早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

キロトン、メガトン、ギガトン、テラトン

火山噴火の大きさを、噴出重量の対数で表現することをわたしはずっと使ってきました(噴火マグニチュード)。これは専門家にとっては扱いやすい数字表現ですが、一般向けに使うのはむずかしい。非専門家に対数の概念を理解してもらうのは困難です。

一般向けには、キロトン、メガトン、ギガトン、テラトンという表現を使ったらどうかと思いつきました。キロはずいぶん前から普通に使われてきましたが、最近になって、コンピュータのメモリの大きさを表すときに、メガ、ギガ、そしてテラも使われるようになりました。キロは1000、メガは100万、ギガは10億、テラは1兆を意味します。

噴火マグニチュード(M)との関係は、次になります。

M8.0  テラトン カルデラ破局噴火(火砕流) ハードディスク テラバイト
M7.0       
M6.0                     
M5.0  ギガトン プリニー式噴火        DVD ギガバイト
M4.0
M3.0                    
M2.0  メガトン(一連の)ブルカノ式爆発   写真 メガバイト
M1.0       
M0.0
M-1.0  キロトン 気づかないくらいの爆発   メール キロバイト

代表的な噴火様式がどのあたりに当たるかを、目安として入れました。比較のために、電子ファイルの大きさをバイト単位で入れました。

実際の噴火にあてはめると、次になります。

阿蘇4、8万7000年前、M8.4は、3テラトン
姶良丹沢、2万8000年前、M8.3は、2テラトン
鬼界アカホヤ、7300年前、M8.1は、1テラトン

十和田湖、1万5000年前、M6.7は、50ギガトン
十和田湖、915年、M5.7は、5ギガトン
桜島、1914年、M5.6は、4ギガトン
富士山、1707年、M5.2は、2ギガトン
浅間山、1108年、M5.1は、1ギガトン

浅間山、1783年、M4.8は、600メガトン
雲仙岳、1990年、M4.6は、400メガトン
伊豆大島、1986年、M3.6は、40メガトン
阿蘇、1989年、M2.6は、4メガトン
浅間山、1973年、M2は、1メガトン

浅間山、1983年、M1.2は、200キロトン
草津白根山、1982年、M1は、100キロトン
浅間山、2003年、M-0.7は、2キロトン

これなら、新聞にも書いてもらえるし、小学生にも説明できる。たとえば、「日本最大の噴火は、8万7000年前に阿蘇で起こりました。3テラトンものマグマが火砕流として一気に噴出したため、噴出口に大きなカルデラができました。」

(2008年5月30日追記)
数字表現を捨てて、桁だけ伝えてよしとするなら、次のスキームがよさそうだ。

M9.0
テラトン       姶良丹沢(2万8000年前)、阿蘇4(8万7000年前)
M8.0  
サブテラトン    白頭山946、支笏1(4万1000年前)
M7.0     
スーパーギガトン 屈斜路摩周(7900年前)、十和田八戸(1万5000年前)、浅間山平原(1万5800年前)
M6.0  
ギガトン       桜島1914、富士山1707、樽前山1667、有珠山1663         
M5.0  
サブギガトン    雲仙岳1990、浅間山1783
M4.0  
スーパーメガトン  伊豆大島1986、三宅島1983
M3.0 
メガトン        阿蘇1989、浅間山1973           
M2.0  
サブメガトン     浅間山2004、浅間山1983
M1.0       
スーパーキロトン  桜島2006、九重山1995
M0.0  
キロトン        浅間山2003、駒ヶ岳2000
M-1.0 
サブキロトン     雌阿寒岳1998、浅間山1990
M-2.0 

コメント

噴火Mについて

下鶴研に居ました今井です.コメント投稿があったので,もうすぐ55歳の爺さんですが,老婆心ながら一言.一般の人は,やっと地震Mと震度の違いがやっとわかってきたという人も居ますが,まだまだという気がします.大きく揺れると「おお!でかい地震だ!」と叫んでいます.そんな程度です.つまり,一般受けの噴火Mの表記を考えてもあまり意味がないかも知れませんよ.最近,専門家同士で判っている表記で十分じゃないかと思っています.今までの噴火Mの定義は素晴らしいですよ.火山学を勉強する人にとっては噴火Mの知識は必要かも知れませんが,私を含めて一般人には,何時どの程度の噴火が近くの火山で発生するのかが大きな関心ごとであって,「危ないのか」「逃げなきゃいけないのか」「様子見でよいのか」程度で十分なのです.噴火した大きさが如何であったのかは端的に言って興味のないところだと感じています.私が土木学会の火山工学研究小委員会の幹事をしていることもあって,会社でも富士山は何時噴火をするんだ?ということを良く聞かれますが,そんなことなのです.
マイナーな意見かもしれませんが...気になったので.気を悪くされると困りますが.
 早川さんのような日本を代表する優秀な火山学者はもっと世に残る研究をどんどんやったほうが良いと思います.影ながら,期待して,応援しています.

今井さんへ、
 コメントありがとうございます。噴火マグニチュードは、たとえば2月2日の浅間山噴火が2004年とくらべてどのくらいか、1783年とくらべてどのくらいかを表現するときに便利です。それぞれ0.3、1.6、4.8です。これらを一般向けに言うときには、20キロトン、400キロトン、600メガトンといったほうがわかりやすのではないかというのがこのエントリの主旨です。少しはわかりやすくなるのではないでしょうか。
 噴火マグニチュードは、始まった噴火によって受ける被害を軽減するためだけでなく、長期的な見通しを得るときにも重要です。たとえばマグニチュード7の噴火は日本列島で1万年に1回の頻度で起きます。マグニチュード7の噴火とは、カルデラをつくる噴火です。そのような噴火災害に日本が国としてどのように立ち向かうべきか、あるいはそれから目をそらすのがよいかを、理知的に判断しようとするときにもっとも基本的なデータになるはずです。

  • 2009/02/28(土) 11:56:54 |
  • URL |
  • 早川由紀夫 #eWKQhjJU
  • [ 編集]

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