早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

噴火警戒レベル・噴火警報の問題点

昨年12月の気象業務法改正によって新しく導入された噴火警報と、それに関連して以前の火山活動度レベルを修正してつくられた噴火警戒レベルにはいくつかの問題点があることを、法律成立以前から何回かに分けてここで指摘してきた。きょうはこれについて、いま最も重要だと私が考える問題点を四つに分けて整理してみよう。どれも、すみやかな処置が必要なものばかりである。

規制や避難の決定者
立入規制や避難を決める権限は市町村長にあることが災害対策基本法に明記されているが、噴火警戒レベル表や噴火警報文は、それらをあたかも気象庁長官が決めるかのように書いている。レベル表と警報文を手直しするか、もしく災害対策基本法を改正する必要がある。現在の気象庁火山行政は、違法状態にある。現行法では、気象庁ができることはリスク評価までであり、リスク管理に踏み込むことは禁じられている。(個別問題:浅間山の立入規制の内容が、軽井沢町と気象庁で食い違っている。)

あいまいな噴火予報
火山予報は、気象予報とくらべると桁違いにあいまいだ。あいまいな表現のために当たった印象が残りにくい警報を出し続けると、警報の語がもつ効力が薄れる。効力が薄れることを心配して警報を出す回数を減らすと、出し遅れて失敗する。噴火警報を出そうとする気象庁の意気込みは買うが、それを法律改正という単純な手段だけで今回導入してしまったのは、拙速だったといわざるを得ない。火山リスクの本質的あいまい性を社会によく理解してもらうための地道な啓発活動が伴っていない。気象庁職員が引率する火口見学ツアーを開催するなどして、住民の関心を火山に向ける努力をすることがまず必要だ。

予報の業務の許可
今回の気象業務法改正によって、火山現象の予報の業務をするには気象庁から許可を得ることが必要になった。現在進行中の火山噴火の推移予測は、すでに火山学界における研究テーマのひとつになっている。今回の法改正は、そのような研究にも許可申請を強いるものである。学術の健全な発展を行政が妨げている。明らかな悪法である。運用において、当該条項を適用しない処置が望まれる。長期的には、再改正されるべきである。

噴火警戒レベル表の内容
各火山の噴火警戒レベル表に書かれた内容に、大小の不適切が複数含まれている。火口の近距離に大規模宿泊施設があることを失念している、大規模噴火の定義が火山ごとに異なる、など。(具体的指摘は、過去記事参照)

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