早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

昭和火口から噴火したことの意味

桜島は、しばしば爆発して火山灰を近隣の鹿児島市などに降らせる活火山として、内外によく知られています。しかし6月4日に始まった噴火は、いつもの南岳山頂からではなく、その東斜面からでした(京都大学の図)。

桜島は円錐形をしていますが、西の鹿児島市からよく観察すると、北と南に1.2キロほど離れた二つの円錐(北岳と南岳)が合体した火山であることがわかります。そのうち南岳の山頂火口が1955年10月13日以来、毎日あるいは毎月噴火してきました。もう50年を超えました。詳しくみると、南岳の山頂にはA火口とB火口があります。先月までの50年間の噴火は、すべてこのどちらかで起こりました。

しかし6月4日に、南岳の東斜面の標高800メートル付近に新しい火口が開いて黒煙を上昇させました。そこは、1946年1月に昭和溶岩を流し出した場所でした。昭和火口が60年ぶりに噴火したと言うことができます。

昭和火口が再び噴火を始めた理由はわかりませんが、たいへん気がかりなことだと私は感じます。桜島はいま、予断を許さない状況にあると考えています。


桜島は1914年1月に噴火して40億トンの溶岩を吐き出しました。それまでは文字通り島だったのですが、このとき流れ出した溶岩が島を大隈半島と地続きにしました。これを大正溶岩といいます。過去2000年間の日本で最大量の溶岩流出でした。

1946年の1月に流出した昭和溶岩は、その20分の1の2億トンでした。それでも海まで達しました。そのあとしばらく桜島は静かでしたが、1955年10月13日からひっきりなしに噴火が起こるようになり、50年間で合計5億トンの火山灰を放出しました。

つまり、昭和溶岩や最近50年間の火山灰放出は、大正溶岩とくらべると桁違いに小さいことがわかります。最近50年間の南岳噴火は、桜島にとって余技のようなものです。桜島の本領は大正溶岩を含む大正噴火にあります。最近50年間だけの経験でこれからの桜島を予想するのは無謀です。

以上は、噴出量からの考察でした。これとは独立に、地殻変動から調べた桜島の地下へのマグマ蓄積のデータがあります。京都大学の図をみると、上で述べた噴出量からの考察より深刻な結論に到達します。桜島は現在、大正溶岩の8割程度のマグマを地下に蓄積していると考えられます(6月7日の石原コメント)。いま、そのマグマの動きが注目されます。

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