早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

2月16日 まとめ 黒い南斜面

明け方、火映かすかにあり。



霧島山新燃岳2011年噴火 ここまでのまとめ

1月19日 突然の火山灰放出。日南に積灰。21日、22日にも火山灰放出。
1月26日 0731から火山灰を連続的に放出し始める。1458鶏の尾のような真っ黒いジェット。1514火砕流が1キロ下る。1600からプリニー式軽石噴火。噴煙の高さ7.5キロ。2時間50分継続。翌27日0210からも2時間30分継続、同1630からも1時間10分継続。この3回で2000万トンのマグマが軽石となって空中に吐き出された。この3回のプリニー式噴火に伴う地形変化が傾斜計でとらえられている。新燃岳はこのあとも火山灰を連続的に放出し続け、ときどきブルカノ式爆発をして火山弾を飛ばし、風下に小石を降らせた。
1月28日 1200ころ火口底に溶岩出現。31日までの3日半で2700万トンの溶岩が地表に出現して、火口内に直径600メートル深さ100メートルの溶岩湖ができた。その3晩は、まばゆいばかりの火映が火口上空に現れた。GPS連続観測によると、26日から始まった顕著な地形変化は31日で終わった。
2月1日 0754にとても強いブルカノ式爆発が起こった。火山弾を3.2キロまで噴き飛ばした。山火事が発生し、多数の窓ガラスが割れた。このブルカノ式爆発は溶岩湖の冷却に伴って起きている。最初は数時間おきだったが、その後だんだん間隔があくようになった。
2月7日 午後、火山灰の連続的放出が途絶えるようになった。
2月15日 火山灰の放出はほぼ止まっている。数日を置いてブルカノ式爆発がときどき起こって小石を風下16キロまで降らせる。車のガラスを割るなどの被害が出ている。

1月26日のプリニー式噴火は何の警告もなしに起こった。次のプリニー式噴火の前には警告があると期待するのは合理性を欠く。

参考にすべき過去の噴火事例
・伊豆大島1986
・桜島1914
・樽前山1909
・鳥海山1801
・浅間山1783
・桜島1779
・岩手山1732
・霧島山新燃1716
・桜島1471
・霧島山御鉢1235
・浅間山1108

新燃岳の黒い南斜面

前日の低気圧が去った15日は晴れ渡って鹿児島市から霧島山がよく見えた。山は雪をかぶって真っ白になったが、新燃岳の南斜面だけ積雪がなくて黒かった。重要な観察事実は次である。1南西側の黒/白境界がいちじるしく明瞭である、2複数の沢に沿って黒が伸びている、3南斜面の下部に積雪のある白い帯が細くある。4中岳は白い。

新燃岳1s 新燃岳2s 南日本新聞社提供

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16日朝の南日本新聞に、考えられる原因が二つ書いてある。11日と14日のブルカノ式爆発で飛散した火山れきの熱が雪を融かした。溶岩湖の上を通過する空気が風下の地表を温めた。このほかに、溶岩湖が上空の雪を融かして雨を降らせたとするモデルもきのうツイッターで目にした。しかしこれらのどれも上記の観察事実をうまく説明できない。

26-27日のプリニー式噴火で降り積もった軽石にまだ熱が残っていたと私はきのう考えたが、これも説明力が小さいモデルだ。とくに南斜面の下部にある細い白帯が説明できない。溶岩湖の熱が直接伝わって地表の雪を融かすモデルも考えにくい。南西斜面を火口縁まで続く明瞭な黒/白境界が説明できない。

溶岩湖から上昇する暖かい空気が北西からの風に吹かれて、山の南東斜面に吹き降ろすモデルはどうだろうか。雪はいったん積もったのだが、南東斜面だけがドライヤーの温風を当てられたようになって選択的にさっさと融けた。15日午前の、高さ2000mの風向きは北西からだった(ウインドプロファイラ)。

ドライヤーモデルだと、南東斜面に一条だけ白い積雪が残ったこともなんとか説明できる。温風が届かなかった、あるいはそこまでの距離では冷えてしまったのだ。沢を下る黒は、温風で融けた雪が小さな泥流を発生させたと考えられる。

コメント

新燃岳の噴火について

東側斜面も黒白に分かれています。

  • 2011/02/16(水) 20:17:20 |
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  • 高原町住民 #-
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