早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

尾根を乗り越えたか、乗り越えなかったか?

(1)尾根の乗り越えがあったとする写真判読
kyodo1016_201310221436362e3.jpg
共同通信の10月16日全景写真を赤と橙と青で塗り分けた。上流部に、赤・橙が青と交わるように見えるところがある。赤・橙が尾根を乗り越えたとする判読した。直進性が強い高速の流れだったことになろう。そのため流走距離を延ばして災害を引き起こしたと解釈することができる。青は谷に沿う通常の土石流だった。

(2)尾根の乗り越えがなかったとする写真判読
kyodo101622.jpg
斜面崩壊とそれによって発生した土石流が3組認められる。赤が多くの人家を飲み込んで海岸まで達したが、その斜面崩壊の面積が広かったわけではない。青と橙は、斜面崩壊で生産された土砂が谷の中を流れているが、赤は山腹斜面を幅広く流れ下っている。そもそもそこには谷と呼ぶべき地形がない。
 赤は取水面積が広いので、大雨のために大量の地表水が一時的に発生した。斜面崩壊によって発生した土砂流は、山腹斜面を広がって流れて表土を巻き込み、土砂の量を雪だるま式に増やした。この二つの理由によって、赤は青と橙よりも到達距離を延ばして海まで達した。

divide.png divide2.png 3t1022RMp.jpg
流域境界は描ける。

3uD3c.png
赤(南側)の取水面積は、青と橙(真ん中と北側)の取水面積を合わせたのの2倍くらいある。


kyodo1016woodtrank.jpg
流木の分布。側縁部と末端に集まっている。材木は軽いから流れの上に集まって最終到達点まで運ばれる。伊藤和明さんの言葉でいえば木石流(ぼくせきりゅう)である。

コメント

橙下端150mのあたりから赤中腹100mのあたりにかけて
東北から南西に地下水が流れるような谷があるのではないか?
これが赤の取水面積をより広くしているかもしれない
神達地区が盆地の底をなしているように見える

  • 2013/10/23(水) 06:06:26 |
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興味深い斜面崩壊のパズル

乗り越えなかったとすると、青の流れは不自然過ぎる点があります。
最大傾斜方向にも流れていないし、惰性を考えても直進せずに曲がっています。
あと、赤は崩壊と流出とに二段階を踏むくらいの時間差があったのではないでしょうかね。
つまりプライマリ赤=青or橙です。セカンダリ赤は赤の下流側主要部分、です。

ところで、地形用語としては
>取水面積
ではなくて集水面積(≒流域面積)と書くべき所です。取水面積だとダム用語です。

  • 2013/11/01(金) 00:12:21 |
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結論は?

春にこの件を学会発表する方もいらっしゃるようですが、結局どのように流れたのでしょうか?私が興味深いと思ったのは、地形やパターンが一続きに連続しているからといってその形成時刻が同じとは限らないという、常識の例外事項があてはまりそうだという点です。 
「地形面が連続だからといって同時面でないこともあるから注意せよ」
これは中村一明先生の教えのうち最も感銘を受けたことです。

  • 2014/03/04(火) 22:31:11 |
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  • 地形屋 #W4yECcMk
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