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早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

キラウエア溶岩が分譲地を縦断

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USGS HVO

キラウエアの溶岩がロイヤルガーデン分譲地をついに縦断した。写真はアスファルト道路を前進するアア溶岩。あと1週間もすれば、海岸で溶岩すくいができるだろう。カラパナ側アプローチの終点駐車場から15分も歩けば到着できるところに流れ込むとみられる。流れる溶岩と遊ぶツアーが各所で復活するだろう。

軽石は高い火口から 溶岩は低い火口から

桜島大正噴火では、300メガトンの軽石が空高く噴き出すとともに、4ギガトンの溶岩が流れ出しました。

火口は南岳の東西山腹に開きました。どちらも山頂から放射方向に伸びる割れ目火口でした。1月12日10時ころ西で噴火が始まり、その10分後に東でも噴火が始まったと記録されています。

湯之平展望台からみた北岳と大正軽石

軽石は、噴火割れ目の中でもっとも高い西火口の標高530メートル地点からおもに噴き出しました。北岳から西に伸びる尾根の上に厚い軽石堆積物がのっているのを、湯之平展望台からはもちろん鹿児島市内の城山展望台からも見ることができます。

溶岩は、噴火割れ目の中でもっとも低い東火口の標高250メートル地点(鍋山の南山腹)からもっとも多く流れ出しました。海峡を埋めて大隈半島と陸続きにした溶岩はここから流れ出したものです。

桜島大正噴火犠牲者の半数以上が地震による

 
(左)桜島ビジターセンター内の展示、(右)東桜島小学校の校庭にある碑文の解説

1914年1月の大正噴火による死者は58人だと聞いていましたが、その内訳をこの展示から知ることができました。死者35人、行方不明23人。

死者のうち2人は噴火で混乱して我を忘れたのか、冬の海に自分から入って死亡。行方不明23人も同様に自分から海に入ったのではないかと疑われます。島内に留まって溶岩の下に埋まったとは思いにくい。溶岩の前進速度はとてもゆっくりですから。

残りの死者33人は、噴火開始日(1月12日)18時29分に起こったマグニチュード7.1の地震によって、対岸の鹿児島市側の住民が倒壊した家屋などの下敷きになって死亡したといいます。

もう少し調べないと確定できませんが、桜島噴火そのものによる死者はゼロだった可能性があります。その目で桜島の地質図を点検すると、大正噴火のときにそこに留まっても安全だったろうと思われる地域を島内にいくつか指定できます。

大正噴火でさえ島内に留まっても死ななかったのなら、次の噴火で高齢者や要介護者をわざわざ島外に避難させるいまの計画は、考え直したほうがよいかもしれません。 【“桜島大正噴火犠牲者の半数以上が地震による”の続きを読む】

通常のブルカノ式爆発だった 桜島昭和火口



桜島に行ってきました。有村で、3日もしくは6日の火山灰を観察しました。発泡してない小石を含む典型的なブルカノ式堆積物でした。おととしの昭和火口からの噴火は、静かに灰を降らせる灰噴火でした。今月の3回の噴火は大音響と火砕流を伴うものだったから、特別の噴火かと心配しましたが、とくに変わったことはありません。桜島でごく普通の爆発です。これは安心情報です。

きょう、国土交通省の桜島国際砂防センターを訪問しました。3日の2回の爆発、6日の1回の爆発の模様を動画で見せていただきました。鹿児島では、テレビニュースでも流れたそうです。

なお今回の桜島旅行は1月から予定していたものです。2月3日の昭和火口再開をみて急遽実施したものではありません。

黒神小学校と黒神中学校のリスク評価

昭和火口の下流にある黒神小学校と黒神中学校の被災リスクを評価してみよう。先月までは両校とも安全だった。日本の標準的な生活とくらべて、児童生徒が教室内で授業を受けることにとくに高いリスクは認められなかった。

しかし2月3日の噴火によって、状況が変わった。両校にいま先月までの安全はない。では両校を脅かす桜島のリスクはどれくらいになったか。現時点では、定量的に見積もるに足るデータが存在しない。とはいってもリスクを評価する必要性がいま認められるから、半定量的でもよいからなんとか見積もってみよう。


大きな地図で見る

児童生徒が背負う交通事故のリスクについて考える。昨年の交通事故死者は全国で約6000人だった。2万人にひとりが自動車社会の犠牲になった。個人から見ると、日本で1年間生活して交通事故に遭って死亡する確率は0.005%である。1ヵ月なら0.0004%である。黒神小学校と黒神中学校の児童生徒は、0.0004%の確率で自動車に引かれて死ぬリスクを容認して毎月通学しているわけだ。

さて、昭和火口から火砕流が噴出して黒神小学校と黒神中学校を焼き尽くすことを考えてみよう。あまり考えたくないことだが、これは1991年9月15日に長崎県の大野木場小学校でじっさいに起きたことである。さいわいにも、あのころは9月15日が敬老の日で祝日だったから、授業中の児童が火砕流に飲み込まれることはなかった。校庭の二宮金次郎像が身代わりになってくれた。

JP08[1]s 雲仙岳からの熱雲で焼かれた大野木場小学校

いまのような状況が桜島に100回発生して、1ヵ月以内に火砕流が黒神小学校と黒神中学校に到達することが1回起こると仮定しよう。これは1%の確率だから、交通事故リスクの2500倍に当たる。もし1000回に1回だとしても、交通事故リスクの250倍である。

大野木場小学校は、火口から4.3キロ離れていた。昭和火口から黒神小学校と黒神中学校までの距離は3.7キロだ。大野木場小学校を焼いた雲仙岳の火砕流と、いまの桜島から発生している火砕流の何が同じで何が違うか。その運動特性と破壊力にどのような違いがあるか。ほんとうはこういう火山学がわかればリスク評価がもっと精度よくできるのだが、2月3日と6日に桜島から発生した火砕流の特徴はまだほとんどわかっていない。火砕流が残した堆積物に近づいて試料を採取できれば理解が進むだろうが、実現していないようだ。

現時点では、黒神小学校と黒神中学校とその学区に住むひとたちは、交通事故のリスクと比べたら桁違いのリスクで自分たちがいま桜島から脅かされている事実にきちんと目を向けることが大事である。火砕流のリスクのほかに泥流や溶岩流のリスクもある。黒神のひとたちはこれらのリスクから目をそらしてはいけない。リスクをしっかり受け止めて、それをどう処理するか自分自身でよく考える。桜島を、火山を、火砕流を、よく勉強する必要があるだろう。考えた結果として選択した行動は、すべて正しい。リスクから目をそらし、考えないことが誤りである。

あいまいリスクがもたらす行政の無策

噴火予報はあいまいだ。何かが起こりそうだということはわかるが、何が起こるかはあいまいにしかわからない。また、いつ起こるかもあいまいにしかわからない。(いまの日本の多くの)地方自治体は、あいまいな情報だけでは動かない。しかるべき機関から明確な情報が出ないかぎり動かない。

気象庁が、わが国唯一の火山監視機関だ。地方自治体は、真の危機が迫ったときには気象庁が明確な指示を出してくれると信じている。頼り切っている。気象庁は、近年、防災官庁として生まれ変わると宣言して疾走しているが、火山にかぎって言えば、その施策の多くは空回りしている。火山監視情報の伝達システムは、わが国ではまだ未熟で発展途上にある。噴石問題など気象庁が使用する火山防災用語に不適切があることが以前から指摘されている。その上、昨年の法改正にともなって、避難指示を出すべき主体とその手続きが不明確になってしまった。

このような困難を抱えるわが国では、行政無策のまま、火山の怒り爆発のときを迎えることが多い。過去に例を拾ってみよう。無策でも、運がよければひとは死なない。

無策で運が悪かった例
・雲仙岳1991年(死者44人)
・三宅島1940年(死者11人)
・桜島1914年(死者58人)

無策だったが運がよかった例
・浅間山2004年
・三宅島2000年
・東伊豆1989年
・伊豆大島1986年
・三宅島1983年
・有珠山1977年
・三宅島1962年

事前に策が施された例
・富士山2000年(噴火なし)
・有珠山2000年(噴火あり、死者ゼロ)
・岩手山1998年(噴火なし)

死者があったかどうかではなく、事前に策が施されたかどうかでリスク管理の成否を判断すべきである。死者ゼロだった事例でも、それは単に運がよかっただけのことであり、不適切だったリスク管理を猛省しなければならない事例もある。

事前に策が施された例が3つあるが、これらのどれにも中心になって働いた人物が存在する。火山防災も、社会における他の営みと同じで、人材に依存するところが大きいのだろうか。

桜島 レベル3クリア

 

火山名 桜島 火山の状況に関する解説情報 第6号
平成20年2月6日16時50分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

> 昭和火口から約3kmの有村展望所付近で大きさ3~5mmの火山れき(小さな噴石)を確認しました。


じゃあ、きょうの爆発で桜島は噴火警戒レベル3をクリアしたわけだ。

桜島レベル3
> 火口から概ね2km以内に噴石飛散


これは、出先機関の反則プレイ、もしくは本庁が作成したルールブックの不備がもたらした不適切な結論である。2キロを超えて3キロまで噴石が到達したから、レベル3では不十分だとするのは当たらない。(ただし、これとは別のリスクのために、いまレベル4にすべきかどうかを検討する必要があることを私は否定しない。)

3ミリの石粒なら、無防備の頭に落下しても傷つくことはない。家に帰ってシャワーを浴びるだけで快適な健康生活を簡単に取り戻すことができる。一方、噴火警戒レベル表でレベル3において想定される現象として書かれた噴石は、弾道軌道を描いて空中を飛行して、着地点にクレーターをつくる(直径1メートルほどの)火山弾を念頭にしている。当たれば即死する深刻な火山現象だ。

洗髪必要と即死。もたらす結果がこれほど異なる火山現象を、同じ言葉(噴石)をつかって住民に伝達している気象庁は、まっとうな火山監視をおこなっているとは言えない。気象庁が使用する噴石という語に大きな問題があることを、私はずっと前から指摘してきた。この問題は、数年前から、学会で私以外の研究者からも指摘されるようになった。気象庁も、問題があることを火山噴火予知連絡会報で認めている。しかし、いっこうに改善されない。

「火山情報等に対応した火山防災対策検討会」

気象庁の火山行政に批判的な意見を表明している学識経験者をひとりもいれずに「火山情報等に対応した火山防災対策検討会」を内閣府と気象庁が招集したのは、知っていた。内閣府のページで公開されている議事要旨を遡って読むと、絵に描いたような審議会行政が延々と行われたことがよくわかる。法律にも、リスクコミュニケーションにも、そして火山学にも疎い行政官が立案した文書をそのまま通してしまっている。なかには、行政をほめちぎっている意見さえみられる。

この検討会を度重ねたことによって自分の能力と評判を錯覚してしまった気象庁は、昨年11月14日、気象業務法を改正して噴火警報を新設するところまで一気に突き進んでしまった。ご存知のように、昨年後半は突然の総理大臣交代劇や年金問題発覚などで、国会審議は実質的になかったに等しかった。混乱に乗じて法案を通したといってもよい。

いま、ようやく、気象庁暴走への批判の声が聞こえ始めた。しかし気象庁と内閣府は、その声を誤解によるものだととらえていて、みずからの行政に誤りはないと考えているようだ。先はまだ長い。

「火山情報等に対応した火山防災対策検討会」(第8回)
平成20 年1 月31 日(木)18:00~20:30
(主な意見)
この指針については、火山専門家から誤解を受けることがないように、内容の説明を行うことが必要である
○ 関係市町村に対しては、説明会を開催することにより、丁寧に説明する必要がある。

「火山情報等に対応した火山防災対策検討会」(第6回)
平成19 年10 月12 日(金)15:00~17:30
(主な意見)
○ 噴火警戒レベルのレベル3のキーワードを「入山規制」、レベル2のキーワードを「火口周辺規制」と変更することについて了承。
火山現象を予報・警報の対象とすべく気象業務法を改正することは画期的なことである

「火山情報等に対応した火山防災対策検討会」(第4回)
平成19年6月7日(木)14:00~16:00
(主な意見)
○ 新しいレベルの名称は、「噴火警戒レベル」とするのが適切。
火山情報はわかりやすい情報になった。今までの情報とは違うということを周知することが重要。
○ 火山防災体制を構築するためには、市町村だけでなく国や県の役割を明確に示す必要がある。

「火山情報等に対応した火山防災対策検討会」(第3回)
平成19年3月22日
テキスト13ページからなる噴火時等の避難体制に係る火山防災対策のあり方(仮称)骨子
(主な改善点)
○防災対応をいっそうとりやすくなるよう、主として噴火規模によって区分した現行の火山活動度レベルから、避難行動等の防災対応を踏まえて区分した新しいレベルに変更
○各レベルにキーワード(「避難」、「避難準備」、「注意」等)を設定し、具体的な防災行動に結びつくようわかりやすく表現

「火山情報等に対応した火山防災対策検討会」(第2回)
平成19年1月10日(水)13:30~15:30
(主な意見)
○ 火山活動の状況に対応し、必要な防災対応をイメージできるよう、火山活動度レベルの表現や区分を変更することについては了承。
○ 火山活動の危険性とそれに対応する行動について、よりわかりやすくする表現の検討が必要。例えば「避難段階」「準備段階」「注意段階」などの表現を用いることについてはどうか。

「火山情報等に対応した火山防災対策検討会」(第1回)
平成18年11月2日(木)13:30~15:30
(主な意見)
国として、全国の火山を視野に入れた火山防災対策のためのガイドラインの作成を検討することは極めて意義深いことである
○ 現在の火山情報は、火山現象に中心が置かれたものであり、住民の側から見て切迫感がイメージできない。火山情報の表現については、避難行動に結びつく分かりやすい表現とすべきである
○ また、その名称についても、取るべき行動が理解できるものとするのが適切である。


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桜島2月3日火砕流堆積物の詳細写真

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京都大学桜島のページから。クリック拡大は京都大学桜島へリンク。

発生の翌日撮影された写真だが、火砕流の堆積物表面から水蒸気が上昇している。高温であることを物語っている。

# 京都大学桜島のページにある昭和火口の熱映像はたいへん興味深いのですが、どの範囲をとらえた画像なのか初心者にはわかりにくい。可視画像が添えられるとよい。

桜島2008年2月3日火砕流が残した堆積物


気象庁の火山活動解説資料から

末端崖をもつ立派な火砕流だ。白っぽい色からして、軽石からなるのではないか。もし軽石なら、いま噴火しようとしているマグマは少量でないと考えるべきだ。本格的な噴火に発展する可能性を視野に入れなければならなくなる。

噴火警戒レベル・噴火警報の問題点

昨年12月の気象業務法改正によって新しく導入された噴火警報と、それに関連して以前の火山活動度レベルを修正してつくられた噴火警戒レベルにはいくつかの問題点があることを、法律成立以前から何回かに分けてここで指摘してきた。きょうはこれについて、いま最も重要だと私が考える問題点を四つに分けて整理してみよう。どれも、すみやかな処置が必要なものばかりである。

規制や避難の決定者
立入規制や避難を決める権限は市町村長にあることが災害対策基本法に明記されているが、噴火警戒レベル表や噴火警報文は、それらをあたかも気象庁長官が決めるかのように書いている。レベル表と警報文を手直しするか、もしく災害対策基本法を改正する必要がある。現在の気象庁火山行政は、違法状態にある。現行法では、気象庁ができることはリスク評価までであり、リスク管理に踏み込むことは禁じられている。(個別問題:浅間山の立入規制の内容が、軽井沢町と気象庁で食い違っている。)

あいまいな噴火予報
火山予報は、気象予報とくらべると桁違いにあいまいだ。あいまいな表現のために当たった印象が残りにくい警報を出し続けると、警報の語がもつ効力が薄れる。効力が薄れることを心配して警報を出す回数を減らすと、出し遅れて失敗する。噴火警報を出そうとする気象庁の意気込みは買うが、それを法律改正という単純な手段だけで今回導入してしまったのは、拙速だったといわざるを得ない。火山リスクの本質的あいまい性を社会によく理解してもらうための地道な啓発活動が伴っていない。気象庁職員が引率する火口見学ツアーを開催するなどして、住民の関心を火山に向ける努力をすることがまず必要だ。

予報の業務の許可
今回の気象業務法改正によって、火山現象の予報の業務をするには気象庁から許可を得ることが必要になった。現在進行中の火山噴火の推移予測は、すでに火山学界における研究テーマのひとつになっている。今回の法改正は、そのような研究にも許可申請を強いるものである。学術の健全な発展を行政が妨げている。明らかな悪法である。運用において、当該条項を適用しない処置が望まれる。長期的には、再改正されるべきである。

噴火警戒レベル表の内容
各火山の噴火警戒レベル表に書かれた内容に、大小の不適切が複数含まれている。火口の近距離に大規模宿泊施設があることを失念している、大規模噴火の定義が火山ごとに異なる、など。(具体的指摘は、過去記事参照)

気象庁火山情報に画像と動画がほしい

せっかく「火山の状況に関する解説情報」という長い名前の情報を新設したのだから、写真や図表をできるだけたくさん使って表現力豊かにわかりやすい発表を、気象庁にはしてほしい。

たとえば下に、火砕流が発生して1キロ下ったと書いてあるが、そう判断した証拠画像を情報に添付する配慮がほしい。そうすれば、気象庁がした判断が正しいかどうかを他者が検証できる。いまは検証できない。火砕流発生が事実かどうかわからない。いまは、気象庁が火砕流発生を伝達した事実だけがあるにすぎない。(学術の世界ではこう扱われる)

昨年法律を改正して、噴火警報を出すことにして、他者が無許可で噴火予報を出すことを禁じたのだから、気象庁にはそれくらいの努力(サービス)をする責任がある。

こういう事実と意見、規制と責任などのむずかしい議論とは別に、画像や動画をインターネットで公開すれば、地域住民に、そして広く国民全体に、いま進行中の火山現象をわかりやすく伝えることができる。画像や動画がもつ表現力は、テキスト情報とはくらべものにならないから、火山に関心をもつひとを増やすことができる。対象に関心をもつことが防災実現の第一歩である。ハワイ火山観測所によるキラウエア広報がよい手本になろう。

火山の状況に関する解説情報 第2号

火山名 桜島 火山の状況に関する解説情報 第2号
平成20年2月3日18時03分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(本 文)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続)>

 本日10時18分と15時54分に昭和火口(南岳東斜面の標高800m付近)で爆発的噴火が発生しました。このことから16時10分に火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)を発表し、噴火警戒レベルを2から3に引き上げました。

 本日10時18分の噴火では、噴煙が高さ1500mまで上がり、雲に入りました(噴煙高度、海抜約3000m以下)。噴石は7合目(火口から200~300m)まで飛散しました。15時54分の噴火では噴煙が斜面を流れ下る小規模な火砕流が見られ、火口から1km程度の範囲に到達しました。

 桜島では、過去の事例からみると小規模な噴火であっても、火砕流(火口から約1km程度流下)が発生する可能性があります。また、火口から2km程度の範囲に噴石が飛散する可能性もあります。

 火口から2km程度の範囲では警戒が必要です。
 また、風下では降灰に注意してください。

 なお、桜島では山頂から概ね2kmの範囲が立ち入り規制となっています。今回の噴火警戒レベル3(入山規制)により、この規制の範囲は変わらず、従来と同様です。

<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>


最後のこの書き方は、どう読んでも、規制を気象庁が決めているとしか読めない。文章力のなさでこうなってしまっているなら、文章を改良すればよい。規制主体である鹿児島市の語を挿入すればよくなるだろう。しかし意図してこう書いているのなら、それは違法行為だ。

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桜島 噴火警戒レベル3

気象庁が、桜島の噴火警戒レベルを3に引き上げた。

桜島の危険レベル変動
2006年6月12日 レベル3
(2ヵ月)
2006年8月18日 レベル2
(1年5ヵ月)
2008年2月3日 レベル3
(17日)
2008年2月20日 レベル2 【“桜島 噴火警戒レベル3”の続きを読む】

日本火山のリスク評価

リスクは被害と発生頻度の積であらわす。過去に起こった顕著な火山災害について、いま起こったときの想定死者数を被害とし、年代の逆数を発生頻度とみてリスクを計算した。得られた数値を各火山ごとにすべて足し合わせて、その火山のリスクとした。

この計算法だと、都市に近接した火山のリスクと、近い過去にカルデラをつくる大きな火砕流噴火をした火山のリスクが高く評価される。

雲仙岳(486)
十和田湖(258)
榛名山(245)
阿蘇(210)
富士山(208)
桜島(157)
支笏湖(91)
浅間山(63)
磐梯山(45)
洞爺湖(32)

交通事故による死者は、日本全体で毎年6000人である。火山リスク第1位の雲仙岳でも、その1/10に届かない。ただし都道府県単位で比較すると、鹿児島県・長崎県・群馬県・秋田県・青森県で、火山リスクが交通事故リスクを上回る。

日本火山全体のリスクは約2000(人/年)だから、交通事故の1/3である。

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キラウエアに根なしの溶岩湖

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USGS HVO

ロイヤルガーデン分譲地への溶岩進入は、きのう盛んだったが、きょうになって一息ついているようだ。溶岩を流し出している元を、ハワイ火山観測所の人たちは rootless shields あるいは perched lava pond というけど、大きいなあ。直径200メートルだというから、溶岩湖(lava lake)と呼んでよいだろう。赤外画像の迫力がすごい。