橋脚にしがみつき九死に一生 神戸の水害で男性語る アサヒコム
(前略)
能勢さんは「増水は想像を超える速さだった。濁流にのみこまれた人は逃げる間もなかっただろう。こんな悲惨な事故は二度と起きてほしくない」と振り返る。
きのうの神戸の水害で、橋脚にしがみついて助かったひとにインタビューして、そのとき何が起こったのかをありありと描き出した新聞記事だ。しかしそのいい仕事を、最後に置いた一文で台なしにしてしまった。
「こんな悲惨な事故は二度と起きてほしくない」は、助かったひとの発言として書いてあるが、執筆した記者の意思と価値観によって、まとめの言葉として据えられたものである。
新聞記事はこの災害を理知的に生き生きと描写している。しかし、最後のこの一文だけがとってつけたように情緒的だ。誰かに過失があって、そのためにこの悲惨な事故が起きたかのよう読めてしまう。しかし、きのうの水害は誰かに過失があったから起こったのではない。大自然の圧倒的な力にひとが打ちのめされたのだ。
たしかに悲惨な災害だったが、「二度と起きてほしくない」と念じてもそれは叶えられない。このような災害は、ときを置いてかならず繰り返す。ひとのちからでそれを止めることはできない。この記事を書いた記者は、ひとの手が及ばない圧倒的な自然に対する畏敬の念を忘れたように思う。
