30万人を調べて福島県がみつけたがんは103例である。

23年度の受診率はどの年齢階層も7割を超えるが、25年度の受診率は高年齢でとくに低い。16-18歳は3割しか受診していない。甲状腺がんは年齢を重ねると急激に増える傾向があるから、(事故当時)11-18歳だった受診者だけのがん割合を検査年度(すなわち地域)ごとに調べた。11歳未満のがん数は103例中わずか7例だから無視できる。103例すべてを11-18歳として扱って割合を計算した。


・がん数は11歳未満も含む。ただしそれは103例中、わずか7例である。
・16-18歳のがん率は11-15歳のそれの3倍だから、16-18歳受診者数の3倍と11-15歳受診者数の和を分母として割合2を計算した。
・データは福島県2014年8月24日発表資料から。
どの地域も、1万人あたりのがんは7~10人の中に入る。地域差は認めにくい。「25年度(それ以外)」は、放射能汚染が軽微だった会津と八溝である。この地域は今回の検査で対照群の役割を果たすだろうと当初から見込まれていた。今回得られた結果は、弱汚染地域でも強汚染地域でも、がん割合が変わらないようにみえる。年齢効果を補正した割合2で比較すると、弱汚染地域である会津地方のがん割合が強汚染地域である浜通りのそれより高い。
福島県の子どもの甲状腺がんは、原発事故前からあったものが、精密なエコー全員検査をしたせいでみつかったと解釈するのが妥当である。こういった(自覚症状のない)潜在がんが子ども1万人に3~4人もある事実は、今回初めてみつかった。医学は進歩したが、その陰で、58人の子どもたちののどにメスが入れられた。手術はこれからも行われるらしい。
上の検討は原発事故から検査までに経過した時間を考慮していない。受診者が年齢を重ねたことによって増えたがんをここから差し引く必要がある。(検査が最後に回った会津と八溝でのその差し引き数は、検査未了のためこれから増える数と相殺する程度ではなかろうか。)
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