6日のイタリアの地震は予知できていたが、パニックを理由に当局が学者の発言を封じていたと日本では報道されています。わたしはイタリアの原報道にあたっていませんが、まずはっきりさせなければならないことは、本当に予知できていたのか、です。予報と地震が偶然近接しただけではないことを立証する必要があります。それには、予報のもとになった観測データを詳しく見ることが不可欠です。ラドンだけなのか。地震計や電磁気も使ったのか。
毎日新聞によると、地震予報は2月にあったという。その学者が発生時期をどのように発表したのかも気になるところです。
観測データに変化があっても、「必ずそこで地震が起こるという明確な関係がなければ役に立たない」という報道がありますが、これは誤った考えです。もし1年365日のうち10日だけ警告をある限られた地域に発して、そのうち1日で死者が出る地震が起こるなら、社会はコストを払ってそれを採用するべきです。社会に役立つシステムだと言えます。しかし、そのようなシステムは、残念ながら、いまは存在しないようです。