早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

放射能に汚染された日時

放射能汚染の分布を決めたのは風です。噴火によって火山から吐き出される火山灰は上空数kmから十数kmを吹く高空の風で移動しますが、原発から漏れ出した放射性物質は地表近くの風に乗って移動しました。当時の気象データを見ると、上空1km以上の風向きではこの分布を説明できません。放射性物質は高さ数十mの風に乗って地表をなめるように移動したと思われます。等値線が盆地や山肌など地形の起伏を感じ取っているのはそのためです。

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3月12日21時に南相馬市を通過した放射能雲は仙台湾を越えて、翌13日2時に女川町に達しました。

3月15日の汚染がもっともひどいものでした。4時にいわき市を通過した放射能雲は、6時には関東平野に達しました。しかしそこでは雨が降らなかったため、そのまま西と北に向かって関東山地と群馬栃木北部の山地に突き当たりました。そこで初めて雨に出会って地表にたたき落とされました。福島中通りの汚染もこの日でした。阿武隈山地を越えてやってきた放射性物質が雪といっしょに降り積もりました。午後遅くになって、特別に濃い放射能雲が原発から吐き出されました。それは風に乗ってまっすぐ北西に移動して、18時に飯舘村までを壊滅させました。

20日夕刻、宮城/山形県境と岩手県南部が汚染されました。そのあと風は南に回り、翌21日6時に水戸市を通過して9時に東京新宿に達しました。21日から23日までの3日間は関東地方に強い雨が断続的に降りました。首都圏東部に見られる中程度の汚染はこのとき生じたものです。

ここで説明した汚染の日時は、原発で起こった爆発の日時と合いません。1号機は3月12日15時36分に、3号機は3月14日11時01分に爆発しました。しかし原発から大量の放射性物質が漏れたのはこの瞬間ではありませんでした。放射性物質は、爆発後しばらく時間を置いて、原発建屋から音もなく静かにこっそりと漏れ出したようです。放射性物質が大気中に出たタイミングは、原子炉の圧力低下とよく符合するようです。

コメント

「放射性物質の放出 冷却のさなかにも」

2012年7月24日(火)
放射性物質の放出 冷却のさなかにも

http://www.nhk.or.jp/nw9/marugoto/2012/07/0724.html

  • 2012/10/05(金) 23:00:06 |
  • URL |
  • taki爺 #-
  • [ 編集]

福島第一原子力発電所事故における放射性物質の大気中への放出

汚染のタイミングについては、先生とほぼ同じ考えです。最悪の放出は、3月14日の夜から数日間続いたものの、風向きによって地表の汚染を免れた期間があったのではないかと考えています。
今現在、私が認識していることをまとめました(URLとリンク先のExcelファイル)。

  • 2013/03/15(金) 14:23:42 |
  • URL |
  • @pluredro #-
  • [ 編集]

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