早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

直径20ミリの火山礫も火山弾?



火山麓の市町村が、車道の上に落下したわずか20ミリの火山礫も火山弾と呼んで住民に広報した事実がここにある。2004年のことだ。風に流されて空中を移動した火山礫を火山弾と呼んでしまうと、弾道軌道を描いて空中を飛行して着地点にクレーターをつくるようなほんとうの火山弾を何と呼べばよいか、専門家は当惑してしまう。火山礫も、頭上にまともにくらえば生命の危険があるが、ほんとうの火山弾の破壊力はそれとは比べものにならない。両者を言語で明確に区別することが、火山防災のために必須である。

2004年9月1日の浅間山噴火で、後者のきわめて破壊的な火山現象が発生したが、気象庁はこれを一般に熱心に周知しようとしなかった。むしろそのような破壊的現象があったことを隠そうとしたようにみえる。そういった種類のリスクはまるでひとつもないかのような情報提供を、気象庁は続けた。正確な意味がわからない中規模噴火という語を多用し、いまの浅間山の噴火リスクは深刻なものではないことを発表文中に匂わせた。説明会では職員がはっきりそう述べた。2000年8月の三宅島噴火でも気象庁の姿勢は同様だった。伊ヶ谷の都道に突き刺さった直径50センチの火山弾には、結局言及しなかった。

このような近い過去の歴史的事実と、上に掲げたリーフレットにみられる市町村の無知、そしてそれを教育せずに放置する気象庁をみると、気象庁による噴石という語のいまの使い方は、単なる言葉遣いの不器用に起因するものではないように思われる。気象庁は意図してこの使い方を選んでいるのだろう。その意図は、防災の目的とは相反しているように私には感じられる。

気象庁噴石にかかわる前回の文章は4月3日

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