パンデミック(全世界的流行)のリスクが高まった豚由来インフルエンザ。入手できる情報がどうもわかりにくい。
・メキシコ産の豚肉は安全なのか。食品安全委員会は、豚肉を食べても豚インフルエンザに感染することはないと言っている。ウイルスは加熱と胃酸に弱いからという理由だ。では、生の豚肉にはウイルスがついていないのか。もしついているのなら、豚肉の調理時に感染する危険があるではないか。
・弱毒性だから死なない(死亡する確率は低い)と考えるのは間違っていると、NHKが繰り返し報道する。これがどうも理解しにくい。毒性が弱いなら死ににくいと考えるのが普通ではないか。弱毒性でも、変異して強毒性になるかもしれないから危険だというなら、弱毒性に留まっている限り、その危険は小さいと表現してよいではないか。
いま巷間に流布している豚由来インフルエンザにかかわる情報は、特定の意図によって捻じ曲げられたり、コミュニケーション技術の未熟によって不適切なものになっている。
新しい学術知識を社会に向けて正確に詳細にそしてすみやかに伝達しようとする行為は、その学術知識が社会性を帯びていればいるほど、難易度が高くなる。正常な情報伝達(コミュニケーション)を妨げる要因が社会のさまざまな階層で発生する。それらをすべて克服するのは、並大抵の能力と努力と気力ではできない。