早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

組織が個人による発言を規制する例

民主党、全議員にテレビ自粛令
アサヒコム 2007年09月15日05時59分

 民主党が党所属の衆参両院議員に対し、メディアで政局絡みの発言を慎むように求める文書を13日付で出していたことがわかった。小沢代表が12日に「テレビ出演には気を付けてくれ」と党幹部に指示したのがきっかけで、事実上、テレビ出演の自粛を求めた格好だ。

 口頭での指示が徹底せず、中堅若手の出演が相次いだため、文書で徹底した。幹部の一人は「浮足だって、政局モードで動いている相手の土俵に乗ってはいけない」と話している。

 文書は「政局が揺れ動いているが、民主党の政治姿勢や政策方針にはなんら影響を与えない」とし、「メディア対応は妨げないが、政局に関することは小沢代表にお任せ頂き、政局評論などのご発言は慎まれるよう」と要請している。


民間企業なら、社長がこのような指示を社員にするのはちっともおかしくない。しかし政治の世界では、反発があるようだ。新聞記事になったことから想像できる。学術の世界でも同様の葛藤がしばしば発生する。

キロトン、メガトン、ギガトン、テラトン

火山噴火の大きさを、噴出重量の対数で表現することをわたしはずっと使ってきました(噴火マグニチュード)。これは専門家にとっては扱いやすい数字表現ですが、一般向けに使うのはむずかしい。非専門家に対数の概念を理解してもらうのは困難です。

一般向けには、キロトン、メガトン、ギガトン、テラトンという表現を使ったらどうかと思いつきました。キロはずいぶん前から普通に使われてきましたが、最近になって、コンピュータのメモリの大きさを表すときに、メガ、ギガ、そしてテラも使われるようになりました。キロは1000、メガは100万、ギガは10億、テラは1兆を意味します。

噴火マグニチュード(M)との関係は、次になります。

M8.0  テラトン カルデラ破局噴火(火砕流) ハードディスク テラバイト
M7.0       
M6.0                     
M5.0  ギガトン プリニー式噴火        DVD ギガバイト
M4.0
M3.0                    
M2.0  メガトン(一連の)ブルカノ式爆発   写真 メガバイト
M1.0       
M0.0
M-1.0  キロトン 気づかないくらいの爆発   メール キロバイト

代表的な噴火様式がどのあたりに当たるかを、目安として入れました。比較のために、電子ファイルの大きさをバイト単位で入れました。

実際の噴火にあてはめると、次になります。

阿蘇4、8万7000年前、M8.4は、3テラトン
姶良丹沢、2万8000年前、M8.3は、2テラトン
鬼界アカホヤ、7300年前、M8.1は、1テラトン

十和田湖、1万5000年前、M6.7は、50ギガトン
十和田湖、915年、M5.7は、5ギガトン
桜島、1914年、M5.6は、4ギガトン
富士山、1707年、M5.2は、2ギガトン
浅間山、1108年、M5.1は、1ギガトン

浅間山、1783年、M4.8は、600メガトン
雲仙岳、1990年、M4.6は、400メガトン
伊豆大島、1986年、M3.6は、40メガトン
阿蘇、1989年、M2.6は、4メガトン
浅間山、1973年、M2は、1メガトン

浅間山、1983年、M1.2は、200キロトン
草津白根山、1982年、M1は、100キロトン
浅間山、2003年、M-0.7は、2キロトン

これなら、新聞にも書いてもらえるし、小学生にも説明できる。たとえば、「日本最大の噴火は、8万7000年前に阿蘇で起こりました。3テラトンものマグマが火砕流として一気に噴出したため、噴出口に大きなカルデラができました。」
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キラウエアの火映

へー、こんなに立派な火映が見えるんだ。
おそらく、Chain of Craters Roadからの撮影だろう。
東リフトゾーンから流れ出してジャングルを進む真っ赤な溶岩が、上空の雲に照り輝いている。9月3日くらい赤ければ、お客様も満足するだろう。

地元紙が伝えたパホア住民の声

Hawaii Island lava flows into unusual area
By Kevin Dayton
The Honolulu Advertiser, Tuesday, September 4, 2007

抜粋

"Nighttime, they go out on the porch and they see the red glow and everything, but they don't know what's happening," she said. "We have a lot of customers, and all day they're saying, 'Let's hope the lava is not coming our way.'

「夜になると、彼らはポーチに出て赤い火映を見る。しかし彼らは、何が起きているのかまったく知らない」と、彼女は言った。「私たちのところに来るお客さんは口をそろえて言う。溶岩が私たちのほうに来ないように祈りましょう。」

"I guess if we all say our prayers, maybe she'll just stay where she is," said Ikeda, who has her business, her home and land that she owns in the area. "My whole livelihood is here, so naturally we're all worried, but it can happen anywhere. It can go to Hilo."

「もし私たち全員が同じように祈れば、ペレの神様はいまいるところに留まると思います。」と仕事場と家と土地をその地域にもつイケダさんが言った。「私のすべての生活はここにあります。だから、当然私たちはみんな心配しています。しかし、これはどこでも起こりうることです。溶岩はヒロにも向かうかもしれないのです。」

"If you want long-term security, life on the side of the world's most active volcano is probably not what you really want," said Jon Olson, who lives in the Leilani Estates subdivision on Kilauea's East Rift Zone.

「もしあなたが長期的な安全を欲するなら、世界で最も活動的な火山の麓での生活は、おそらくあなたが本当に欲しているものではないでしょう」と、キラウエア東リフトゾーンの上にあるレイラニ地区に住んでいるジョン・オルソンは言った。

"Magic always has a price, right? So, we live in one of the most magical places in the world."

マジックは無料では見れません。違いますか? 私たちは、世界でもっともマジカルな場所に住んでいるのです。」

集落に迫るキラウエア溶岩流

Lava Flow Hazard Assessment, as of August 2007, for K?lauea East Rift Zone Eruptions, Hawai‘i Island
By Jim Kauahikaua

7月21日にキラウエアに開いた新しい噴火口からの災害予測を解説した12ページの文章です。著者はハワイ火山観測所の所長です。

> Although they pose no immediate threat to communities, changes in flow behavior could conceivably cause future flows to advance downrift and impact communities thus far unaffected.
いまただちに脅威はないが、溶岩流の挙動が変われば、集落に被害を与える可能性があると述べています。

図1 水系図。地形の最大傾斜方向を示す。
図2 地質図。地表をつくる溶岩を年代別に色分け。
図3 現在の溶岩流の到達範囲。
図4 噴火口の写真

図はすべて事実(ファクト)です。溶岩流災害が起こるかもしれないと心配されるこのような初期に、地質図を初めとするファクトを示す姿勢を、わが国も見習いたいものです。

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