早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

あいまいリスクがもたらす行政の無策

噴火予報はあいまいだ。何かが起こりそうだということはわかるが、何が起こるかはあいまいにしかわからない。また、いつ起こるかもあいまいにしかわからない。(いまの日本の多くの)地方自治体は、あいまいな情報だけでは動かない。しかるべき機関から明確な情報が出ないかぎり動かない。

気象庁が、わが国唯一の火山監視機関だ。地方自治体は、真の危機が迫ったときには気象庁が明確な指示を出してくれると信じている。頼り切っている。気象庁は、近年、防災官庁として生まれ変わると宣言して疾走しているが、火山にかぎって言えば、その施策の多くは空回りしている。火山監視情報の伝達システムは、わが国ではまだ未熟で発展途上にある。噴石問題など気象庁が使用する火山防災用語に不適切があることが以前から指摘されている。その上、昨年の法改正にともなって、避難指示を出すべき主体とその手続きが不明確になってしまった。

このような困難を抱えるわが国では、行政無策のまま、火山の怒り爆発のときを迎えることが多い。過去に例を拾ってみよう。無策でも、運がよければひとは死なない。

無策で運が悪かった例
・雲仙岳1991年(死者44人)
・三宅島1940年(死者11人)
・桜島1914年(死者58人)

無策だったが運がよかった例
・浅間山2004年
・三宅島2000年
・東伊豆1989年
・伊豆大島1986年
・三宅島1983年
・有珠山1977年
・三宅島1962年

事前に策が施された例
・富士山2000年(噴火なし)
・有珠山2000年(噴火あり、死者ゼロ)
・岩手山1998年(噴火なし)

死者があったかどうかではなく、事前に策が施されたかどうかでリスク管理の成否を判断すべきである。死者ゼロだった事例でも、それは単に運がよかっただけのことであり、不適切だったリスク管理を猛省しなければならない事例もある。

事前に策が施された例が3つあるが、これらのどれにも中心になって働いた人物が存在する。火山防災も、社会における他の営みと同じで、人材に依存するところが大きいのだろうか。

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