早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

吾妻山

[吾妻山1993.11.7]

吾妻小富士のテフラは北北東1.2kmの乙女坂でよく観察することができる.高速火砕流の堆積物であると思われるジャリのほかに,降下火山灰やラハール砂礫層が認めれる.炭化樹木も含まれている.ラハールの最上部には,1cmの黄色い火山シルトガラスがある.これは5400年前の十和田中掫らしい.すなわち,吾妻小富士は5400年前の1回の噴火でできたとみなしてよいようだ.

吾妻小富士の南の縁は塩ノ川で切られて内部が露出している.最下部に軽石まじりの礫層がある.その上にパン皮火山弾を多く含む層がある.なかなかいいパン皮火山弾がここでは人目を気にせずに拾える.その上の主部は褐色,朱色,黄色,青色などの崖錐礫からなる.冷却史の違いで色の違いが生じたのだろう.上のほうに厚さ0.5-3mの薄い溶岩流が2層準みえる.スコリア丘の形成中に南東麓に流れ下った溶岩流だろう.崖錐斜面からなるスコリア丘の一部が川による浸食をうけて,より低角の安息角斜面からなる別の崖錐をつくるのは,スコリア丘斜面が(1)高温時につくられた斜面であって安息角が急だった,(2)スコリア丘斜面が本当の崖錐斜面ではない,のいずれかの理由によるものだろう.

いま,吾妻小富士はスコリア丘と書いたが,これを構成している粒子はよく発泡したスコリアは少なく,ほとんど発泡してない岩塊が多い.いってみれば岩塊丘か.火口の直径が底径にくらべて大きいことは,この火山噴火が爆発力の強いものだったことを物語っている.火口内壁をのぞくと,成層した岩塊や火山礫や砂の層がみえる.これらはうぐいす色のシルトでかたくなっている.タフコーンと呼んでもいい火山体だ.とくに,南側火口縁最上部の地層はそうだ.火口縁は北西側がもっとも低く,そこから溶岩流を溢れだしたことが,左右の火口縁最上部ふきんに堤防として残った片レンズ状溶岩からわかる.火口縁が高くなるとどちらも薄くなって消えてしまう.低い北西側から流れ下った溶岩流は乙女坂を越えられずに東に流れて微温湯温泉に達した.

この火山の噴火割れ目は北北西-南南東方向に開くのが常だ.1895年大穴火口の北北西壁にはダイクの断面が露出している.

福島飯坂温泉の公立学校共済あづま荘は温泉街の北にあり,新しくできたバイパスでいける.0245-42-3381.夕食4000円にすると9900円だ.くせがなくてなかなかよい温泉.

米林1989第四紀研究103-109.両輝石,カンラン石を主とし,角閃石をまじえる厚さ6cmの褐灰色細粒火山灰.泥炭の中約5000年前の層位.

千葉ほか1991砂防学会予稿集362-365.1893年噴火のパン皮火山弾は,カンラン石含有両輝石安山岩.

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