早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

「火山活動度レベル」から「噴火警戒レベル」へ

気象庁は、現在の「火山活動度レベル」の名称を「噴火警戒レベル」に切り替えると、2007年6月7日に発表した。

2003年10月に気象庁が火山活動度レベルを導入したとき、私は、日本の火山のレベルを気象庁が発表することは大歓迎だが、その名前があまりにもわかりにくい。一般に説明するときに使うにはたいへん不適当だと感じた。私は一貫してこの気象庁火山レベルを「危険レベル」と呼んで紹介してきた。たとえばゑれきてる浅間山(2003年12月)。

今回、気象庁自身が「火山活動度レベル」はわかりにくい名前だと認めた。新しい名称として提案された「噴火警戒レベル」はわかりやすく、一般に説明するときにも使える。

しかし別の問題がある。従来、気象庁はみずからが発表する火山情報文の中で、発表文を見た行政や住民が取るべきアクションのガイドとして、「注意」「警戒」「厳重な警戒」という三つの用語を特別のメッセージをもって使用してきた。たとえば2000年の三宅島噴火では、「厳重な警戒」の文字は最後まで火山情報文の中に現れなかった。それは意図して気象庁がしなかったのだと、その後の研究で明らかになっている。気象庁は、そのとき、「厳重な警戒」が必要だと言わないことによってみずからの意思を社会に実現しようとした。

今回、「噴火警戒レベル」と命名したことによって、警戒の文字がどの火山情報でも使われることになってしまった。火山情報の本文中で「警戒」や「厳重な警戒」を使うとき、それに強い行政メッセージを込めるこれまでの手法は、レベルの名前に警戒を入れてしまったことによって使えなくなった。気象庁が発する警戒の二文字が、今後はとても軽く扱われてしまうだろう。

今回の発表文に添えられた別紙にある次の表示にも注目した。

レベル5(避難)
レベル4(避難準備)
レベル3(注意)
レベル2(火口周辺注意)
レベル1(平常)

レベル4は避難準備、レベル5は避難を意味するという。従来のやり方だったなら、ここには警戒の文字が入るが、レベルの名前で警戒の二文字を使ってしまったから、それができなかったのだろう。そこに代わりに避難の二文字を入れたことは、気象庁が火山監視だけに留まっていないで、防災対応まで踏む込むと宣言したことを意味する。火山麓の住民が避難するかしないかを、これからは気象庁長官が決めることになった。

ただし災害対策基本法は、避難勧告と避難指示は市町村長の専権事項だと定めている(60条)。気象庁長官がその判断を実質的にするしくみが今回できたのだから、法律条文にそれを盛り込む改正作業をすみやかに始めなければならない。

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