早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

水蒸気爆発で火口縁に積もった火山灰の写真比較

火口から噴出された粘土が火口縁に厚く堆積するのは、水蒸気爆発でよくあることのようだ。御嶽山のような火砕流はいつも出ているのかもしれない。

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御嶽山 2014年9月27日11時52分 (産経ニュース

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草津白根山 1939年4月24日12時20分

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蔵王山 1895年9月27日? (Masayoshi NoguchiさんのYouTube動画からキャプチャ)

御嶽山2014年噴火のまとめ

インターネットを利用した御嶽山2014年9月27日噴火の即時把握と解釈(文書のpdfファイル)
  1. 噴火の即時把握と情報伝達
  2. 主たる死因は高空から落下してきた火山れき
  3. 予知できたか

加筆修正して月刊地理2015年5月号に印刷しました。
インターネットを利用した御嶽山2014年噴火の迅速把握と情報伝達

御嶽山9月27日噴煙 気象レーダーの記録

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1200 (気象庁、高解像度降水ナウキャスト)

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1230
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なぜ63人もの死者が出たか

2014年9月27日の御嶽山爆発で、火口から1キロまでの地表に衝突クレーターがたくさんできた。しかしその直径はどれも小さい。せいぜい1メートルだ。上空8キロまであがった火山れきが落下してつくったとみられる。

もし火口から弾道軌道を描いて空中を飛行した火山弾がつくったのなら、直径10メートルに達する大きなクレーターができたはずだ。直径1メートルの火山弾はふつうだし、大きいほうが遠くまで飛ぶから。

大きなクレーターがみつからないことは、火山弾が地獄谷から外にほとんど出なかったことを意味する。死者63人は地獄谷から飛来した火山弾に押しつぶされたのではなく、高空から落下した火山れきにあたって絶命したと考えられる。

(表面にクレーターが生じている火山灰は火砕流によって堆積したのだろう)

9月27日の御嶽山爆発は、ごくふつうの水蒸気爆発だった。なのになぜ63人もの死者が出たか。

  1) 秋の好天の土曜日の正午前だったので、山頂付近に200人もの登山者がいた。
  2) 風が弱かった。上空8キロまで上がった小石が拡散せずに狭い範囲に降った。
  3) 弱い風向きが、ちょうど山頂方向だった。

想像できる限り最悪の条件が3つ重なった結果だった。火口から上空8キロまで噴き上がった多数の小石が、山頂の剣が峰を目指して落下してきた。そこに登山者200人がいた。致死率3割だった。

63人の登山者を殺した火山エネルギーは、火口から飛び出した小石の運動エネルギーではなく、上空8キロまで上昇を可能にした噴煙の熱エネルギーだった。

火口上8キロにも噴煙柱が達したのは、地表に広がった火砕流の表面から発生した熱によるところが大きい。小石を8キロ(近く)まで押し上げた浮力の多くは火砕流が持っていた熱から生じた。つまり、火砕流が直接飲み込んだ登山者は1人か2人だったが、間接的に60人の登山者を死に至らしめたと言える。

ツイッターまとめ 
御嶽山63人の死因考察 火山弾か火山れきか
Ontake 2014 Death Toll

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御嶽山9月27日噴煙 ライブカメラの記録

開田高原木曽馬の里ライブカメラの画像は1分ごとに記録されているらしい。設置者が作成した早送り動画から重要画像をいくつかキャプチャした。

噴火は11時52分から始まったと気象庁はいう。雲に阻まれて視界がやや悪いのが残念だが、11時57分の画像に上昇し始めたカリフラワー雲が映り始める。それは12時18分にクライマックスに達した。VAACによる噴煙柱が火口上8キロに届いた報告はこの時刻のものであろう。12時31分に二度目のカリフラワー雲上昇があった。12時43分に三度目のカリフラワー雲の上昇があった。噴火開始からクライマックスまで26分、激しい噴火の継続時間は50分だった。

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浅間山から見た御嶽山噴煙の高さ

長野県佐久建設事務所の黒斑山カメラが、噴火翌日の9月28日から御嶽山に向けられている。噴煙が見える画像からその高さを計測した。

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9月27日は、VAACによる報告。28日以降は、長野県佐久建設事務所の黒斑山カメラ画像を見て私が判定した。見えた限り毎日の最大高度である。比較のために気象庁発表を赤で示した。

写真判定(スケールは、浅間山から見通して継子岳から王滝頂上までの水平距離が2000メートルを使った。)
9月28日13時 900メートル
9月28日21時 1200
9月29日11時 600
9月30日09時 600
10月1日
10月2日08時 800
10月3日
10月4日09時 100
10月4日18時 400
10月5日01時 300
10月6日
10月7日07時 800
10月8日
10月9日23時 600
10月10日02時 300
10月10日09時 200
10月10日18時 200
10月11日01時 600
10月12日02時 1700
10月12日11時 1700
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御嶽山の立入規制看板

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八海山。
(左)テレビカメラの最前線。白い服を着てテントの中で立っているひとは、王滝村の消防団員。
(右)最前線から左下に降りる小道に王滝村が出した看板がある。気象庁が噴火警戒レベル3を発表したから火口から4キロの範囲が「立入禁止となっています」と書いている。

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木曽町三岳羽入(黒沢口)の看板は、(長野県)木曽建設事務所が立てている。有人。

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(左)ロープウェイ口は、鹿ノ湯温泉脇に木曽町建設水道課が看板を立てている。上松役場から応援に来た職員が立っていた。
(右)9月27日の噴火で降り積もった粘土

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台風18号が過ぎて、1030ころの10分間だけ御嶽山が九合目まで姿を現した。9月27日に降った白い粘土と噴煙が確認できた。開田高原から。

気象庁による御嶽山の火山情報発表

2007年 
3月 ごく小さな噴火、10トン程度
2008年
3月31日 噴火予報、噴火警戒レベル導入、レベル1
2014年
9月11日1020 解説情報1号、地震増加
9月12日1600 解説情報2号、11日の地震85回
9月16日1600 解説情報3号、地震やや多い状態で推移
9月27日1152 噴火開始、50万トン、死者63人
9月27日1200 噴火に関する火山観測報
9月27日1236 噴火警報(火口周辺)レベル3、大きな噴石
9月28日1930 噴火警報(火口周辺)レベル3、大きな噴石、火砕流

9月27日の噴火前に気象庁は解説情報を3回出して地震増加を伝えた。このうちのどれかを噴火予報として出していればもっとよかった。気象庁の噴火警戒システムにおいて、レベルを1に据え置いたまま改めて噴火予報を出して注意喚起することは可能だ。解説情報と噴火予報は情報のレッテル(重み)が違うから、噴火予報を出していれば社会の受け止め方が変わっていただろう。

もし噴火警報(火口周辺)として出してレベルを2に引き上げていれば、1キロ以内の立入禁止が処置された。そうしてあれば今回の犠牲者はひとりも出なかったわけだが、それは後知恵だ。9月中旬には地震増加以外の異常が認められなかった。地殻変動も熱異常もなかった。あの状況でレベル2に引き上げる判断をするのはむずかしかったろう。
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御岳山2014年9月27日噴火

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御岳山2014年9月27日噴火地図 
・火口(赤ダイヤモンド)
・火砕流(ピンク)
・火山弾(黄)火口からおおむね1km
・降下火山灰1cm(青線)。1cm線で測ると火山灰総量50万トン。
・山小屋

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降灰分布図(2014年9月27-28日) 1 g/m2と0.1 g/m2に色分け。いずれで測っても火山灰総量2万トン。
ツイッターによる火山灰報告

作業用グーグルマップ これが最新状態です。

噴火開始時刻
2014年9月27日(土曜日、晴れ)11時53分03秒

噴煙の高さ
・VAAC Tokyoは27日1235の噴煙をFL370と報告した。11kmだ。
ERUPTION DETAILS: VA AT 20140927/0335Z FL370 EXTD E REPORTED

火砕流が流れた距離
地獄谷に開いた主火口から谷に沿って南に2.3km下った。

噴出物
岩石が飛び散って、粘土が降った。

噴出量
・近傍の降下火山灰1cmで測ると50万トン
・中距離の降下火山灰1g/m2で測ると2万トン
・遠方の降下火山灰0.1g/m2で測ると2万トン
したがって降下火山灰は20万トンと見積もられる。これは1979年10月噴火と同じである。
・火砕流が覆った面積は3.3km2。平均厚さ10cmとすると30万トン。
両者を合算すると、9月27日の噴出総量は50万トン。

63人。噴火口の北東500mにある剣ヶ峰(3067m)付近にいた登山者。ほぼ全員が火山弾に打たれて死亡したとみられる。すばらしい好天に恵まれた秋の土曜日の正午前だった。

(ここまで、2014年9月29日6時)

ツイッターまとめ
その1 火砕流
その2 火山灰の広がり
その3 心肺停止
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