早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

3月4日 地震、軽石

0250 地震M2.9、9.1km、小林市真方で震度2。おそらく噴火開始後初の有感地震。



マグマ噴火の証拠は軽石

テレビ朝日の池上解説も、NHKのクローズアップ現代も、この噴火が300年ぶりの本格的マグマ噴火だと断定したが、その証拠をいわなかった。専門家の発言を受け売りしたのみ。これでは報道番組として失格だ。軽石を見せるべきだった。軽石こそがマグマ噴火の物証である。

軽石は、マグマが泡だったことを示す火山噴出物だ。軽石だからといって軽んじてはいけない。むしろ事態が深刻であることを伝える地下からの手紙だ。

もし気象庁が、軽石が軽い言葉だからの理由で不使用の判断をして、いかにもおどろおどろしい噴石の語を好んで多用しているのなら、みずからの火山学力のなさと日本語表現力のなさとコミュニケーション能力のなさを恥じるべきだ。軽石とはこういうもので、これこれこういう理由で深刻だと説明して、重要キーワードとして情報発信するのが正しい。

1月26-27日の軽石噴火のすぐあと、28日に火口底に溶岩が現れたので、その溶岩を見てテレビでは「本格的なマグマ噴火」と言ったのかもしれない。そう発言している専門家もいるようだ。テレビ人は仕方ないかもしれないが、軽石がもってきた深刻な手紙を読む能力のないそういう専門家は、さっさと退場してほしいものだ。

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新燃岳2011年噴出物。(左)1月26日プリニー式噴火による軽石、(中)その後の灰噴火による火山灰、(右)2月上旬のブルカノ式爆発による小石。

軽石より小石のほうが当たると痛そうだが、噴火の破壊力は軽石が小石をはるかに上回る。軽石は、大量のマグマが一気に噴出するプリニー式噴火でできる。20キロも30キロも高い噴煙の柱が何時間も維持される。風下はその間真っ暗になり、しばしば火砕流が山麓に下る。小石を降らすブルカノ式爆発は単発で、10分くらいで終わる。噴煙の高さはせいぜい10キロ止まりだ。

即物的理解に留まることなく、噴出物から噴火の情報を引き出すことができることを知ってほしい。これが地質学だ。知らなかっただろう。地質学はすごいんだ。


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