早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

休火山と死火山を葬ったのは1960年代の教科書検定

1995年12月4日発行のアエラより、「編集部 内山幸男」の署名記事

○休火山や死火山は死語

 しかし、休火山、死火山という言い方は、今はしない。活火山以外は、「活火山でない火山」という同語反復的な呼び方をする。火山の寿命は人間よりはるかに長い。数百年や数千年活動していなかったからといって、死火山とも休火山ともいいきれないからだ。教科書からは、六〇年代に消えたらしい。

 「地学の方では、六〇年代前半から『やめて』とお願いした」

 と有田忠雄元文部省主任教科書調査官はふり返る。地理の教科書にはその後も残っていたが、それも、六〇年代後半には消えた。

 同じころ、富士火山帯とか那須火山帯とかいった「火山帯」も、教科書から消えた。

 今は、プレート理論に対応した火山フロントという言葉に置きかわっている。


科学と合理性を欠いたひとりの教科書調査官による情緒的な考え方が、教科書検定というシステムを通じて国全体に広まった。そして日本火山学界もマスメディアも、無批判にそれをあと押しした。

そこには、とりあえず活火山に分類しておけば住民の防災意識を向上することができるだろうという安直な考えが透けて見える。活火山の安売りが、結局は住民の防災意識の低下につながることに気づいていない。

火山の噴火リスク評価は、活火山かそうでないかの単純二分法に留まっていてはならない。休火山という概念を使った三分法は、定性的ではあるが二分法よりも一歩進んでいる。これからは、リスクを火山ごとに突き比べて定量評価するレベルに進まなければならない。日本には、すべての火山の噴火リスクを評価できるデータが10年も前から存在する。

日本の火山の最近噴火年代 (1996年12月)
いまから1年以内に噴火する(しない)確率の表 (1996年12月)


Dormantという語は、21世紀の学術論文のなかでも使われている。

For most long-term hazard estimates, the volcano in question is dormant and any seismicity, geodetic change, or fumarolic activity is at background levels.
C.G. Newhall and R.P. Hoblitt (2002) Constructing event trees for volcanic crises. Bull Volcanol 64, 3-20.の4ページ左段、下から7行目。

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