早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

湯布院

伽藍岳の1597年噴火

伽藍岳といっても,どこの火山かご存じの人は火山専門家のなかにもそれほど多くないでしょう.

別府温泉の西に伽藍岳・鶴見岳・由布岳という三つの火山が並んでいます.どれも複合溶岩ドームからなる火山です.気象庁は鶴見岳としてこの地域を活火山認定しています.『日本活火山総覧』の記述をよむと,伽藍岳は鶴見岳の北端として認知されているようです.

伽藍岳の南には爆裂火口があり,そこから西へ谷がつくられています.この谷の出口で次のような層序を10月22日に観察しました:地表/7cmクロボク/12cm白色粘土/20cmクロボク/14cmぶどう色シルト/クロボク.

ぶどう色シルトは,およそ2000年前に由布岳から発生した塚原熱雲の堆積物です(小林1984地質学論集24).その上にある白色粘土層はラハールの堆積物であると判断されます.クロボクの厚さを使って発生時期を推定すると,およそ500年前に起こったと思われます.

谷の奥にある爆裂火口がこのラハールの発生源ですが,そこはいまも激しく水蒸気を噴出しています.すぐそばには塚原温泉というひなびた一軒宿があって,湯治客でにぎわっていました.宿の対岸の崖には,岩塊をまじえたこの白色粘土層が厚さ60cmで露出しています.

村山磐の『日本の火山』をみると,1597年9月10日(慶長二年七月二十九日)に「鶴見山破裂し,・・・」(豊国小志,大分県,明治四十四年)とあります.しかし,大森史料や武者史料にこのことは書かれていません.

防災対策という面からいって,誰かが史料原典にあたって調べるべき事例だと思い,紹介しました.

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