早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

コーラ噴火と弁当パック立体模型

トランヴェール10月号

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トランヴェール10月号【特集】信州、火山をめぐる冒険をデジタルカタログでご覧ください。浅間山を、美しい写真とわかりやすいイラストで紹介しています。

浅間火山防災マップ改訂

嬬恋村長野原町などの地元市町村が浅間山火山防災マップを改訂しました。

浅間山につきましては、これまで平成6年度に「浅間山火山防災マップ」を、さらに平成15年度に「浅間山火山防災マップ2003年版」を公表してきました。
 その後、平成16年9月及び平成21年2月に噴火があったこと、気象庁が発表する「火山活動度レベル」が、自治体の防災対応に合わせた「噴火警戒レベル」となったこと、及び噴火後に浅間山周辺市町村で設立した「浅間山火山防災対策連絡会議」において、レベル3までの広域的防災対応が策定されたことなどを踏まえ、新しく「浅間山火山防災マップ」を作成しました。
 新しいマップには、「レベル3」発表時における浅間山周辺の道路規制などが掲載されています。2003年版を補完するものですので、あわせてご活用下さい。


確認したところ、浅間火山博物館は正しく4キロ円の内側に置かれています。取り付け道路がレベル3のとき通行禁止になるというので、レベル3のときは営業しないと決心したとみられます。正しい判断です。

レベル2のとき、小諸市側における賽ノ河原問題は、巧妙に処理されています。市が発行する火山防災マップとしてほころびはありません。火山防災は市長の専権事項なのですから、火山防災マップに掲載された噴火警戒レベルの注意事項が、気象庁と違って、独自のものであってかまいません。

スミソニアン火山月報に浅間山2月2日噴火の詳報

スミソニアンの火山月報に、浅間山2月2日噴火の予知成功が詳しく紹介されています。私は、2月にここで紹介したとっておきエピソード二つを提供しました。

火山館の神田さんストーリー

In accord with JMA's precursory warnings, representatives of Komoro City decided to close the mountain hut 2 km W of the summit. The afternoon of 1 February, the resident and official observer there, Keisuke Kanda, readied the hut for closure. After that, he went to bed, planning to climb down the mountain the next morning. At the time of the eruption (0151) he neither felt nor heard any disturbance. At 0200 (about 9 minutes after the eruption began), he was awakened by his ringing cell phone.


ボンヴィボンのうめさんが見たもの

During the eruption, Masakatsu Umeda, working in a French restaurant 7 km N of the summit, felt small but continuous shaking and saw a red plume rising from the summit crater. He heard a far softer sound than he did on 1 September 2004 but then he was 4 km NE of the summit at Rokurigahara parking lot.

浅間山 次の噴火の積灰報告図を用意しました

浅間山の次の噴火で火山灰が降り積もったら、写真をとってここに貼り付けてください。ただし多くのブログサービスは、他所への画像貼り付けができない設定になっています。その場合は、説明欄にURLを書くか画像へのリンクを施してください。私が画像を手元に取り込んで表示できるように処置します。単位面積当たりの重量を測定して○g/m2だと報告してくださると、さらにありがたい。このグーグルマップページは誰でも編集できるように設定してあります。


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ブログ写真から計算した浅間山2月2日火山灰の総量

浅間山の2009年2月2日噴火で降り積もった火山灰の写真と動画をインターネット検索して集めて、それぞれ単位面積あたりの重量を判定しました。用いた基準。集めたデータのうち21を地図上にプロットして、噴出量2万4000トンを得ました。

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秩父市 hiro1194058 写真判定 20 g/m2

163082342[1]
羽村市 たまびと 写真判定 10 g/m2

7f61f9f98[1]
稲城市 須玉日記 写真判定 2 g/m2

09020301[1]
横浜市たまプラーザ タツロウ&まりや 写真判定 0.5 g/m2

20090203225125[1]
横浜市横浜線大口駅 モモココのおやじ 写真判定 5 g/m2

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横浜市金沢区釜利谷東 五條歯科医院 写真判定 0.02 g/m2

20090203214209[1] 20090203214935[1]
三浦半島  shu 写真判定 0.1 g/m2


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浅間山2009年2月2日の火山灰の分布。浅間山から南東に伸びる灰色線は、火山灰が1g/m2降り積もったところを示す。インターネットで公開されている積灰写真と動画から単位面積あたりの火山灰重量を判定して作成した。この図から噴出量を計算すると2万4000トンになる。

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産業技術総合研究所

写真判定の続きと動画判定は、下をクリックしてごらんください。
【“ブログ写真から計算した浅間山2月2日火山灰の総量”の続きを読む】

群馬県の10小中学校が浅間山の積灰調査 2月2日の噴出量は2万トン

群馬県富岡市とその周辺の小学校・中学校あわせて10校が、2月2日の浅間山噴火で学校に降り積もった火山灰を調査しました。その報告書が私の手元にきょう届きました。みると、富岡市内で1平方メートルに52グラムの積灰があったことがわかります。2004年11月14日に渋川の地表を覆った火山灰の濃さとほぼ同じです。

届いたすべてのデータをグーグルマップに整理して、1平方メートルに10グラム以上降り積もった土地の面積を測ったら、160平方キロでした。浅間山が2月2日に噴出した火山灰の全量をこの数値を使って計算すると、2万トンになります。これは、GSJがいう2-3万トンと調和的です。あ、彼らは3-4万トンと、数値をふたたび変更した。


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浅間山2009年2月2日の火山灰の分布。浅間山から南東に伸びる灰色線は、火山灰が10g/m2降り積もったところを示す。群馬県内10小中学校での測定による。この図から噴出量を計算すると2万トンになる。

気象庁の浅間山解説情報と火山観測報に不調和

気象庁は、17日16時の解説情報56で次のように書いた。

火山名 浅間山 火山の状況に関する解説情報 第56号
平成21年2月17日16時00分 気象庁地震火山部

**(本 文)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>

1.火山活動の状況(16日~17日15時)
 16日13時00分頃、山頂火口でごく小規模な噴火が発生しました。噴煙は火口縁上400メートルに達し東に流れました。
 また、16時35分頃に発生したごく小規模な噴火では、山頂火口の東側山麓でわずかな降灰が確認されました
(以下略)


しかし、火山観測報に16日1635噴火報告はみあたらない。山麓に降灰があったいうが、いったい誰がどこで何を知覚したのだろうか。そして、その情報を気象庁はいつ入手したのだろうか。

噴火に関する火山観測報(浅間山噴火)(2009年02月17日18時39分発表)
噴火に関する火山観測報(浅間山噴火終了)(2009年02月16日14時45分発表)
噴火に関する火山観測報(浅間山噴火継続)(2009年02月16日13時36分発表)
噴火に関する火山観測報(浅間山噴火)(2009年02月16日13時10分発表)

積灰のみかけと単位面積あたりの重量 積灰調査の勧め

噴火によって火山灰が降ったら、単位面積あたりの積灰重量を、できるだけ広い範囲の多数地点で測定することが大事です。噴出量を計算するための基礎データになります。火山学の前進だけでなく、防災にも有益ですし、学校で行えば理科教育のよい題材になります。

実際には、自動車などの平滑できれいな水平面上の火山灰をはけを使って寄せ集めて、上質紙に包みます。そのとき、集めた面積を測定することが肝要です。長さの測定は、たて30センチ、よこ40センチなどとおよそでかまいません。面積の測定精度を上げることに注意を払うより、むしろその場所の平均的数値をどこが与えるかをよく観察して選ぶことが重要です。

集めた火山灰の重さを(もし湿っていたら乾燥させてから)天秤で量ったあと、面積で割って単位面積あたりの積灰重量を計算します。単位はg/m2にするとよいでしょう。

積灰のみかけ写真と単位面積あたりの重量測定例を下に示します。もし手元に天秤がなくても、写真を提供していただければ、およその重量評価が可能です。

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48 g/m2、群馬県渋川市、早川由紀夫、2004年11月14日、浅間山から46キロ。

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20 g/m2、鹿児島市郡元、@tigers_1964、2016年7月25日、桜島から11キロ

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7 g/m2、鹿児島市郡元、@tigers_1964、2017年5月2日、桜島から11キロ

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2.0 g/m2、東京都府中市、青谷知己、2009年2月2日、浅間山から103キロ。
2.0 g/m2、鹿児島市郡元、@tigers_1964、2016年7月25日、桜島から11キロ

040917akiruno07.jpg
0.7 g/m2、東京都あきる野市、青谷知己、2004年9月17日、浅間山から119キロ。

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0.5 g/m2、鹿児島市郡元、@tigers_1964、2016年7月25日、桜島から11キロ

自動車のボンネットの上なら、
0.1 g/m2 うっすら
1 g/m2 すきまあり
10 g/m2 一面ひととおり

経験によると、浅間山の火山灰噴出量計算の精度は、10 あるいは 100 g/m2の等重量線が囲む面積をいかに正確に求めたかに大きく左右されます。距離でいうと、浅間山から10キロから100キロ区間の情報が鍵です。

【“積灰のみかけと単位面積あたりの重量 積灰調査の勧め”の続きを読む】

2009年2月1日の気象庁噴火予知と市町村防災対応

4年前の2004年9月1日、気象庁は浅間山が噴火する可能性を内部では考えていた。しかし同日11時45分に発表した火山観測情報6号を単なる注意喚起に留め、危険レベルを2に据え置いた。その8時間後の20時02分、21年ぶりの強い爆発が発生してしまった。こうして、浅間山では大きな噴火が起こる前にレベル3を宣言できる(山里ほか2004火山)とした気象庁の自信があっさりと打ち砕かれた。しかし、そのあと11月まで数回あった爆発の過半について、気象庁は事前に実質的警告情報を出すことに成功した。

2008年8月8日に気象庁は、浅間山の危険レベルを1から2に引き上げた。

2009年2月1日13時、気象庁は噴火警報を発表して「居住地域の近くまで影響を及ぼす噴火が切迫していると予想されます」と、明確な噴火予知と警告をおこなった。その日は日曜日だった。中日新聞によると、「2日以内に2004年と同程度の噴火は想定できる」と、長野地方気象台防災業務課の大谷晶課長が、長野県の浅間山噴火警戒連絡本部会議で説明したという。

気象庁の噴火警報を発表受けて、嬬恋村は鬼押ハイウェイのうち峰の茶屋からすずらん坂までの7キロ区間を、軽井沢町は白糸ハイランドウェイを、ただちに通行止めにした。おそらく事前相談があったのであろう。どちらも有料区間である。小諸市は、火口から2キロにある火山館を閉鎖した。ただし館内の閉鎖作業に時間がかかり、管理人の下山は翌朝になった。

噴火は2月2日1時51分に始まった。爆発によって山頂火口から放出された火山弾は空中を1キロ飛行した。火口上空2000メートルまで上昇した噴煙(利根砂防東カメラ西カメラ)は北西からの強風に吹かれて移動して、軽井沢から富岡、秩父、横浜に至る狭くて長い範囲に火山灰を降らした。火山灰分布の幅が極端に狭かったのは、風が強かったことだけでなく噴煙が海抜4500メートルまでしか上昇しなかったことにもよる。

噴出量は2万トン程度だった(GSJmap)。爆発音や震動は小さかった。火山弾と火山灰の放出は10分余り継続したから、この噴火様式はブルカノ式だったとは言えない。あえて分類すれば、ストロンボリ式になる。2004年9月16日夜とよく似た噴火だった。

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利根砂防西カメラがとらえた2月2日2時5分の浅間山噴火。山頂から立ち昇る火山灰雲の基部に、火口から噴き出して地面に着地した高温の火山弾が赤く輝いて見える。

2月3日13時、嬬恋村と軽井沢町は鬼押ハイウェイと白糸ハイランドウェイの通行止めを解除した。
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