早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

京都大学が意欲的なコメント

それにしても、京都大学と気象庁のこの見解の違いは何だ。
京都大学は、島内に桜島火山観測所をもって長く研究を続けてきた大学だ。出先の単なる観測所ではなく、教授・助教授以下の火山研究者を複数かかえているから、日本における火山研究の中心のひとつだと言ってよい。

6月4日の昭和火口噴火発生以来、気象庁(実際には、鹿児島地方気象台と福岡管区気象台)が出した情報には粗さが目立つ。明らかな矛盾も指摘できる。そのいくつかは、すでにここで紹介した。

気象庁は情報発表が単に稚拙だっただけでなく、昭和火口から60年ぶりに黒煙が上昇した事実の受け止め方が甘かったと言わざるを得ない。現時点でも甘い。

1955年以来51年間続いた南岳山頂火口からの爆発を監視するのと同じ基準で60年ぶりに開口した昭和火口からの爆発を評価したのは、まったく不適切だった。51年繰り返された南岳山頂火口からの噴火基準に満たないから、6月4日に60年ぶりに開口した昭和火口からの爆発を噴火と認めないと記者取材に答えた事実(6月5日読売新聞)は、正式に訂正すべき重大な過誤である。その後の火山情報でなし崩しに意見変更してすましてよいことではない。

一方、昨晩ウェブに掲載された京都大学桜島責任者による意欲的なコメントにそのようなほころびはない。これまでの観察事実、現在の状況把握、それらから導き出される結論と予測、さらには住民がどうしたらよいかまで、論理立てて明快に述べている。理性的な警告が適切に盛り込まれている。

ただし一般向け文章としては、ややむずかしい。もっと平易に書いてほしかった。たとえば姶良カルデラと桜島の関係についての背景説明がほしい。それがないと、読者は全体像を理解できないだろう。

マスメディアは、そろそろ腰を落ち着けて、取材先を対岸から島内に移して長期戦の構えをとったほうが良いのではないか。

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