早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

8月10日2時37分噴煙は「噴火の記録基準」を満たしていない

8月10日3時8分に気象庁は、浅間山が噴火したと発表した。噴火は2時37分にあったというから、日曜日の早朝だったにもかかわらず31分後の発表だった。この火山現象を噴火だと記録する決定にかかわった係官の数は多くなかっただろうと思われる。

噴火に関する火山観測報(浅間山噴火)(2008年08月10日03時08分発表)

火  山:浅間山
日  時:2008年08月10日02時37分(08091737UTC)
現  象:噴火
有色噴煙:火口上400m(海抜9800ft)
白色噴煙:不明
流  向:南東


これが噴火であると31分で判断したときの根拠は、「有色噴煙400メートル」だけだったろう。それは、おそらく長野県が設置した黒斑山カメラの画像を見ての判断だったろうと思われる。しかしそのアーカイブ画像を見ると、噴煙が有色か白色かを判断するのは困難である。2時37分の噴煙が、その後4時まで続く大きな噴煙と本質的に異なるようには見えない。この画像を使って、噴煙の中に火山灰が混じっているかどうかを判定するのは不可能だったというべきである。

さらに48分後の3時56分、解説情報2号が発表になった。「小規模な噴火が発生したもようです」と正直に逡巡を述べているが、後段では「浅間山で噴火が発生したのは、2004年12月9日以来です」と、噴火したのが事実だとして取り扱ってしまった。これを無批判に読んだマスメディアの大量報道によって、浅間山噴火が既成事実だとして扱われるようになってしまった。

火山名 浅間山 火山の状況に関する解説情報 第2号
平成20年8月10日03時56分 気象庁地震火山部

**(本 文)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)が継続>

1.火山活動の状況
 本日(10日)02時37分、山頂火口でごく小規模な噴火が発生したもようです
 噴煙の高さは火口縁上400mです。
 浅間山で噴火が発生したのは、2004年12月9日以来です。

2.防災上の警戒事項等
 浅間山では、火口から概ね2kmの範囲に影響を及ぼす噴火が発生する可能性がありますので、これらの地域では、弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒が必要です。
 また、風下側で、降灰及び風の影響を受ける小さな噴石に注意が必要です。

<火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)が継続>


報道によると、その時間に微動が3分ほど継続したと気象庁が述べたという。微動はたしかに注目すべき火山現象だが、それが直ちに噴火の発生を意味するものではない。噴火がなくても微動は発生する。

気象庁は2005年5月10日、「噴火の記録基準」を定めた。10日未明に浅間山であった火山現象は、この基準に照らして本当に記録すべき噴火だったといえるだろうか。確認方法は3つあると書いてあるが、10日未明の現象はそのどれにも合致するようにみえない。噴煙は南東方向に流れたというが、その地域で火山灰は確認されなかった。火口から2.2キロの地点でも爆発音は聞こえなかったという。

噴火の記録基準
噴火の規模については、大規模なものから小規模なものまで様々であるが、固形物が噴出場所から水平若しくは垂直距離概ね100~300m の範囲を超すものを噴火として記録する。
確認の方法等は以下のとおりとする。
(1)遠望カメラによって基準に合致すると考えられる火山灰の噴出が確認できた場合
(2)後日の現地調査で基準に合致すると考えられる現象が確認できた場合
(3)地震計・空振計等によって基準に合致すると考えられる現象が発生したと推定できた場合


コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://kipuka.blog70.fc2.com/tb.php/185-8aca51e0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad