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早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

12万年前の石器は三瓶木次軽石の下から

12万年前の石器発見ニュースについて、各社報道を読んでわかることは以下の通り:
 島根県出雲市多伎町の砂原(すなばら)遺跡で今年(2009年)8月8日、一点の石器がみつかった。みつけたのは成瀬敏郎・兵庫教育大名誉教授。その後、石器19点がさらにみつかり、きのう(9月29日)現地案内と記者会見があったとみられる。同遺跡発掘調査団長は松藤和人・同志社大教授。
 出土したのは、三瓶火山から10万3000年前に噴出した木次(きすき)軽石の少し下。この層位から、約12万年前の石器という発表になったとみられる。丘陵地の斜面にあたり、地表の下2メートル。国道9号に接していて日本海が望めるという。現地は松浦政代さん(78)の私有地。調査団が立入り禁止処置をとっている。
 一時は40-50万年前と言われた日本石器の年代は、2000年に発覚した旧石器捏造事件で大幅に後退した。その後の再検討で生き残った石器のうち、もっとも古い年代は岩手県遠野市にある金取遺跡の8万年前だという。

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中国新聞に地層断面の写真      佐賀新聞に石器の拡大写真

石片が取り出された地層の年代が12万年前であることは、10万3000年前の三瓶木次軽石の下にあることからして間違いない。みつかった石片が12万年前に地中に固定されたのは確かな事実だ。しかし、みつかった石片が本当にひとの手が加わった石器かどうかの判断は、専門家のなかで意見が分かれるところのようだ。

今後の予定
10月4日1030 調査報告会@多伎コミュニティセンター
10月10-25日 調査速報展示@県立古代出雲歴史博物館
10月11日1330 成瀬名誉教授の調査講演会@県立古代出雲歴史博物館