川内原発を火砕流が襲ったのは歴史的事実だ。そのような災害再来に備えて火山監視するというが、それは役に立たない。
なぜなら、火砕流には予兆があるかもしれないが、それを火砕流にならない予兆から区別できないからだ。火砕流が1万年に1回なら、予兆は100年に1回出よう。火砕流噴火の予兆がもし100年出続けるなら、常時出ていることになる。いまも予兆あるのではないかい?
そもそも、入戸火砕流のようなカルデラ破局噴火は、原発再稼働や原発立地のために心配するだけで済むレベルの災害ではない。リスクはそれよりはるかに大きい。鹿児島県と宮崎県の存亡をかけた心配だ。この心配、ほんとにする勇気ありますか?
カルデラ破局噴火による川内原発の被災を心配すべきは、火砕流に焼かれて即死する鹿児島人・宮崎人ではない。1000キロ離れたところで火砕流から生き延びたと安心したのも束の間、放射能を浴びることになる東京人だ。
島崎邦彦委員「もう少しきちんとした検討が必要ではないかと思います。とくに、あの、火山学者の専門家の方を集めていただいて議論をする。やはり決める場合には、もう少し慎重な検討が必要かと思います」原子力規制委員会2014.4.23
月刊地理5月号の特集「火山災害は噴火だけじゃない」に、小論「
火山災害の種類とリスク」を寄稿しました。古今書院の許可を得て全文pdfファイルを公開します。


火山災害のリスクは、私たちがよく目にする噴火によるもの、すなわち高温マグマに直接よるものは小さい。噴火と無関係に大雨によって火山斜面で発生するラハールのリスクが無視できない。日本列島で100年に1回起こる既存火山体の崩壊による土石なだれのリスクが中程度に大きい。途方もない量のマグマを火砕流として地表に一気に噴出するカルデラ破局噴火は日本列島で1万年に1回しか起こらないから、私たちはそれをまだ目にしたことがない。しかし、そのリスクが火山災害リスクの中でずば抜けて大きい。このような低頻度大規模災害リスクに現代社会はどう立ち向かえばよいのか、現時点ではよくわからない。そのときが来る前に考えを深めておく必要がある。
放射線の強さを示すシーベルト毎時という単位は、測り方によってずいぶん変わります。上空から航空機で測ったとき、地上に恒久設置した線量計で測ったとき、体内臓器が実際に受ける放射線量、遮へいを考慮した日平均など、さまざまなシーベルト毎時があります。ただし、それらには比例関係があります。ここでは、その比がいくつなのかをわかりやすく説明します。
航空機計測航空機計測は上空300メートルから行いますから、そうして作った地図は直径300メートルほどの地域の平均的な汚染度合いを示しています。3年前、森林の上に降り注いだセシウム粒は、林床に落ちたあとほとんど動いていません。放射性物質の半減期に支配されて汚染程度がゆっくり減少する様子が3年後のいま航空機地図によく表現されています。3年たったいま、おおむね半減してます。
一方、都市空間では事故後3年間の風雨によってセシウム粒があらかた移動しました。建物の屋根やアスファルト道路でそれが顕著です。裸の土が露出した地表にあったセシウム粒もほとんど失われました。さらに人為による除染もなされました。航空機地図による都市の汚染が何を示しているか、その科学的な意味は、もはやはっきりしません。
私の放射能汚染地図私がつくった放射能汚染地図は、2011年3月に地表に落ちたセシウム粒がそのままの状態で保存されている場所の放射線量を示しています。2011年9月の値で表現しました。森林は航空機地図とよく合います。都市は、航空機地図より高い汚染を示します。
私の地図も文科省の航空機地図も、地上1メートルで測ったときの値で表現してあります。航空機計測は高さ300メートルで測った数値を高さ1メートルに換算しています。
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