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早川由紀夫の火山ブログ

Yukio Hayakawa's Volcano Blog

気象庁が噴火の安売り 浅間山

11日20時05分にも噴火したと、気象庁が20時16分に発表した。有色噴煙が200メートル上がったという。現象発生からわずか11分後の発表である。今回も夜間だった。

噴火に関する火山観測報(浅間山噴火)(2008年08月11日20時16分発表)

火  山:浅間山
日  時:2008年08月11日20時05分(111105UTC)
現  象:噴火
有色噴煙:火口上200m(海抜9100FT)
白色噴煙:
流  向:南


黒斑山カメラアーカイブでその時間帯を見ると、噴火の記録基準を満たす現象が起こったとはとても思えない。

そのうえ気象庁は、同日16時10分に発表した「火山の状況に関する解説情報 4号」に

 次の火山の状況に関する解説情報は、12日(火)16時頃に発表の予定です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。


と書いたにもかかわらず、5号を随時に出すことはなかった。噴火はあったが、火山活動の状況には変化がなかったと気象庁が判断したと理解せざるを得ない。住民や観光客の感覚から言うと、これはたいへん奇妙である。理解しがたい。気象庁がいう噴火とは、いったい何なのか。

8月10日2時37分噴煙は「噴火の記録基準」を満たしていない

8月10日3時8分に気象庁は、浅間山が噴火したと発表した。噴火は2時37分にあったというから、日曜日の早朝だったにもかかわらず31分後の発表だった。この火山現象を噴火だと記録する決定にかかわった係官の数は多くなかっただろうと思われる。

噴火に関する火山観測報(浅間山噴火)(2008年08月10日03時08分発表)

火  山:浅間山
日  時:2008年08月10日02時37分(08091737UTC)
現  象:噴火
有色噴煙:火口上400m(海抜9800ft)
白色噴煙:不明
流  向:南東


これが噴火であると31分で判断したときの根拠は、「有色噴煙400メートル」だけだったろう。それは、おそらく長野県が設置した黒斑山カメラの画像を見ての判断だったろうと思われる。しかしそのアーカイブ画像を見ると、噴煙が有色か白色かを判断するのは困難である。2時37分の噴煙が、その後4時まで続く大きな噴煙と本質的に異なるようには見えない。この画像を使って、噴煙の中に火山灰が混じっているかどうかを判定するのは不可能だったというべきである。

さらに48分後の3時56分、解説情報2号が発表になった。「小規模な噴火が発生したもようです」と正直に逡巡を述べているが、後段では「浅間山で噴火が発生したのは、2004年12月9日以来です」と、噴火したのが事実だとして取り扱ってしまった。これを無批判に読んだマスメディアの大量報道によって、浅間山噴火が既成事実だとして扱われるようになってしまった。

火山名 浅間山 火山の状況に関する解説情報 第2号
平成20年8月10日03時56分 気象庁地震火山部

**(本 文)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)が継続>

1.火山活動の状況
 本日(10日)02時37分、山頂火口でごく小規模な噴火が発生したもようです
 噴煙の高さは火口縁上400mです。
 浅間山で噴火が発生したのは、2004年12月9日以来です。

2.防災上の警戒事項等
 浅間山では、火口から概ね2kmの範囲に影響を及ぼす噴火が発生する可能性がありますので、これらの地域では、弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒が必要です。
 また、風下側で、降灰及び風の影響を受ける小さな噴石に注意が必要です。

<火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)が継続>


報道によると、その時間に微動が3分ほど継続したと気象庁が述べたという。微動はたしかに注目すべき火山現象だが、それが直ちに噴火の発生を意味するものではない。噴火がなくても微動は発生する。

気象庁は2005年5月10日、「噴火の記録基準」を定めた。10日未明に浅間山であった火山現象は、この基準に照らして本当に記録すべき噴火だったといえるだろうか。確認方法は3つあると書いてあるが、10日未明の現象はそのどれにも合致するようにみえない。噴煙は南東方向に流れたというが、その地域で火山灰は確認されなかった。火口から2.2キロの地点でも爆発音は聞こえなかったという。

噴火の記録基準
噴火の規模については、大規模なものから小規模なものまで様々であるが、固形物が噴出場所から水平若しくは垂直距離概ね100~300m の範囲を超すものを噴火として記録する。
確認の方法等は以下のとおりとする。
(1)遠望カメラによって基準に合致すると考えられる火山灰の噴出が確認できた場合
(2)後日の現地調査で基準に合致すると考えられる現象が確認できた場合
(3)地震計・空振計等によって基準に合致すると考えられる現象が発生したと推定できた場合


噴火警戒レベルと規制主体 各社の報道

× 信濃毎日新聞
気象庁は8日、浅間山の噴火警戒レベルを平常の1から火口周辺への立ち入りを規制する2に引き上げた

△ 上毛新聞
気象庁は八日、小規模噴火の可能性があるとして、噴火警戒レベルを1(平常)から2(火口周辺規制)に引き上げる火口周辺警報を発表した

○ 毎日新聞(長野)
気象庁地震火山部は8日午後3時、浅間山(2568メートル)の噴火警戒レベル1(平常)からレベル2(火口周辺規制)に引き上げたと発表した。浅間登山の火山館コース、黒斑コースがある小諸市は、火口から500メートルの立ち入り規制を、約2キロの賽(さい)の河原までの規制に変更し、登山者らに注意を呼び掛けた。

○ 読売新聞(群馬)
浅間山(2568メートル)について、気象庁が8日に発表した噴火警報は、噴火警戒レベルを1(平常)から2(火口周辺規制)に引き上げたもので、昨年12月に5段階の噴火警戒レベルを導入して以降、初めての引き上げとなった。火山性地震が増加したためで、これを受けて周辺の嬬恋村や長野県3市町は、火口から半径2キロを立ち入り禁止とした

× 読売新聞(長野)
浅間山(2568メートル)の「噴火警戒レベル」が8日、「レベル1(平常)」から「レベル2(火口周辺規制)」に引きあげられ、入山の規制範囲が拡大された。
 気象庁浅間山火山防災連絡事務所(軽井沢町)によると、浅間山では6日ごろから、噴煙がやや多くなっているという。これまで火口手前500メートルの前掛山まで入山可能だったが、火口から約2キロの賽(さい)の河原と呼ばれる地点まで、入山が規制されることになった

○ 日本経済新聞
気象庁は8日、浅間山(群馬、長野県)で火山活動が活発化しているとして、噴火警戒レベルを1(平常)から2(火口周辺規制)に引き上げた。小規模な噴火が発生し、火口から約2キロの範囲に噴石や火砕流が広がる恐れがあるといい、周辺市町村に警戒を呼びかけている

○ 共同通信
警戒レベル引き上げを受け、小諸市では2カ所ある登山ルートで、火口から約500メートルとしていた立ち入り禁止区域を約2キロに広げた

△ 時事通信
気象庁は8日、浅間山で小規模な噴火が発生する可能性があるとして、噴火警戒レベルを平常のレベル1から火口周辺の立ち入りを規制するレベル2に引き上げたと発表した。火口から約2キロの範囲で、大きな噴石に警戒が必要という。


× 規制主体が気象庁だと明記したもの
信濃毎日新聞、読売新聞(長野)

△ 規制主体が気象庁だと読めるもの
上毛新聞、時事通信

○ 規制主体は地元市町村長だと読めるもの(これが正しい)
毎日新聞(長野)、読売新聞(群馬)、日本経済新聞、共同通信

土砂災害警戒情報は市町村長による利用が目的

土砂災害警戒情報は、気象庁と都道府県が共同で出す防災情報である。気象庁サイトに次の説明がある。

土砂災害警戒情報は、大雨により土砂災害の危険度が高まった市町村を特定し、都道府県砂防部局と気象台が共同して発表する情報です。市町村長が避難勧告等の災害応急対応を適時適切に行えるよう、また、住民の自主避難の判断等に利用できることを目的としています。


「市町村長が避難勧告等の災害応急対応を適時適切に行えるよう」に情報を出すと、その目的が明確に書いてある。住民に防災のためのアクションを命じるのは市町村長の専権事項であるとする災害対策基本法に従っている。噴火警報は、地元市町村の意志にかまわず気象庁が住民がとるべき防災アクションを勝手に決めてしまうが、同じ気象庁が出す防災情報でも、土砂災害警戒情報はそのような無茶をしない。まったく適法である。

「入山規制 気象庁」の見出し

<桜島>噴火警戒レベル2から3に 入山規制 気象庁
4月8日11時38分配信 毎日新聞


この見出しをみた読者は、気象庁が入山規制したのだと理解してしまう。これが重大な誤解だということを、記事を出稿した記者と見出しをつけたデスクは気づいているだろうか。

本文は次の通り:

 気象庁は8日、桜島(鹿児島市)の噴火警戒レベルを、火口周辺規制に当たる「2」から、入山規制に当たる「3」に引き上げたと発表した。

 桜島では同日午前0時29分、昭和火口(南岳東斜面の標高800メートル付近)で爆発的な噴火が発生。噴煙が火口上1200メートルまで上がり、噴石も5合目まで飛散、火砕流が火口から約1キロ流下した痕跡が確認された。レベル3は登山禁止や入山規制となるが、住民は避難の必要はなく通常の生活ができる。

 桜島は2月3日にレベルを「2」から「3」に引き上げたが、その後、噴火が発生しなくなったため同20日に「3」から「2」に引き下げていた。気象庁は「噴火活動が活発化する恐れがあり、火口から居住地域近くまでの広い範囲で噴石や火砕流への警戒が必要」と呼びかけている。【樋岡徹也】


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地方分権に逆行した薄っぺらな指針

噴火時等の避難に係る火山防災体制の指針」の66ページ。

避難勧告又は避難指示は、気象庁から噴火警戒レベルのレベル5(避難)が発表された場合には、市町村長から速やかに発令することが望まれる。


いつ避難するか、それともしないかは、防災対策においてもっとも重要な意思決定である。この決断を気象庁がするとしている。「望まれる」と書いてはいるが、これは上位行政が下位行政に対してそうするように指図している文に他ならない。防災対応の決定は地元市町村長の専権事項であるとした災害対策基本法に抵触している。

レベル5になったらすみやかに避難勧告しろといっているが、これは逆に、気象庁がレベル5にしないかぎり市町村長が住民に避難を勧告しなくてよいと容認していることになる。膨大な手間とコストがかかる住民避難をすき好んで選択する市町村長はいない。避難勧告せずに人的被害が出たときの責任を気象庁長官に転嫁できるなら、自発的意思によって住民に避難を勧告する市町村長はひとりもいないだろう。国の意向に沿わない独自判断に、都道府県や周辺の市町村から手厚い援助が得られるとも思えない。こうして逃げ遅れる。

一方、いったん気象庁がレベル5だと宣言すれば、市町村長は否応なく避難勧告を出さなければならない。地域の特殊事情を斟酌する余地が残されていない。地域特有の生活形態が中央の意思でいとも簡単に壊される。この指針は、火山リスク対応における市町村の自主自立を否定するものであり、地方分権を進める時代の流れに逆行する中央政策だといえよう。

一方、噴火の危険性が極めて高くなった場合においては、拘束力が強い警戒区域を設定することが有効な場合もある。実際に、1990年(平成2年)から1995年(平成7年)にかけての雲仙普賢岳の噴火においては、避難勧告が発令されたにもかかわらず、避難勧告の対象地域に立ち入った人のうち、41名が死亡し、3名が行方不明となっている。住民からは、警戒区域の設定により、経済的な活動が不可能になり生活の糧が失われることについて、強い反発が起こることもあり、市町村長は警戒区域の設定に躊躇することも考えられるが、避難指示等を発令しても避難しない住民が多い場合等には、死傷者をゼロにすることが何事にも優先することを認識して、警戒区域の設定も視野に入れる必要がある。


「死傷者をゼロにすることが何事にも優先する」と断言しているところに、この指針をつくった委員たちの幼さが透けて見える。火山危機では、死傷者が発生するかどうかをあらかじめ確からしく予測するのはたいへんむずかしい。不可能だともいえよう。あいまいにしか予測できない未来を前に、生命維持と今後の生活確保のバランスをいかにとるか究極の選択を迫られる。生命絶対主義を掲げて、この課題に立ち向かうことをあっさり放棄したのをみると、この指針全体がそういう安易な考えでつくられた薄っぺらなものではないかと疑われる。

1991年の雲仙岳災害以降、その苦い経験を踏まえて、火山危機で警戒区域が新たに設定されたことは一度もない。この重い事実を委員たちは誰も知らないのであろう。2000年の有珠山噴火のときは、洞爺湖水面にさえ警戒区域を設定するのを避けて避難指示とした。誰も住んでいない水面なら警戒区域に設定してもよいだろうと私は思ったが、警戒区域を設定することによって起こるかもしれない予期せぬ弊害を恐れてそうしなかったらしい。

思うに、2000年8月、東京都のいいなりになって三宅島に緊急火山情報を最後まで出さなかった気象庁が、「死傷者をゼロにすることが何事にも優先する」とは、よく言えたものだ。あのとき犯した過ちを自己批判することがまず先であろう。

桜の開花予想と気象予報の制限

民放の朝の番組で、屋外に立った気象予報士の女性が「雨マークつけました!」とさわやかに言うのを聞いて、気象予報士は気象庁が発表する天気予報をそのまま伝えているのではなく、独自のアレンジも加えて伝えているのだなと、ぼんやり理解していました。

その女性気象予報士が数日前、東京の桜開花予想日は3月25日だと独自の計算に基づいて発表していました。気象庁からの発表はそのあとにありました。気象庁による予想日は3月27日でした。

案外知られていないと思いますが、普通の人が気象予報をすることは法律で禁じられています。試験を受けて気象予報士になれば、予報できます。気象予報士は、気象庁が発表する気象予報をただ伝達するだけでなく、独自の予報をすることができるのです。同じ民放で夕方に出てくる男性気象予報士は、1月7日に、今年の夏の暑さ予想について神社の占いの結果を紹介していました。

しかし気象予報士になっても、警報は出せません。警報は気象庁だけが出すと法律が定めています。

気象業務法から

(予報業務の許可)
第17条 気象庁以外の者が気象、地象、津波、高潮、波浪又は洪水の予報の業務(以下「予報業務」という。)を行おうとする場合は、気象庁長官の許可を受けなければならない。
2 前項の許可は、予報業務の目的及び範囲を定めて行う。

(気象予報士に行わせなければならない業務)
第19条の3 第17条の規定により許可を受けた者は、当該予報業務のうち現象の予想については、気象予報士に行わせなければならない。

(警報の制限)
第23条 気象庁以外の者は、気象、地震動、火山現象、津波、高潮、波浪及び洪水の警報をしてはならない。ただし、政令で定める場合は、この限りでない。

あいまいリスクがもたらす行政の無策

噴火予報はあいまいだ。何かが起こりそうだということはわかるが、何が起こるかはあいまいにしかわからない。また、いつ起こるかもあいまいにしかわからない。(いまの日本の多くの)地方自治体は、あいまいな情報だけでは動かない。しかるべき機関から明確な情報が出ないかぎり動かない。

気象庁が、わが国唯一の火山監視機関だ。地方自治体は、真の危機が迫ったときには気象庁が明確な指示を出してくれると信じている。頼り切っている。気象庁は、近年、防災官庁として生まれ変わると宣言して疾走しているが、火山にかぎって言えば、その施策の多くは空回りしている。火山監視情報の伝達システムは、わが国ではまだ未熟で発展途上にある。噴石問題など気象庁が使用する火山防災用語に不適切があることが以前から指摘されている。その上、昨年の法改正にともなって、避難指示を出すべき主体とその手続きが不明確になってしまった。

このような困難を抱えるわが国では、行政無策のまま、火山の怒り爆発のときを迎えることが多い。過去に例を拾ってみよう。無策でも、運がよければひとは死なない。

無策で運が悪かった例
・雲仙岳1991年(死者44人)
・三宅島1940年(死者11人)
・桜島1914年(死者58人)

無策だったが運がよかった例
・浅間山2004年
・三宅島2000年
・東伊豆1989年
・伊豆大島1986年
・三宅島1983年
・有珠山1977年
・三宅島1962年

事前に策が施された例
・富士山2000年(噴火なし)
・有珠山2000年(噴火あり、死者ゼロ)
・岩手山1998年(噴火なし)

死者があったかどうかではなく、事前に策が施されたかどうかでリスク管理の成否を判断すべきである。死者ゼロだった事例でも、それは単に運がよかっただけのことであり、不適切だったリスク管理を猛省しなければならない事例もある。

事前に策が施された例が3つあるが、これらのどれにも中心になって働いた人物が存在する。火山防災も、社会における他の営みと同じで、人材に依存するところが大きいのだろうか。

「火山情報等に対応した火山防災対策検討会」

気象庁の火山行政に批判的な意見を表明している学識経験者をひとりもいれずに「火山情報等に対応した火山防災対策検討会」を内閣府と気象庁が招集したのは、知っていた。内閣府のページで公開されている議事要旨を遡って読むと、絵に描いたような審議会行政が延々と行われたことがよくわかる。法律にも、リスクコミュニケーションにも、そして火山学にも疎い行政官が立案した文書をそのまま通してしまっている。なかには、行政をほめちぎっている意見さえみられる。

この検討会を度重ねたことによって自分の能力と評判を錯覚してしまった気象庁は、昨年11月14日、気象業務法を改正して噴火警報を新設するところまで一気に突き進んでしまった。ご存知のように、昨年後半は突然の総理大臣交代劇や年金問題発覚などで、国会審議は実質的になかったに等しかった。混乱に乗じて法案を通したといってもよい。

いま、ようやく、気象庁暴走への批判の声が聞こえ始めた。しかし気象庁と内閣府は、その声を誤解によるものだととらえていて、みずからの行政に誤りはないと考えているようだ。先はまだ長い。

「火山情報等に対応した火山防災対策検討会」(第8回)
平成20 年1 月31 日(木)18:00~20:30
(主な意見)
この指針については、火山専門家から誤解を受けることがないように、内容の説明を行うことが必要である
○ 関係市町村に対しては、説明会を開催することにより、丁寧に説明する必要がある。

「火山情報等に対応した火山防災対策検討会」(第6回)
平成19 年10 月12 日(金)15:00~17:30
(主な意見)
○ 噴火警戒レベルのレベル3のキーワードを「入山規制」、レベル2のキーワードを「火口周辺規制」と変更することについて了承。
火山現象を予報・警報の対象とすべく気象業務法を改正することは画期的なことである

「火山情報等に対応した火山防災対策検討会」(第4回)
平成19年6月7日(木)14:00~16:00
(主な意見)
○ 新しいレベルの名称は、「噴火警戒レベル」とするのが適切。
火山情報はわかりやすい情報になった。今までの情報とは違うということを周知することが重要。
○ 火山防災体制を構築するためには、市町村だけでなく国や県の役割を明確に示す必要がある。

「火山情報等に対応した火山防災対策検討会」(第3回)
平成19年3月22日
テキスト13ページからなる噴火時等の避難体制に係る火山防災対策のあり方(仮称)骨子
(主な改善点)
○防災対応をいっそうとりやすくなるよう、主として噴火規模によって区分した現行の火山活動度レベルから、避難行動等の防災対応を踏まえて区分した新しいレベルに変更
○各レベルにキーワード(「避難」、「避難準備」、「注意」等)を設定し、具体的な防災行動に結びつくようわかりやすく表現

「火山情報等に対応した火山防災対策検討会」(第2回)
平成19年1月10日(水)13:30~15:30
(主な意見)
○ 火山活動の状況に対応し、必要な防災対応をイメージできるよう、火山活動度レベルの表現や区分を変更することについては了承。
○ 火山活動の危険性とそれに対応する行動について、よりわかりやすくする表現の検討が必要。例えば「避難段階」「準備段階」「注意段階」などの表現を用いることについてはどうか。

「火山情報等に対応した火山防災対策検討会」(第1回)
平成18年11月2日(木)13:30~15:30
(主な意見)
国として、全国の火山を視野に入れた火山防災対策のためのガイドラインの作成を検討することは極めて意義深いことである
○ 現在の火山情報は、火山現象に中心が置かれたものであり、住民の側から見て切迫感がイメージできない。火山情報の表現については、避難行動に結びつく分かりやすい表現とすべきである
○ また、その名称についても、取るべき行動が理解できるものとするのが適切である。


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噴火警戒レベル・噴火警報の問題点

昨年12月の気象業務法改正によって新しく導入された噴火警報と、それに関連して以前の火山活動度レベルを修正してつくられた噴火警戒レベルにはいくつかの問題点があることを、法律成立以前から何回かに分けてここで指摘してきた。きょうはこれについて、いま最も重要だと私が考える問題点を四つに分けて整理してみよう。どれも、すみやかな処置が必要なものばかりである。

規制や避難の決定者
立入規制や避難を決める権限は市町村長にあることが災害対策基本法に明記されているが、噴火警戒レベル表や噴火警報文は、それらをあたかも気象庁長官が決めるかのように書いている。レベル表と警報文を手直しするか、もしく災害対策基本法を改正する必要がある。現在の気象庁火山行政は、違法状態にある。現行法では、気象庁ができることはリスク評価までであり、リスク管理に踏み込むことは禁じられている。(個別問題:浅間山の立入規制の内容が、軽井沢町と気象庁で食い違っている。)

あいまいな噴火予報
火山予報は、気象予報とくらべると桁違いにあいまいだ。あいまいな表現のために当たった印象が残りにくい警報を出し続けると、警報の語がもつ効力が薄れる。効力が薄れることを心配して警報を出す回数を減らすと、出し遅れて失敗する。噴火警報を出そうとする気象庁の意気込みは買うが、それを法律改正という単純な手段だけで今回導入してしまったのは、拙速だったといわざるを得ない。火山リスクの本質的あいまい性を社会によく理解してもらうための地道な啓発活動が伴っていない。気象庁職員が引率する火口見学ツアーを開催するなどして、住民の関心を火山に向ける努力をすることがまず必要だ。

予報の業務の許可
今回の気象業務法改正によって、火山現象の予報の業務をするには気象庁から許可を得ることが必要になった。現在進行中の火山噴火の推移予測は、すでに火山学界における研究テーマのひとつになっている。今回の法改正は、そのような研究にも許可申請を強いるものである。学術の健全な発展を行政が妨げている。明らかな悪法である。運用において、当該条項を適用しない処置が望まれる。長期的には、再改正されるべきである。

噴火警戒レベル表の内容
各火山の噴火警戒レベル表に書かれた内容に、大小の不適切が複数含まれている。火口の近距離に大規模宿泊施設があることを失念している、大規模噴火の定義が火山ごとに異なる、など。(具体的指摘は、過去記事参照)
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