早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

火山防災の責任が気象庁長官に移って一年

日本の火山防災の責任を気象庁長官が一手に引き受けることになってから、きょうで一年が経過した。気象庁は、日本のおもだった火山に噴火警戒レベルを1から5まで設定した。各レベルによって、住民がとるべき防災行動をそれぞれ規定している。レベル4で避難準備、レベル5で避難だ。住民が避難行動を開始するきっかけは、気象庁が宣言するレベル5である。逆に言えば、住民は気象庁がレベル5を宣言するまで避難しなくてよい。

この一年間、気象庁による情報公開は、とくにインターネットを介してめざましく前進した。火山に異常があると、従来のテキスト情報だけでなく、写真や観測データを掲載したpdfファイルをきわめて迅速に公開するようになった。その迅速と詳細についての賞賛の声が国外から私の耳に聞こえてくる。

しかし、気象庁が火山防災を責任を持って遂行するに十分な能力をこの短期間で獲得したかというと、もちろんそうではない。まだ、はなはだ不十分だ。それは一年や二年で達成できることではない。実際、8月22日の霧島新燃岳の噴火は、レベル1のまま発生してしまった。気象庁は、新燃岳が噴火したのを知ってからレベルを2に引き上げた。

住民が避難するべきか、しなくてよいか、の意思決定は昨年12月から気象庁がすることになった。これは、その意思決定を市町村長がすると定めた災害対策基本法と矛盾しているように私には思われるが、市町村長は自らの決定権を責任とともに中央に差し出して無邪気に喜んでいる。

ほんとうにこれでよいのか。火山のリスクについて、何をどこまで受容するかには地域依存性がきわめて高い。地方固有の文化に直結する価値観をみずから捨て去り、中央の言うがままに従ういまの方式でほんとうによいのか。

いまの中央が地方と同一の価値観を共有するとは、私にはとうてい思われない。

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  • 2014/10/01(水) 16:35:34 |
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