早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

志賀高原

志賀高原の火山 (ver. 3.1)

層序   

地表/1cm/0.5cm草津1882火山灰/25cm/0.3cm妙高大田切/5cm/1cm岩片(草津殺生?)/8cm/2cm浅間E2/13cm/3cm妙高赤倉/3cm/2cm浅間E1/15cm/0.1cmアカホヤ/10cm/志賀山/50cm/20cm浅間嬬恋/200cm水成シルト/鉢山
鍵テフラの年代  浅間E2(5.0ka)浅間E1(6.1ka)鬼界アカホヤ(7.333ka)浅間嬬恋(15ka)
模式露頭  地点7 志賀山肩
地点8 鉢山北東700m 標高1960m
      地点11 鉢山南

志賀山(2035.5m,M4.6,10ka)

東西に400mはなれた二つの火口をもつ溶岩丘である.火口は溶岩栓で埋められている.そこから北へバラの花びらのような厚い溶岩が流れ広がっている.この溶岩台地は「おたの申す平」とよばれる.角間川をはさんで西にある坊寺山から展望すると,この溶岩が流れた様子がよくわかる.空中写真で表面微地形がよく観察できるので,この溶岩流は氷期のきびしい浸食を経験していないはずである.西の赤石山に接したところでは,川をせき止めて強酸性の大沼池をつくった.四十八池の北には火口と思われるくぼ地があり,その東の地表を礫まじりの淡褐色粘土がおおう.

黄土色粘土のなかにオレンジ色スコリア・水冷鴬色スコリア・岩片がまじった噴火堆積物が鉢山とその周辺に分布する.これは志賀山から飛来したものであろう.浅間E1軽石(6.1 ka)の下7cm,嬬恋軽石(15 ka)の上50cmにある.志賀山溶岩の上にもこれと同じ堆積物があり,10cmの黒泥を挟んで鬼界アカホヤ火山灰(7.333ka)におおわれている(地点7).溶岩の上には嬬恋軽石がまったくみつからない.噴出したばかりの溶岩の上に黒泥が堆積しはじめるまでにはしばらくの時間がかかるだろうから,その時間を1700年とみて,志賀山の噴火は1万年前に起こったと考える.溶岩マグニチュードMは4.6.テフラMは3である.鉢山南麓では,志賀山テフラの下に不整合で嬬恋軽石があらわれる.

鉢山(2041m,M5.2,20ka)

内部は露出していないが,鉢山はスコリア丘であろう.底径1000m,火口径300m,比高150mである.スコリア丘が完成する前にこの火口から角間川にそって厚い溶岩流が流れ出た.溶岩M5.2,スコリア丘M3.7.溶岩流表面には琵琶池・丸池・蓮池・長池などのくぼ地と小丘が交互に出現する奇妙な地形が見られる.溶岩流の下に厚い湖成シルトがあって,それがすべってつくられたのかもしれない.この溶岩流の上に湖ができたことは事実のようだ.幕岩ふきんに湖成層が露出するという.

スコリア丘と溶岩流は嬬恋軽石(15 ka)におおわれている.嬬恋軽石と溶岩塊との間には厚さ200cm程度の「ローム」が挟まっている.この「ローム」は新鮮な露頭では灰色を呈するから,長い時間かけて堆積したレスではなく噴火直後に発生した表面流水による堆積物(あるいは湖成シルト)であろう.そもそも標高1800mを超えるこの地域は,嬬恋軽石降下直前は周氷河環境下にあって植生がほとんどなかったはずであるから,レスが堆積したはずがない.鉢山噴火に関連して堆積した「ローム」がきびしい周氷河環境下で浸食されつくす前に嬬恋軽石が降下堆積したことがわかるから,この溶岩流の年令は嬬恋軽石よりたいへん古くはないはずである.おそらく2万年前くらいの噴火だろう.溶岩塊のすぐ上には噴火末期の堆積物と思われる火山砂や火山砂礫がみられる.鉢山溶岩のカリウムアルゴン年代は70±50 kaと報告されている(金子ほか,1991,地震研彙報299).

旭山がこの溶岩流の先端だと思われる.横湯川にそった道路脇には,溶岩流側端の崖錐が露出している.湯田中に下る途中の波坂なめさかの溶岩のカリウムアルゴン年代は240±60kaである(金子ほか,1991,地震研彙報299).

草津白根の1800m地点には嬬恋軽石がほとんどないが,志賀高原にはよく堆積している.周囲を高い山に囲まれて盆地状をなしているからか.

早川由紀夫(1994.9.20調査,9.23執筆9.24修正,1995.6.12三訂)
硯川にはきれいなトイレつきの無料駐車場がある.リフトの運行は0830-1630.片道250円.

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する