査でみつかった甲状腺がんは放射線被ばくによるものではなく、精密な超音波検査を何十万人にも実施したからこそみつかったとする判断である。これは私だけの見方ではなく、国も県も認めた公式判断である(参議院予算委員会2016年10月6日環境大臣答弁)。福島県の子供全員検査でみつかった甲状腺がんが放射線由来でないのだから、チェルノブイリでみつかった小児甲状腺がんも放射線由来でない。なぜなら両者の低線量被ばくの程度は同じなのだから。すべて、してはいけない全員検査をしたためにみつけた過剰診断がんである。

汚染の程度は同じでも、フクシマでは、チェルノブイリと違って被ばくを避ける処置が適切に行われたから住民被ばくは桁違いに少ないと主張する人がいるかもしれない。そういう人には、放射能霧が向かう先をシミュレーションできるSPEEDIを使わなかったこと、飯舘村からの避難が事故後1ヵ月もたった2011年4月22日だったこと、水田土壌の汚染を測ることなく稲を作付して 500 Bq/kg を超える米を収穫したこと、首都圏東部の汚染が事故後2ヵ月たった2011年5月になっても新聞記事でデマ扱いされたことなどを思い出してもらおう。被ばくを避けるための適切な政策がフクシマ事故直後に行われたとは、とても言えない。

江川紹子氏による批判へのコメント

江川紹子氏から一昨日(2016年11月25日)名指しで批判を受けました。私のツイートを誰がどのように評価しようと私はかまいませんが、それが偏った見方だったり事実誤認に基づくものだった場合、それをそのまま放置するのはときとして元発言者の無責任にあたるかもしれないと考えて、江川紹子氏が「 」で切り取った私のツイート3つについて、前後のツイートいくつかを含めてその意味を以下で説明します。



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阿蘇2016年10月8日噴火

・01時46分、ブルカノ式爆発。空振、地震、停電。
・高さ12キロ(FL390、ひまわり8号/VAAC)
・4.5キロ北東に5センチの小石。窓ガラスを割る。
・噴出量20万トン

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等値線は、1、0.1、0.01 mm。

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トムラウシ

Date: Tue, 4 Aug 1998 16:21:49 +0900
Subject: [tephra:00457] トムラウシ


トムラウシ(2141メートル)の報告です.

1998年7月30日に登り,南沼キャンプ場で一泊して,31日に下山しました.家族連れを含む多くの登山者が日帰りでトムラウシ登山をしていた.ふもとの国民宿舎「東大雪荘」をベースにするとよい.私はキャンプ場に泊まって,ここの温泉にはいりました.350円.露天風呂がきもちいい.

オホーツク海高気圧が陣取っていて,登山する朝には雨に降られた.登山中も霧に視界を閉ざされていたが,山頂に出ると晴れていた.山頂からみると,標高2000メートル付近に雲海があり,その上に,十勝と旭岳の山頂だけが飛び出していた.十勝ピークのすぐ右となりの雲海からいつも入道雲が雲海を突き抜けて300メートルほど上昇していた.これは62-2火口からの水蒸気柱であることをこのあと確認した.トムラウシ山頂滞在22時間のほとんどが快晴だった.

さて火山学の調査結果です.

けつろん:トムラウシは完新世火山ではない.最後の噴火はおそらく14万年前.

理由:
1)Ta-a, Ko-dを挟むピート中にトムラウシからのテフラは挟まれていない.
2)地形的にもっとも新しくみえる山頂ドーム溶岩の角がとれていてコケに覆われている.また,よく日焼けしている(この特徴が登山者にいい山だと言わせる主たる理由のようだ).
3)そのK-Ar年代は14万年,15万年という(石崎ほか1995岩鉱225-233).

ことしは北海道も雪解けが早くて,水を確保するのが難儀だった.北沼は暖かかったので泳いだ.温泉が涌いているのかしら?

十勝岳

Date: Tue, 4 Aug 1998 16:21:56 +0900
Subject: [tephra:00458] 十勝岳


十勝岳にも登りました.
登っただけでなく,山麓も回りました.
八月の第一週末と重なったので,富良野・美瑛はたくさんの人だった.

太平洋に面した十勝平野と違って旭川盆地は晴れていた.

まず驚いたのは,「丘のまち美瑛」「ラベンダーの富良野」の波状地形の美しさです
.この地形は,西ヨーロッパやアメリカ東海岸(パッシブマージン)の地形とよく似
ている.地形だけでなく,その上に小麦が植えられていて,谷間には森に囲まれた家
があって,まるでドイツにいるような錯覚を覚えました.

多くの観光客をひきつけるこのエキゾチックな地形が,約100万年前に噴出した十勝
火砕流の堆積面をもとにして作られていることを知ってうれしくなりました.

100万年前の火山平坦面は白河にもあるが,そこはかなり傾斜していて,平坦面はす
くない.ここはそのほとんどが平坦面にちかく,畑作利用を提供している.

火砕流堆積物の表面が何度もの氷期を経験して,そのときの凍結融解作用によってこ
の波状地形ができたのだろう.道路脇の深さ2メートルほどの断面に凍結融解作用に
よるとおもわれる(礫の移動による濃集)構造が見えたし,地形凸部には砂丘の断面
がみえた.

火砕流堆積物の上には,(条件がいいと)ロームが50cmほど,クロボクが50cmほど堆
積している.クロボクの中には,細粒軽石からなるTa-a(1739)をみとめることがで
きる.しかし,恵庭aや支笏Spfa1などはまったくみられない.火砕流堆積物を覆うレ
スはすべて完新世のものだろう.しかしそれにしては(いくら北海道だといっても)
標高が低すぎるのではないか.高いところで400メートルだから.火砕流堆積物とい
うやわらかい地層の表面は凍結融解作用をうけやすいのだろうか.

富良野盆地は標高200メートルの平らです.これは断層によってできたらしい.まっ
たく平らなのは,十勝岳から泥流が何回も押し寄せてきたからではないか.そこは水
田になっている.「はるゆたか」というおいしいお米はここの産らしい.

そのほか見たこと考えたことを箇条書きします.

1)ベベルイ基線という直線道路のほぼ中間(たぶん自衛隊敷地内)で,粗い軽石か
らなる厚さ3メートル以上の降下テフラをみつけた.十勝火砕流堆積物の直前に噴出
したものだろう.この露頭は,噴出源の南西という「あさって」の方角にあることに
注意.

2)Ta-a, Ko-dがこの地域のクロボク中によく残っているのは,それらの噴火が積雪
がないとき(夏)に起こったからだ.もし積雪期に降下したなら,数cm以下のこんな
地層は雪解けとともに流されてしまっただろう.

3)十勝岳の火山砂防の施設にびっくり.とくに「十勝岳火山砂防情報センター」は
すごいですねえ.これは多目的施設ですね>伊藤さん.白金温泉に高層ホテルが新し
く二つも建ったことにもびっくり.

4)1988.12.25クリスマスの熱雲は,積雪期だったにもかかわらず樹木を押し倒して
います.これはいったいどうやって倒れたんだろう.白骨化しているから,ただ倒れ
ただけでなく焼かれたと思われる.この倒木帯に残された堆積物はどんなんだろう?

5)東側登山口で,Ta-aとTo-E3のちょうど中間に十勝の降下スコリア(最大粒径1cm
)の薄層をみつけた.これは,伊藤さん尾関さんたちに記載がありません.

6)1988年噴火のあとに温度が上がったという吹上露天の湯は,はいれないくらい熱
い.ただし,これは今年の雪解けが早く進んだためにうめる水が足りないという事情
が大きいらしい.

7)62-2火口からの白い水蒸気はかなり上がっていた.登山中,風向きによってとき
おり硫黄が強く匂った.火口に近づくと,水蒸気柱の中心部が黄色く染まっているの
がわかった.

8)北東に19km離れたトムラウシ南沼テント内で7.30夜間就寝中,硫黄臭を感じた(
気がした)が,これは十勝62-2火口からだったのだろうか?

鳥海山

◆鳥海山1998.10.6

鉾立から登りました.御浜までの登山道はたいへん親切に整備されていました.近い
将来,雅子さまがお登りになるのかしらと思ったほどでした(羅臼岳の岩尾別登山道
はまさにそのために改良されました.平が岳登山道では物議をかもしています).

さて1450mふきんのそうした石畳のすきまからオコジョが顔を出しました.地下にほ
どよいトンネルがあるらしく,私をさほど恐れることなく,いろんなすきまから出た
り入ったりしていました.

そのあたりはササ原でした.よほど積雪が厚いのですね.ブナは標高1300mくらいで
なくなります.さすが東北の山です.上越の山なら1600mまでブナがある.

1500m ふきんで十和田915火山灰をみました.厚さ1センチほど.10cmの泥炭に覆われ
ていました.

鳥海はタフリングです.鴬色のスコリアからなります.扇子森の東斜面の上に5mほ
どの大石がのっていますが,これは鳥海湖の噴火のときに吹き飛ばされてきた石でし
ょうか?700m 程の距離です.

鍋森溶岩ドームは完新世だと思いました.鳥海湖タフリングは完新世の古いほう.扇
子森南の溶岩ドームは更新世末期だろうと思いました.

月山

◆月山98.10.7

羽黒山から月山六合目ふきんの道路沿いは,美しいブナの森.水もおいしい.

六合目に大きな駐車場あり.キャンプできる.露頭もあり.

八合目から登山道が始まりますが,苗場山とよく似た,傾斜面の上に池糖(ちょっと字がちがうな.チトウと読んでください)が点在する風景.のんびりした山です.

八合目すぐ上の弥陀ヶ原の泥炭中に十和田915火山灰があります.

羽黒町にある月山ビジターセンターはたいへんよくできた施設です.環境庁もときどきいい施設を作る.たぶん作る人個人のセンスがかなり効くんだろうな.政治的センスもふくめて.○青社などの業者におんぶにだっこの施設ばかり見せられてきた目にはとても新鮮にうつったビジターセンターでした.

苅谷(1995地理学評論260-272)は,月山で礫の風化皮膜を測った論文です.斜め読みした限りでは,斜面が安定化した年代を知る目的には風化皮膜は役に立たないという否定的結論を得た論文です(むかし苅谷さんからこの別刷謹呈をうけたとき,否定的論文を書くヒマがあったらもっと別のことをしろ,と憎まれ口をたたきました.ごめんね).

たしかに,数千年の時間を議論する目的には風化皮膜は役に立たないでしょう.風化皮膜が役に立つのは,アメリカなどでの例を見ると,数万年から数十万年の時間を議論するときのように思われます.
http://www.edu.gunma-u.ac.jp/~hayakawa/fieldguide/p/US/CA/calif.html

地衣類(コケとはちがう)は数年から数百年の時間の議論に使えると思います.

苅谷さんが興味をもっている数千年を測る道具は何がいいんかねえ.
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