早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

紀要論文の公開査読

紀要に印刷できました。ご協力ありがとうございました。Pdfファイル(18MB) 16ページです。印刷してお読みください。図はカラーです。(2014年4月)

higoto.png


群馬大学教育学部紀要に来月投稿するための原稿を公開します。
「福島第一原発2011年3月事故による放射能汚染と健康リスク評価」
・Wordファイル(4.6MB)最新版。更新がただちに反映されています。
・Pdfファイル(1.8MB) 9月5日11時保存
査読お願いします。コメント欄に書いてください。

要旨 2011年3月11日に起こった大きな地震と津波のあとしばらくして、大量の放射性物質が福島第一原発から大気中に出た。私はその汚染分布を迅速に把握して地図に表現し、インターネットで即座に公表した。放射性物質は原発から連続的定常的に放出されたのではなかった。3月12日、3月15日、それから3月20-21日に大きな放出イベントがあった。原子炉格納容器の圧力が低下あるいは上昇したときに対応する。順に1号機、2号機、3号機からの放出だった。大気中に出たセシウムは1京1000兆ベクレル(11 PBq)。1986年のチェルノブイリ原発事故で出たセシウムの1/12である。しかし人口密度を考慮すると、被害は両者ほぼ同じかフクシマが3倍深刻である。芝生や森の林床だけでなく、アスファルトの上でも2011年3月に降り積もったセシウムはほとんど移動していない。そういった場所の放射線量率の自然減衰はセシウム134と137の半減期でよく説明できる。この事故で放出されたセシウムに起因するがん死の増加は5300人と見積もられる。今後50年間の福島中通りにおける放射能リスクは交通事故リスクの1/2である。

コメント

午前中に教えてもらった栗原市での同時観測データを原稿に反映しました。

一関が汚染されたのは20日19時ころだったことが、その時間帯にわずか10分だけ使用した@guotierさんのCOACHの傘が0.25uSv/hに汚染されていた事実から知ることができる。栗原市にある宮城県立循環器・呼吸器病センターの毎日観測では、3月20日まで0.06マイクロだった数値が、21日に0.26マイクロに急上昇したデータが記録されている。このあと風は南に回った。

  • 2013/08/05(月) 15:09:22 |
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  • 早川由紀夫 #eWKQhjJU
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河内村

図5の「河内村」は「川内村」の間違いではないでしょうか。

  • 2013/08/05(月) 17:06:16 |
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  • 中通りで被ばく継続中 #2B3L1McM
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川内村、直しました。
ご指摘ありがとうございました。

  • 2013/08/05(月) 17:55:50 |
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  • 早川由紀夫 #eWKQhjJU
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学術的価値の高い示唆にあふれていると感じます。ありがとうございます。

火山学を知らない者からのお願いです。

どのように等高線をひいたか、について、下記のように記載されております。

「したがって私の改訂版地図は、国と自治体が測定して発表した数値を火山灰分布の表現を専門とする私が解釈してつくったものである。」

ここを、もう少し詳しく論文にて教えて頂けないでしょうか。または、先生の思考過程を記録しておいていただけないでしょうか。

当時早川先生はツイッターでは「史料批判」の視点で評価をしてから等高線をひいた、と繰り返し述べておられました。単純にプロットから等高線をひくことはできない、といった議論もあったように記憶しています。

(1)火山学の多様な知見のうち、今回の地図作成で適用した普遍的手法又は考え方。
(2)その際に利用した事実、またはそのデータ。例えば、地形、降雨など。

この論文は先生の活動の正当性を強力に根拠づけるものとなるように感じます。

素人なので、とんちんかんなことでしたらすみません。

  • 2013/08/06(火) 17:07:00 |
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  • 鈴木健治 #JalddpaA
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それを説明できたら、コンピュータにもできることになります。文科省の航空機モニタリングの地図表示はそうやって作ったもののようです。

  • 2013/08/06(火) 17:20:28 |
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  • 早川由紀夫 #eWKQhjJU
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3月15日の放出

福島第一原発正門付近では、3月15日の06:00頃から線量が急上昇し始め、09:00にピーク(11.93mSv/h)に達しています。15日の汚染を11:00出発とするのは、無理があると思います。
東電サイトからダウンロードしたデータをExcelのグラフで見られるようにしました(URL参照)。

  • 2013/08/06(火) 18:02:17 |
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  • @pluredro #-
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東電敷地内の値は、距離が近すぎるので使いません。観測点の方角に来た放射能霧しかとらえていませんから。

東電敷地内データは、2011年3月からグラフ化されていて有名です。
http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-365.html

  • 2013/08/06(火) 18:36:45 |
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  • 早川由紀夫 #eWKQhjJU
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3月15日の放出 その2

原発から少し離れた大熊町大野の値を参照した場合も、出発は、11:00より前とするのが妥当かと思います。下方に参考資料を掲載します。
3月15日の正門付近の平均風速は、1.6m/sほどでした(東電資料、正門付近のモニタリング結果より算出)。5kmほど離れた大熊町大野に放射能霧が真っ直ぐ向かうと、到達は、約50分後になります。実際は、地形の影響、風向の変化により、到達は、さらに遅くなったでしょう。私は、大野到達が10:00頃、原発出発は、その数時間前と推測します。

原子力災害事前対策等に関する検討チーム 第6回会合 平成25年1月21日(月)議事録
http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/pre_taisaku/data/20130121-pretaisaku.pdf
PDFの7ページ目、大野局のモニタリングデータに言及:
3月15日につきましては10時ぐらいから100μSv/hを超える値が測定され始めて、約1時間程度、この3桁――一番高い値がこの10時20分の625μSvでございます。直前の10分前、10時10分が448μSv、直後の10分後が616μSv、さらに10時40分で347μSvというような形で推移してございます。

モニタリングポストのNaIスペクトルデータについて
http://www.pref.fukushima.jp/nuclear/info/pdf_files/120314/1.pdf
PDFの4ページ目:
10:30 (大熊町大野で低エネルギー領域が飽和(測定可能上限を超過))616μSv/h

大熊町大野スペクトルデータ
http://www.pref.fukushima.jp/nuclear/info/pdf_files/120207/NaISec_Oono_20110311-20110316.pdf

  • 2013/08/06(火) 19:40:55 |
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  • @pluredro #-
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大熊町大野のそのデータは知りませんでした。私の11時は精度の高い数字ではありません。10時に変更しました。

  • 2013/08/06(火) 21:10:22 |
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  • 早川由紀夫 #eWKQhjJU
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有壁駅付近

有壁駅付近 は 折壁駅付近 の間違いではないでしょうか 東北本線宮城県北部の駅なら有壁駅ですが、岩手県一関市内の大船渡線の駅なら折壁です。女川、千厩、一関という文脈から大船渡線の折壁のことではと思いました。

  • 2013/08/10(土) 09:07:12 |
  • URL |
  • 佐藤祐 #GMt6E/5M
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 拝読しました。チェルノブイリが4千人として、福島が三倍ひどいと、12千人、となりそうですが、半分になっているのは不思議な気がするので、まとめのところでも、遮蔽・除染効果のせい、と明記されてはどうでしょうか。
  それから、人シーベルトあたりの死者推定の係数のどれが正しいかを決めることは難しいので、いくつかの係数を挙げて、それぞれの場合の推定値を挙げておいたほうがよくはないでしょうか。
 たとえばゴフマン係数を使うと、2.68人シーベルトで1人なので、遮蔽効果を考えないと外部被曝による死者数は83千人程度になります。逆に、もっと甘い係数を考えたり、しきい値なし仮設が成立すればぐっと減る、ということを述べておいたほうが親切かと。

いいえ、有壁駅です。2012年11月25日に現地調査して、0.218マイクロを測りました。

  • 2013/08/10(土) 11:02:23 |
  • URL |
  • 早川由紀夫 #eWKQhjJU
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拝見させて頂きました。ご存知でしたらすみません。〜15日の関東の地表付近の風向きがウィンドプロファイラの高層風と整合しないのは、関東地方のローカル気象現象「北東気象」の影響かと思うのですが。冬型の気圧配置が緩む→北東気流の影響で、地表付近の風が関東平野に流れ込む(文字通り帯状に)。一方的なコメントで申し訳ありません。

  • 2013/08/25(日) 18:03:54 |
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  • #-
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二本松市の汚染日時

二本松市が3月15日に汚染された時刻は18時よりも前だと思います。
福島県は15:30に二本松市(東和支所)で12.3μsv/hを計測しています。
また、理化学研究所/高エネルギー加速器研究機構が東北道、磐越道で行った計測でも東北道二本松IC上り223キロ地点(本宮IC)で15:11に5.46μsv/h、二本松IC上り221キロ地点(郡山JCT)で15:14に6.21μsv/h、磐越道上り66キロ地点(郡山JCT~郡山東IC)で15:22に12.1μsv/h、磐越道郡山東ICで15:25に9.2μsv/hを記録しています。
福島県は川俣町山木屋高屋敷(バス高屋敷)で14:23に30<の値を計測しています。
郡山市は川俣町山木屋地区→二本松市南部→本宮市北部→郡山JCT~郡山東ICのルートで汚染されたのではないでしょうか。
2011年3月15日の計測については以下をご参照ください。
http://www.meti.go.jp/press/2011/06/20110603019/20110603019-2.pdf

  • 2013/08/26(月) 11:23:39 |
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  • @sezaemo #-
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火山学者としてのこの論文の真骨頂は、汚染の日時とルートの解析にあります。火山灰の飛散のアナロジーをさらに具体的に併記すれば、先生の仮説により説得力が増すと考えられます。
また、健康被害の評価に関しては、ヨウ素のみならず、セシウムについても「データ不足」の立場をとるのが科学者としては誠実です。論文からは割愛したほうが良いという印象を受けます。

  • 2013/09/05(木) 12:12:39 |
  • URL |
  • taiki_sanki #v5svZAIs
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v0.99に目を通して気になった点、気付いた点です

D/W圧力の「15日10時に2号機で急降下」の部分に関して。
2号機のD/W圧力は、3/15 07:20に0.73 MPa abs、同11:25に0.16 MPa absとなっており、この間、4時間あまりも記録が飛んでいます。4時間ぐらいかけて圧力が徐々に落ちたのか、ある時間に急降下したのか、はたまた4時間内に乱高下したのか分かりません。「15日10時前後に2号機で急降下」でしたら、すんなり読めるのですが、「10時に」と断定してしまうと、断定の根拠、材料が乏しいと感じます。

間欠放出、短時間の間欠的放出という表現に関して。
どのぐらいの時間をイメージして書かれているのかが、今ひとつ分からないです。10分ぐらいなのか、1時間ぐらいなのか、1週間のうち1日だけ放出が続いたような場合も間欠放出と見なすのか。この点をはっきりさせていただくと、先生の意図するところが伝わりやすくなると思います。
例えば、3/20 04:30からの3号機のD/W圧力低下は、3/21 23:40頃まで、四十数時間続いています。この間放出が続いたと見なす場合、「間欠」という表現は、受け入れられますが、「短時間」という表現は、しっくりこないです。

表記のゆれ。
値と単位の間に半角スペースを挿入するのが、抜けているところがあります。
P3 11行目、13行目: 0.5μSv/h
P8 3行目: 100km
P13 13行目: 53%
P16 14行目: 4μSv/h
P18 26行目: 5km
※チェック漏れがあるかもしれません

  • 2013/09/07(土) 18:14:28 |
  • URL |
  • @pluredro #-
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 ご回答お願いします。

P13
「70 %が日本列島上に降り積もったとみられる。太平洋上に直接移動して私の地図にかからなかったセシウムが2割あったとすれば、日本列島に降り積もったセシウムは放出総量の60 %になる。」

 私は、総放出量の大部分が海に流れたと思っています。陸:海が8:2ということはないのでは?
 下記を見れば、一目瞭然だと思います。(他の方の資料です)

 http://www.kfcr.jp/gradi.html#example1

 20・21の新たな放出は本当にあったのですか?単に雨が降って、線量が上がっただけなのではないですか?

  • 2013/10/10(木) 07:32:12 |
  • URL |
  • 査読ing #-
  • [ 編集]

ご意見承りました。
それは連続放出モデルによるシミュレーションです。私は連続放出モデルをとりません。ときどき出たと考えています。考察の一番初めで論じました。

  • 2013/10/11(金) 19:14:30 |
  • URL |
  • 早川由紀夫 #eWKQhjJU
  • [ 編集]

拝読させて頂きました。
時間経過に伴う汚染域の拡大、またそれをもたらした気象・地形等の要因、大変納得できるものでした。

一点、気になることがありました。p.3等に「1.2マイクロ」、「0.5マイクロ」と単位が無い表記があります。前後の文脈から類推する事ができますが、もし出来ましたら単位を明記して頂けますと大変有り難く思います。
本稿では、様々な単位が使用され、それぞれが持つ意味が重要かと思います。枝葉の部分で恐縮ですが、ご検討頂けますと幸いに思います。

  • 2013/10/15(火) 23:02:28 |
  • URL |
  • minsell #-
  • [ 編集]

そこは引用文の中ですから、改変できません。

  • 2013/10/16(水) 07:22:01 |
  • URL |
  • 早川由紀夫 #eWKQhjJU
  • [ 編集]

やはり海への放出が大部分だと思います

 ご回答ありがとうございます。
 しかし、「ときどき出た」には賛同できません。
 確かに放出量に著しい強弱があったのは事実ですが、海にも著しく放出されていました。

 こちらの資料では、放出量を色で示していますので、前の資料よりもよくわかります。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=qoN6p9hdkqw

 貴殿は、30分間放出説を唱え始めましたが、正確ではないと思います。
http://t.co/mhXiYPAN3p

 「その前後で著しい放出があったものの、風は四方八方に吹き、主に海に流れていたものの、その30分間だけ北西の風と降雨・降雪により、放射性物質がダウンフォールされた」と解釈すべきです。

 海への放出が陸への放出の1割か2割程度に過ぎないという説には反対します。

 なお、公開査読というのなら、ブロックされている相手もコメントできる状態でなければなりません。その方が査読になるでしょう。

 ブロックをしない別アカウントで、togetterにて改めて公開査読をしてはいかがでしょうか?

  • 2013/10/19(土) 07:26:20 |
  • URL |
  • 査読ing #-
  • [ 編集]

間歇的的放出かどうかと海側への飛散の程度は独立した事象

>「ときどき出た」には賛同できません
陸上でのセシウム分布の現状がああいう形である以上、
非常に間歇的な放出だったことは否定のしようがありません。
連日連続放出だとするともっとまんべんなく汚染されたはずです。

>海への放出が陸への放出の1割か2割程度に過ぎないという説には反対
これは私も疑問を持っています。
2011年3月~4月上旬に西風であった時間の割合は長いですから、
定常的放出であれば確率的に相当な分量が海側に飛んでいるはずです。
しかし間歇的放出でも海側に相当量の放射性物質の飛散は説明できます。
大放出翌日の3月15日深夜から16日以降はすぐ西風に変わっていますから、
福島中通りや北関東で降雨沈着しきれなかったぶんが太平洋側に出ているはずです。

量的見当をどうつけるかの材料や手法はいずれにしても不十分かと思います。
放出量の時系列データを用意して、風の記録を元にした移流拡散シミュレーション、
降雨パターンとの重ね合わせが必要でしょうが、肝心の、
雲粒や降雨でどの程度の割合でセシウムが地面に落とされるかがよくわかりません。

  • 2013/10/31(木) 23:44:21 |
  • URL |
  • 地形屋 #W4yECcMk
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お知らせ

福島第一原発周辺のモニタリング・ポストで事故直後に記録されていたガンマ線スペクトル・データを読み取り、放出された放射能の種類やその変化、移動について丁寧に考察しました。その結果、定説化している従来の事故分析は、多くの重要な点において見当違いであることが明らかとなりました。その概要版をブログにアップしましたのでお知らせします。

「福島第一原子力発電所事故の考察(モニタリング・ポスト編)」
http://ashidakouto.blog.fc2.com/blog-entry-1.html

また、詳しい説明についても掲載をスターとしました。

  • 2016/04/01(金) 01:05:16 |
  • URL |
  • 足田考人 #-
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