早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

十勝岳

Date: Tue, 4 Aug 1998 16:21:56 +0900
Subject: [tephra:00458] 十勝岳


十勝岳にも登りました.
登っただけでなく,山麓も回りました.
八月の第一週末と重なったので,富良野・美瑛はたくさんの人だった.

太平洋に面した十勝平野と違って旭川盆地は晴れていた.

まず驚いたのは,「丘のまち美瑛」「ラベンダーの富良野」の波状地形の美しさです
.この地形は,西ヨーロッパやアメリカ東海岸(パッシブマージン)の地形とよく似
ている.地形だけでなく,その上に小麦が植えられていて,谷間には森に囲まれた家
があって,まるでドイツにいるような錯覚を覚えました.

多くの観光客をひきつけるこのエキゾチックな地形が,約100万年前に噴出した十勝
火砕流の堆積面をもとにして作られていることを知ってうれしくなりました.

100万年前の火山平坦面は白河にもあるが,そこはかなり傾斜していて,平坦面はす
くない.ここはそのほとんどが平坦面にちかく,畑作利用を提供している.

火砕流堆積物の表面が何度もの氷期を経験して,そのときの凍結融解作用によってこ
の波状地形ができたのだろう.道路脇の深さ2メートルほどの断面に凍結融解作用に
よるとおもわれる(礫の移動による濃集)構造が見えたし,地形凸部には砂丘の断面
がみえた.

火砕流堆積物の上には,(条件がいいと)ロームが50cmほど,クロボクが50cmほど堆
積している.クロボクの中には,細粒軽石からなるTa-a(1739)をみとめることがで
きる.しかし,恵庭aや支笏Spfa1などはまったくみられない.火砕流堆積物を覆うレ
スはすべて完新世のものだろう.しかしそれにしては(いくら北海道だといっても)
標高が低すぎるのではないか.高いところで400メートルだから.火砕流堆積物とい
うやわらかい地層の表面は凍結融解作用をうけやすいのだろうか.

富良野盆地は標高200メートルの平らです.これは断層によってできたらしい.まっ
たく平らなのは,十勝岳から泥流が何回も押し寄せてきたからではないか.そこは水
田になっている.「はるゆたか」というおいしいお米はここの産らしい.

そのほか見たこと考えたことを箇条書きします.

1)ベベルイ基線という直線道路のほぼ中間(たぶん自衛隊敷地内)で,粗い軽石か
らなる厚さ3メートル以上の降下テフラをみつけた.十勝火砕流堆積物の直前に噴出
したものだろう.この露頭は,噴出源の南西という「あさって」の方角にあることに
注意.

2)Ta-a, Ko-dがこの地域のクロボク中によく残っているのは,それらの噴火が積雪
がないとき(夏)に起こったからだ.もし積雪期に降下したなら,数cm以下のこんな
地層は雪解けとともに流されてしまっただろう.

3)十勝岳の火山砂防の施設にびっくり.とくに「十勝岳火山砂防情報センター」は
すごいですねえ.これは多目的施設ですね>伊藤さん.白金温泉に高層ホテルが新し
く二つも建ったことにもびっくり.

4)1988.12.25クリスマスの熱雲は,積雪期だったにもかかわらず樹木を押し倒して
います.これはいったいどうやって倒れたんだろう.白骨化しているから,ただ倒れ
ただけでなく焼かれたと思われる.この倒木帯に残された堆積物はどんなんだろう?

5)東側登山口で,Ta-aとTo-E3のちょうど中間に十勝の降下スコリア(最大粒径1cm
)の薄層をみつけた.これは,伊藤さん尾関さんたちに記載がありません.

6)1988年噴火のあとに温度が上がったという吹上露天の湯は,はいれないくらい熱
い.ただし,これは今年の雪解けが早く進んだためにうめる水が足りないという事情
が大きいらしい.

7)62-2火口からの白い水蒸気はかなり上がっていた.登山中,風向きによってとき
おり硫黄が強く匂った.火口に近づくと,水蒸気柱の中心部が黄色く染まっているの
がわかった.

8)北東に19km離れたトムラウシ南沼テント内で7.30夜間就寝中,硫黄臭を感じた(
気がした)が,これは十勝62-2火口からだったのだろうか?

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