早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

2月4日噴火 現状把握

0943 ブルカノ式爆発。小林市側で大音。
1811 大隈半島東方沖で地震M4.7、鹿屋で震度3



火山の現状把握と未来予測

今朝までに8000 4700万トン出た。これは一年前から地下の浅いところに蓄積されたマグマの量にほぼ見合うらしい。火口観察とも照らし合わせると、毎日900万トンのマグマ注入はストップしている気配が強い。

だからもう噴火は終わり。きのうの予知連はそうおもったフシがある。しかし私はそう思わない。地下の深いところから大量のマグマがいきなり上昇してきて大きな噴火に至ることを心配している。たとえば伊豆大島1986年11月21日の噴火がそれだった。

そのあと、地殻変動を観測してマグマ移動の前兆をキャッチする試みが続けられてきたことは承知している。敬服する。しかし、まだそれができたためしは一度もない。だから、私は懐疑的である。いまこの瞬間にプリニー式噴火が発生しても、文句は言えないとおもっている。

しかし、26日から続いた緊張、いつどうなるかわからない状況からは、徐々に脱しつつあるように感じる。次いつまた始まるか油断はならないが、26日から始まった危機はいったん遠のこうとしているようにみえる。

伊豆大島1986年の場合で言えば、いまは11月19日にあたる。全島避難の21日は来るもしれないが来ないかもしれない。また、来るとしても2日後か20日後か200日後か、わからない。いまの火山学の実力はこんなものだ。

避難を指図するのは誰か

今朝のNHKニュースで女性アナウンサーがこう読んだ「気象庁は4キロ以内に立ち入らないように呼びかけています」気象庁がほんとにそういったかまだ確かめてないが、NHKは指定公共機関だから、この発言をテレビで伝えた責任は重い。気象庁が立ち入り制限をしてはならない。気象庁の職務は、そしてすべきことは、火山監視に基づくリスク評価までである。

言ってよいのは「4キロまでは警戒を要する」まで。その情報を受け取った市町村長が、地域の事情を加味して、どこまでを立ち入り禁止にするかを決める。これが災害対策基本法だ。今朝のNHKは、気象庁長官が違法行為をしているとみんなに振れ回った。指定公共機関だから、自分も共同正犯だというべきだろう。

大雨や大風のとき、外に出るなと気象庁がいうときがある。だから今回の発言もかまわないとする見方があるようだ。しかし大雨と大風のときそれを言うことだって、じつは違法なのだ。軽微だから、そしてそういうことによる社会的利益が大きいから黙認されているにすぎない。

一方、いまの気象庁+NHKの違法行為はけっして軽微でない。地元が大迷惑をこうむっている。地元は、自分に許されているはずの権限を、不法に中央に奪い取られてしまってほとほと困っている。

ブルカノ式はこわくない

ブルカノ式爆発(気象庁が数えている爆発的噴火)は、こうなったら必然である。火口内に6000 2700万トンもの新溶岩が蓄積された。1000度だ。これが常温まで冷えるわけだから、その過程でときどき爆発する。

いまのブルカノ式爆発はそういうものだ。ことの本質ではない。付随的効果だ。ブルカノ式爆発は、火山弾を4キロまで飛ばす。安全をみて5キロまでを危険区域とすれば、その外側は大丈夫だ。せいぜい10キロまで小石が降って、車のガラスが割れるだけ。10キロ以上は、灰が静々と降るだけ。ブルカノ式爆発と共存して生活するのはむずかしくない。鹿児島市がすでにもう何十年もやってきたことだ。

いま心配しなければならないことは、調べるべきことは、このあといつ何が起こるかを定量的かつ具体的に把握して、そのリスクを地元にわかりやすく伝達することだ。リスクコミュニケーションのスキルが求められている。

現地対策本部をつくれ

有珠山2000年噴火で出たマグマは100万トンの桁だ。今回はもう8000 4700万トン出た。桁違いだ。有珠山のときは、噴火前から大勢のひとが現地に詰め掛けて、噴火後直ちに現地に対策本部ができた。今回はすでに10倍以上の噴火なのに、その気配がまったくない。

観測体制の強化だけでは不十分だ。防災体制も強化しないとならない。まずは現地に対策本部をつくれ。

雲仙岳で1991年5月に溶岩ドームが出現した直後、現地で下鶴会長とお会いした。残念ながら、6月3日の火砕流で犠牲者を出してしまったが、下鶴さんが、現地に足をただ運んだだけでなく何日も滞在して親身の心配をしたことを私はよく知っている。

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