早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

甲状腺検査への疑念

いま福島県で行われている甲状腺検査には、いくつかの疑念がある。

・検査しても治らない。

・2年前の事故当時、福島県は安定ヨウ素剤を配布しなかったし、避難も必要ないと言った。その判断に誤りがなかったのなら、検査は必要ないはずだ。いま検査が必要だとするなら、当時の判断が誤りだったことを認めて謝罪して責任を取るのが先だ。

・いたずらに不安がる住民を安心させるための検査だともし言うなら、この検査によって異常と判定される子どもへの対応策をあらかじめ提示してほしい。これまでの検査結果によると、100人にひとりの割合でB判定が出る。

・3万8000人検査して、3人ががんだと判定されて、すでに手術されたという。必要ない手術ではなかったのか。異常と判断された子どもが必要ない手術を強いられるないようにしてもらいたい。とくに、対照群として検査された他県でB判定を受けた子どもへの対応を慎重にしてほしい。

・この検査数で3人のがん発見は、疫学では多発というらしい。多発がなぜいま生じたのか。1原発事故のせい、2検査方法のせい、3原発事故前から原因が内在していた。さて、このどれだ。

現状では、福島県に改善を求めるのはむずかしい。親たちが無駄な(むしろ有害な)検査をわが子に受けさせないようにするのが、もっとも迅速で効果的な対応策である。周りの空気に流されて、よく考えないままわが子にこの検査を受けさせるのは、避けるべきだ。

これは、予防注射の問題とよく似ている。


▼検査結果

kengai3.png
出典
福島県
環境省

▼親権者へのメッセージ

検査しても治らない。福島県の検査を不十分だとして、甲状腺異常をもっとみつけるために別の病院に子どもを連れて行く親の考え方が私は理解できない。おととし3月、子どもを避難させなかったために受けた害毒の確証を、それほどまでしてほしいのか。

正確無比な検査をすることで、あのときあなたが子どもを避難させなかったのが正しかったと証明されるともし思ってるなら、それは大間違いだ。逆だ。あなたは、自分がなした過去の行為が誤っていたことの証明をいま懸命にさがしている。それは、狂気のなせるわざだ。

もう一度いう。検査しても治らない。過去はやりなおしがきかない。

検査しろとしきりに推奨する人がいるのはなぜか。この事故の被害が甚大だったと先入観を持つ人が、自説を裏付ける確証を得たいと欲しているからだ。安心させるための県の調査が、逆に、この事故の被害を(社会的に)裏付けるデータになると期待しているからだ。

このデータが、彼らの先入観を裏付ける確証を与えるかどうか不明だが、もし確証が得られたとしても、わかるのは集団が受けた害毒の程度だ。個々が受けた害毒が原発由来かどうかを証明するのは至難のわざだ。

▼行政へのメッセージ(ちょっとだけ)

この病気が、早期発見・早期治療すると有効なものかそうでないのか、医者でない私にはわからない。有効ならば、この国の威信をかけて綿密な調査をすみやかにしろ。もし有効なら、私は反対しない。しかしやる前に、有効であることを説明してからやってくれ。



甲状腺検査で異常が見つかったら、すぐ切るか。(2013年2月28日まとめ)
・がんサポート情報センターの甲状腺がん解説

コメント

群馬県在住ですが子供には昨年甲状腺検査を受けさせました。結果、のう胞が見つかっています。そろそろ一年たつので2度目の検査の予約をしたところです。私が検査を考えたのは娘の爪に異常があらわれたからです。ネットで爪の異常を調べたところ、甲状腺の病気でも爪に異常があらわれる場合があると知り、検査を決断しました。検査を受けたのは上の子で、下の子はまだ5歳で今の所気になる点はないため検査はしていません。親としては調べたくなりますが幼い子にいやな思いをさせてまで差し迫った状況だろうかと考えての判断です。私の判断が誤っていないだろうかと常に迷いはあります。上の子が今度の検査で例えば癌が見つかったとしたら・・・単純に切る、と考えるのは危険なのですね。慎重に考え、よく勉強しなくてはと思いました。ただ子供の癌は進行が早いと聞きます。重大な決断を短時間で迫られる・・・辛いですね。
話はまったく変わってしまいますが、
長いこと行方不明になり捜していた本が昨日見つかり久々に読み返しています。「真昼のプリニウス」・・3月11日に見つかるとは。下の娘が2歳のころだったか、私の本で遊ぶのが好きでカバーを剥いたり積み上げたり・・・最初は直していたものの繰り返されているうちあきらめて放置。昨日本棚の整理していたら違う本のカバーがかかった状態で見つかりました。震災後、子供の健康状態が気にかかり日々食材選びなど気を張って過ごしてきました。ここらでちょっとブレイクするか。そんな気持ちになれる出来事でした。

 難しい選択ですね。
 菅谷松本市長の「チェルノブイリ診療記」によれば「甲状腺ガンに患った子供の内、約6分の1に肺ガンへの転移が認められた」とあり、被曝によるガンは発生、転移が早く通常のがんと同じ経過を必ずしも辿らない可能性があります。

 イラクのバスラでも重複がんが多数見つかり、深刻な問題となっています。http://bavarde.exblog.jp/17982094/

 自分が知る事は一部で、実際の被曝事情は分かりませんが、検査自体が無駄な事かどうかは救命という視点では必ずしも言い切れないと思います。

 確かに、あの時点で逃げるべきだったのです。
 自分も周りの人に「出来れば福島原発から400km以上逃げて」と話しましたが、会社も学校も理解の無い中、職を失う覚悟で見知らぬ地へ避難するというのは多大なリスクを伴う物である事に、浅薄ながら事故が起きてから気づきました。

 自分は学生時代に環境倫理で偶々原発のレポートを学習した為、迅速な避難とヨウ素剤の摂取が必要と周囲や行政に話しましたが全く聞き入れられませんでした。必要なのは正しい教育と思います。一人二人正しい事を知っていても行政や社会が対応しなければ、結局社会に属する大半の人は動けないし判断も難しくなってしまう。今回それを痛感しました。

甲状腺がんガイドライン
http://jsco-cpg.jp/guideline/20.html
 上記によると小児甲状腺がんは乳頭状なら早期の発見、治療によって肺への転移、予後が良くなるとあります。ただ、これらは多くのガンに共通する事ですが。

  • 2013/03/13(水) 11:13:29 |
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  • hiro #-
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早川先生 先生の困惑は非常に理解できます。参考になるかわかりませんが、資料を送ります。この本のすべてが正しいかは不明ですが、以下の記載は地元の医師の記録です。Chernobyl Consequences of the Catastrophe for People and the Environment
チェルノブイリ甲状腺癌の普及と外観は、はなはだ広島と長崎参照データと異なっている。チェルノブイリ甲状腺癌:(1)ははるかに早く(被爆の10年でなく,3.4年後に)見られる;(2) はるかに攻撃的なフォームで,展開する;(3) そして,被爆時点で子供のみではなく大人達にも影響する。この癌は、外科治療が容易であると間違われることである(Chernobyl Forum, 2006)。犠牲者の大部分が外科を受けるという事実にもかかわらず,癌は,症例のおよそ1/3で発展し続ける(Demidchik and Demidchik, 1999)。そのうえ,例外なしで,外科の治療にもかかわらず,人は彼/彼女の薬の補足に完全に依存し、人生の残りは損なわれる。最後に、甲状腺癌は放射崩壊で生じた甲状腺の腺障害のための氷山の一角にすぎない(セクション5.3.2参照).: 癌の各症例に関して,1つは他の有機的な甲状腺の腺病の何百件もの症例を見つける。
難しい問題だと思います。

  • 2013/03/13(水) 17:53:48 |
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  • 匿名 #-
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  • 2013/03/13(水) 20:47:24 |
  • |
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とどのつまり...

積極的に甲状腺検査を受ける、我が子に受けさせる事が、流行りとなってきたこの状況、
結局は、フクシマのアドバイザー、ヤマシタ氏の思う壺なのではないでしょうか。
まるで、氏の研究をコンプリートする手伝いをしているかのように思えてしまう。
実際に、体の異変が起きて検査を受けるのは別として、
単なる不安解消の為に、やすやすと検査のトレンドに乗っかるのは、悔しくはないか?
私は、3.11の後、度重なる体の異変に泣いたけど、医者に診せても、分からないから様子見程度だった。
医者に「一応、抗生物質、出しときますか?」と聞かれ、「原因が分からない内はいいです。」「そうですね。もっとひどくなったら、また、来て下さい。」
医者とのやりとりは、そんな感じだった。
シビレなどは、本当に理解されなかった。
「その部分だけシビれる事はありえない。」
そのシビレは、全く途切れる事なく、少しづつ範囲を狭めながら、約4ヶ月間続いた。
被爆による症状など知っている医者なんか、私には、見つけられないと思う。
皆さんも同じではないですか?
私は、疫学調査をやっているえらぁいセンセに回されるのだけは、ごめんだ。
私は、データとして生きて行きたくはない。

  • 2013/03/16(土) 14:11:15 |
  • URL |
  • 夫婦2人暮らし #-
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事故による影響は誰にもわからないと思います。
甲状腺検査は万が一、将来甲状腺ガンになった場合の過去の基礎データとして比較する為に、親が幼い子どもにしてやれる唯一の検査ではないでしょうか。
人それぞれ色々な考え方があると思いますが、誰にも分かるはずのないことを「無駄、有害な検査」と言い切ってしまう事に違和感を感じています。

  • 2013/03/20(水) 06:55:03 |
  • URL |
  • #Mzl6DPAg
  • [ 編集]

「将来甲状腺ガンになった場合の過去の基礎データとして比較する」ことが、「親が幼い子どもにしてやれる唯一」と判断する考え方がわかりません。「過去の基礎データとして比較する」と、病気になった子どもがどんなメリットを受けられますか?

  • 2013/03/20(水) 07:00:41 |
  • URL |
  • 早川由紀夫 #eWKQhjJU
  • [ 編集]

埼玉県在住です。群馬県の在住の方と同様,私の娘の爪にも異変が起き血液検査を昨年の2月に行いました。結果甲状腺のft3の数値が高く、成長期も関係しているので半年後に再検査の予定でした。
昨年5月に近所の診療所に相談した所、甲状腺の専門病院を紹介して頂き,超音波で調べたらシコリがあるとの事で,現在定期的に検査を受けにいっています。
今の病名は腺腫様甲状腺腫です。原因は不明との事です。

我が家の庭は昨年2月の段階でセシウム134が500bq/kg、セシウム137は650bq/kgで堀場の線量計で、地面0センチで0.14usv/hです。我が家周辺では、ごく平均的な線量です。

何かが起きても,早期に発見できるようにと思っております。
願う事は娘が元気に成長する事です。

  • 2013/03/23(土) 23:48:43 |
  • URL |
  • ひまわり #tHX44QXM
  • [ 編集]

関東在住です。事故時、妊婦でしたので胎児の時に事故の影響を関東でなにかしら受けた可能性のある子どもがいます。子どもが小さいため可哀想でなかなか検査をしないできましたが、検査をしてみたら甲状腺にしこりなどはまったくありませんでした。しかし、甲状腺ホルモンのft3の値が高過ぎて、発育に影響のある年齢であることから、早川先生のマップなどを頼りに、汚染からはずれた地域に子どもを移しました。
保養に入り三週間めで、再度検査したところ、甲状腺ホルモンの数値は全てが平均値のど真ん中あたりに戻りました。医者や行政が、我が子のデータをどのように扱うか知りませんが、私は今回の検査も住居の移動にも後悔がありません。むしろ、早川マップをはじめの頃から感謝して見ていながら、汚染食材の目安として使うのみで、初期被曝を胎児時代にさせておきながら、その後も約二年間、汚染地域で寝泊まりさせたままにしていたことを後悔しています。甲状腺ホルモンの値が平均値ど真ん中になったことが住む場所を変えたからかどうかは一主婦の私にはわかりません。が、現在は医者でも、早川先生でも分からない、誰に聞いても分からないことだと思っています。ただ、今のところ2歳、3歳の大事な成長期になるまで甲状腺ホルモンの値が馬鹿みたいにおかしいままでなくて良かったと思っています。また住居を変えて1ヶ月すぎた頃には、ずっと気になっていた目の下のクマがなくなったこと、布団がお漏らしくらいに濡れていた寝汗が全く無くなったことなどを感じます。食べても食べてもガリガリでしたが、だいぶふっくらとしてきました。我が子なので、目の下のクマや病的な汗など不健康を疑うような状態がなくなり検査して生活を変えてよかったと思っています。
初期被曝の影響がこれからもあるかもしれないので検査は続けます。保養には貯蓄を切り崩すというリスクがあり、検査で異常がでなければ動くつもりはありませんでした。これからも検査は続け、それによって、予測される未来に対処した我が家なりの生き方を決めるために検査をしていきます。それが、医者の手に渡りどう使われるかは、未来にいきる人達に使われるかもしれませんが、その面については確かに我が家にはあまり関係がありません。

  • 2013/03/30(土) 04:47:01 |
  • URL |
  • #/pdu0RA.
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前立腺がン経過観察5年目

①先生ご自身は甲状腺と同じような問題をはらんでいる前立腺の検査をさっさと受けて安心なさいましたね。その安心をなぜ福島の親子には許さないのですか?
②今みつかっている子供の甲状腺がんは福島原発事故の原因ではないとおっしゃる。ではいつからそれが事故の原因だと決めるのですか。
③仮に100人の子供のうち1人が癌になるとする。その1人に自分の子供がなるかもしれないのに残り99人の子供のために検査を控えて犠牲になろうなんていう親はいません。
④甲状腺がんの検査のどこがつらいのか。針さしなんてなんともないのに。子供の勇気をばかにしています。

  • 2013/06/05(水) 07:54:29 |
  • URL |
  • 甲状腺がん経過観察8年目 #JalddpaA
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