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早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

キラウエアの溶岩が再び国立公園内へ

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ハワイ火山観測所によると、キラウエアの溶岩の主たる前進箇所が、11月18日時点で、国立公園まであと375メートルに迫っている。過去1年間は国立公園の外で溶岩前進が見られたが、まもなく国立公園内に再び戻るとみられる。これによって、観光客による溶岩見学のスタイルも変わるだろう。


真っ赤な溶岩をシャベルですくう(2006年12月25日)

ハレマウマウ火口からの水蒸気と二酸化硫黄の大量放出はまだ続いている。狭い火口の底にマグマがまだ確認できる。

ハレマウマウ展望台火口内に高温溶岩が見えた

ハレマウマウ展望台のすぐ下に火口があいたのは3月19日だった。9月5日、この火口のなかに高温溶岩が初めて見えた。ヘリコプターから撮影された動画を見ると、溶岩はぐつぐつと煮えたぎっている。

高温溶岩の表面は、地表(ハレマウマウの床)の下100メートルほどの位置にあるという。この火口では9月2日20時13分に強い爆発があった。そのあと夜間に見える火映がたいへん強くなったのがライブカメラで確認できた。ただし、3月19日以来6回の爆発で開口部が拡大して地下がよく見えるようになった効果もあるから、高温溶岩が見えたことだけでキラウエア火山の勢いが増していると判断するのは早計である。展望台火口の直径はいま65メートルだ。

今後は、高温溶岩の表面の位置が浅くなってこないかどうかを関心を持ってみつめよう。展望台火口から高温溶岩があふれ出して、直径1キロのハレマウマウをすっかり満たして溶岩湖が出現するかもしれない。

この新しい段階を迎えても、ジャッガー博物館までの観光客立入りは継続されているようだ。見物する観光客がライブカメラに写る。

ハワイ火山観測所の報道発表 (9月5日)

ハレマウマウ火映復活

ハレマウマウの火映は、6月にはいって弱まっていた。ウェブカメラに写らなくなっていたが、7月にはいって2晩目のきょうはひさしぶりに赤く見えている。ハワイ火山観測所のハレマウマウカメラ

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ハレマウマウの赤熱よわまる

キラウエア・ハレマウマウの赤熱は、6月になって弱まっている。ウェブカメラでは確認できない夜が続いている。

HVOのページから

6月16日
Incandescence has become weaker in June; it was visible overnight in the base of the plume but no winks were noted, possibly due to the intermittent fog.

6月17日
Incandescence viewing was also hampered by intermittent fog overnight but a few views were recorded. The incandescence has been weak since early June and is now difficult to discern in the webcam views.

6月18日
Incandescence viewing was mostly clear last. Two clear winks were observed early this morning.

6月19日
Incandescence viewing was clear with two winks were observed.

マグマあれども見えず キラウエア山頂ハレマウマウ

ハワイ火山観測所の5月10日報告によると、

Last 24 hours at Kilauea summit: Molten lava probably exists at shallow depth within the new vent, but cannot yet be seen from the surface. Yesterday's overflight provided the best views so far of the incandescent vent throat dipping beneath at least 20 m (60 ft) of overhanging, crater filling flows (see images).


(和訳)溶融溶岩が新火口の浅いところにおそらく存在する。しかし、地表からはまだ見ることができない。きのう実施した上空からの観察でこれまでで一番よい視野が得られた。高温状態のために赤く輝く火道壁が少なくとも20メートル下まで見えた。

カラパナ溶岩展望台

カラパナ溶岩展望台を開設した3月8日は1万人が押し寄せたという。いまでも毎日2000から3000人がやってくる。



1990年頃の溶岩に埋め残された道路キプカの路肩を駐車場として利用しています。

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冷たい飲み物、スナック、懐中電灯、そしてポンチョを売る子ども。

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「ここから先は自己責任」と書いた看板とたくさんの仮設トイレ。

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万一に備えて救急車が待機しています。

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溶岩展望台までは、1990年頃の溶岩の上につけられたマークと杭に沿って歩きます。

カラパナのオーシャンエントリー 4月28日



溶岩展望台にそれぞれ自分の場所を確保して日没を待つ大勢の人たち。

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日が暮れると、このようにマグマの流れ込み口が赤く光る。この日は、流れ込み口までかなりの距離があり、向こう側の海に流れ込んでいて条件はよくなかった。それでも、ときおりスパターが飛び散って放物軌道を描くのが見えた。

4月27日のハレマウマウ

ハレマウマウからの噴煙をスチーミングブラフとジャガー博物館から撮影した。この日の噴煙の量は多かったが、火山灰を含まない水蒸気ばかりの白煙だった。日没後は、噴火口が赤く輝いた。月のない夜だったため、上空の雲に照り返す火映も確認できた。

IMGP2402s.jpg F11, 1/350, 50mm

IMGP2404s.jpg F11, 1/250, 18mm

IMGP2413s.jpg F11, 1/180, 18mm

IMGP2414s.jpg F9.5, 1/350, 55mm

F1.4, 1/4, 50mm

IMGP2510s.jpg F1.4, 2, 50mm

IMGP2547s.jpg F1.4, 15, 50mm

IMGP2551s.jpg F1.4, 15, 50mm

ヒロの上空を覆う黒雲と咳をする人



キラウエアの方向で発生してHiloの上空にかかる黒い雲。4月25日11時25分、Walmart駐車場で撮影。車は、ハイウエイ11号に平行に停まっている。

今朝のヒロは、無風で霧が深かった。宿の主人は「これはvogだ」という。Vog は volcanic fog。ハワイ島の住民が普通に使う言葉だ。今回の旅行では、コナでもヒロでも、おかしな咳をするひとをよく目にする。過去の滞在で、この特徴的な咳をこれほど多く聞くことはなかった。今月二度目の火山国立公園の閉鎖は、きょう13時に解かれた。

「テフラ」と「火山灰」の定義

ハワイ火山観測所が毎日出しているキラウエア最新情報に、次の記述がある。

Definitions of terms used in the update:
tephra: all material deposited by fallout from an eruption plume, regardless of size.
ash: tephra less than 2 mm (5/64 inches). Previous updates sometimes used the term 'ash' loosely (without regard to particle size) where 'tephra' was more appropriate.


和訳してみよう。

この最新情報で使っている用語の定義
テフラ:噴煙柱から落下する物質すべて。大きさによらない。
火山灰:2ミリより小さいテフラ。過去の最新情報では、粒の大きさを厳密に考えないで「火山灰」の語をしばしば使ったが、そこでは「テフラ」の語を使うのが適当だった。

一般向け情報なのに、なんと厳密で学術的でわかりやすい記述だろうか。そして謙虚だ。
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