早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

気象庁による今日の噴石定義

本日12時に気象庁が発表した桜島解説情報15号には、次の記述が含まれている。

・弾道を描いて飛散する大きな噴石
・風の影響を受ける小さな噴石(火山れき)

したがって、気象庁による今日の噴石定義は次のようだと解釈される。

火山れきあるいはそれより大きいもの、すなわち直径2ミリ以上の粒子を噴石と呼ぶ。そのうち火山れきサイズを「小さな噴石」と呼ぶ。これは空中を飛行する際に風の影響を受ける。火山れきより大きい粒子、すなわち直径64ミリ以上の粒子を「大きな噴石」と呼ぶ。これは風の影響を受けずに弾道軌道を描いて飛行する。

火山学には64ミリ以上の粒子に対して火山岩塊(がんかい)という確固たる呼び名がある。英語ではblocksという。今日の気象庁がいう大きな噴石は火山岩塊に等しく、小さな噴石は火山れき(lapilli)に等しい。これらについて、大きな噴石、小さな噴石とわざわざ煩雑でわかりにくい呼び方をする必要性はどこにも認められない。新しい概念の提出がそこにあるわけでもない。また、昨年(2007年)12月に発表した噴火警戒レベル表では、噴石を一貫して大きな噴石の意味で使っている。この表をこのまま放置すると、次の火山危機のときに深刻な誤解が生じるだろう。

すでに確立している火山用語体系を使うことを拒絶して、気象庁内部だけで使ってきた隠語(jargon)の使用を社会に無理やり押し付けるこの行為は、健全なリスク・コミュニケーションの姿ではない。もし気象庁が、(出先機関である軽井沢測候所が明治以来つい最近まで使ってきた慣習を尊重して)噴石を火山岩塊の意味に限って使うというのなら、火山岩塊に代えて噴石の語を防災用語として一般に普及することに意義が見出せるかもしれない。しかし、そう定義せずに2ミリの石粒も噴石だといま新たに呼ぼうとするのなら、それは社会をわざわざ混乱させる愚かな行為である。防災用語の不適切な使用は、無念の犠牲者を生むことに直結する。気象庁は、火山監視機関としての責任を十分に果たしているとは言えない。

火山名 桜島 火山の状況に関する解説情報 第15号
平成20年4月3日12時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(本 文)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)が継続>

 本日(3日)10時55分頃、桜島の昭和火口(南岳東斜面、標高800m)でごく小規模な噴火が発生しました。監視カメラによると、灰色の噴煙を火口縁上高さ800mまで上げています。火砕流、弾道を描いて飛散する大きな噴石の飛散は確認されていません。

 昭和火口からの噴火は、2008年2月6日以来です。

 今後しばらくは噴火活動が継続し、南岳山頂火口及び昭和火口の周辺に弾道を描いて飛散する大きな噴石を噴出する程度の小規模な噴火が発生すると予想されますので、これらの火口周辺では噴火に対する警戒が必要です。また、風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石(火山れき)に注意して下さい。

<火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)が継続>


気象庁噴石にかかわる前回の文章は3月20日

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