早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

「噴火警報の切替え」って何だ?

気象庁地震火山部が6日16時に発表した「火山の状況に関する解説情報 第4号」の中に次の記述がある。

1.火山活動の状況及び予報警報事項
浅間山では、2月1日に火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げました。その後、2月3日に噴火警報を切替え、噴火警戒レベル3(入山規制)を継続しています。


2月1日に気象庁が浅間山のレベルを2から3に引き上げた事実は広く報道されたのでよく知られている。3日に噴火警報を切替えたというのを私は、新聞記事で目にした記憶がある。そのときは意味がわからなかったが、新聞記者が生半可な理解で書いたのだろうと思って放置していた。しかし気象庁が本当にそうアナウンスしたのだと、きょう確認することができた。これはいったいどういう意味なのだろうか。気象庁は「切替え」という言葉で何を伝えようと意図したのだろうか。同じ文の後ろでレベル3継続と書いているから、私には意図がまったく読み取れない。読み取れないのは私だけではないだろう。

2月3日に気象庁は、浅間山の危険が増したと伝えたかったのか(そうではないだろう)、減ったと伝えたかったのか、それとも変化なし(現状維持)と伝えたかったのか。日本語をそのまま読むと、ひとつの文の中で矛盾しているので理解不能である。

広辞苑によると、
切り替える
(1)今までのに取りかえて別のにする。新しくする。「スイッチを―・える」「頭を―・える」
(2)両替する。兌換する。

気象庁は、防災官庁であることを自認するなら、防災情報を伝える際に独自の言葉遣いを用いることを徹底的に避けるべきだ。防災のために気象庁ができることは日本語による情報提供だけなのだから、気象庁は平易なことばでわかりやすく情報を伝達することに熱心に努めなければならない。いまの気象庁にはそういった意識・配慮が欠落している。これは現場担当者の問題ではなく、指導層の意識の問題だ。「噴石」については、もはや手がつけられない状態に陥ってしまった。


毎日新聞長野は、3月7日に次のように書いた。

浅間山:依然、高まった状態 気象庁、注意呼びかけ--2月の火山活動状況 /長野
 気象庁は6日、先月2日に小規模噴火した浅間山(2568メートル)の2月の活動状況をまとめた。火山活動は依然高まった状態で、火口から4キロの範囲に噴石が飛散する可能性があり、注意が必要という。

 1月下旬から火山性地震が急増したため、2月1日に噴火警戒レベル2(火山周辺規制)を3(入山規制)に引き上げた。2日未明には小規模噴火が発生、火口北西1~1・2キロに噴石が飛散し、軽井沢町をはじめ、関東南部でも降灰を観測した。噴火は9~17日にかけ、ごく小規模の噴火が8回発生した。

 火山性地震は2178回(1月3472回)▽火山性微動は236回(同96回)と、やや多い状態。二酸化硫黄の放出量は1日当たり2000~4600トンと多かった。山体の膨張を示す傾斜計観測では、2日の小噴火以降、変化は観測されていない。光波測距観測による山頂部の膨張変化は鈍化傾向にあるという。【藤澤正和】


しかし気象庁がいう噴石は、2月1日の噴火で浅間山から6キロくらいまで届いた。噴石が飛散する可能性があるのは4キロまでではない。この新聞記事は、気象庁が言う「弾道を描いて飛散する大きな噴石」に限った話だ。気象庁がいう「風の影響を受ける小さな噴石」はもっと遠くまで届く。

このような複雑怪奇な言葉遣いを新聞に求めるのは、そもそも無理だ。こういった誤報が流布する責任は、新聞社よりむしろ噴石をこのように定義して使う気象庁に重い。

噴石に関する私の代案
・噴石は、もう使用しない。
・弾道を描いて飛散する大きな噴石 → 火山弾
・風の影響を受ける小さな噴石    → 火山れき(あるいは小石)

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